プロローグ2-理不尽な守護者-
久しぶりの投稿になってすいません、定期的に更新していきたいと思っていますがなかなかうまくいきませんね。
読んでくださってくれている方うれしい限りです。
東京から約1時間の道のりを経て陽一は富士樹海へ到着していた。
技術が進歩したこの世界でも富士樹海までは1時間を要する。
実際の移動時間はさらに少なくてすむがゆっくり観光しながら移動したため時間がかかったのだ。
技術が進歩した今ですら人が迷うであろう天然の迷宮がそこには広がっている。
樹海に足を踏み入れ数分歩くとそこに広がってるものがないことに気がついた、そもそも樹海周辺から立ち上る黒煙がそれをものがったっている。
木々の焼ける焦げる臭いをそこらじゅうにばら撒いている。
「これが別世界からの侵略の後なのかな?」
そんなはずがない、樹海の木々だけ焼き払っていくわかがないのだから。
そうなると、仲間の<<ネオ>>が焼き払ったのであると想像できた。
「やっぱり、あの人をここに手配したのは間違ってたんじゃないかなぁ。」
樹海に火の能力者を派遣するのは完全に選定ミスのような気がしてならない。
木々が焼失した焼け野原をしばらく歩くと人影が見えた、というよりすごい勢いでこっちに向かってくる。
「おせぇええええええええええ」
猛スピードでこちらに走ってくる、嫌な予感がする。
逃げてしまおうかと思慮しているうちに目の前に彼女が来てしまった。
「遅い遅いぞぉおお、陽一よ。女子を長時間待たすなんて男としてどうなんだよ。」
「こんにちは、舞子さん。今日も元気ですね。」
火神 舞子 18才 女 新入社員
【ネオス-超常現象解決事務所-】入社1年目の新人。
戦うことに生きがいを感じるというバトルジャンキーである。
茶髪のショートカットでツリ目で凛々しい顔立ちをしていて、さぞ女子にもてるんだろうことが予想される。
学生時代はお嬢様学校に通っていて何通も女の子からラブレターをもらってウンザリさせられたとか。
服装はタンクトップにホットパンツ、思春期男子には目に毒だ。
そして彼女は戦闘マニアであるが情報網もかなりのものを持っており、異世界からの侵略されているという情報を即座に手に入れ、真っ先に戦火に赴いたようだ。
自分で望んで来たため上機嫌を予想してゆっくり来ても文句言わないだろう考えていたがどうやらそうでもないらしい、しかし一言言わずにはいられない。
「お望みの戦争ですよ?なんで不機嫌なんですか?」
「だってよぉ、来る敵来る敵雑魚ばっかなんだよなぁ。飽きてしまったよ、しかも異世界で直接やるのはお前ときたもんだ、不機嫌にもなるだろ?」
「いや、仕事なんですから。いい年して子供見たいな事いわないでくださいよ。」
「うるせー、ガキが説教すんじゃねー。」
理不尽だなぁ、と素直に思う。
しかし美人に怒られるのもまた一驚である。
決してM体質なわけじゃないぞ?
しかし、侵略してくる敵が弱いというのはありがたいことである。
手に負えないからなんとかしろ、などと言われた方がよほど面倒だ。
「雑魚ばかりとのことでしたが、どんな敵が攻めて来てるんですか?」
異世界からの敵の情報収集に余念はないほうがいい、何が元で足元をすくわれるかわからない。
「緑色の体長1mくらいのちっちゃいやつがほとんどだ、ゴブリンってやつじゃねーの?たまにでかいやつもいるが、強さは大して変わらなかったぞ?」
「明らかに魔物ですね、まぁ舞子さんにかかれば雑魚なんでしょうけど一般人にしてみたら脅威です、たぶん。」
「だから全てを灰にしてやってるんじゃねーか。」
その代償で森林が焼失したのか。
「まぁ樹海を焼き払ったのは八つ当たりってのがあったがな。」
この人捕まるんじゃないか?八つ当たりで樹海焼失なんて笑えない。
「敵の規模はどれくらいなんですか?それだけでも敵の力の入れようがわかりますし。」
「うーん、倒した数が1000を超えた辺りから数えるのをやめたからなぁ。異世界のゲート自体もあまり大きくないぞ。一斉に敵は出てこなかったからな。」
「少なくとも1個大隊は送ってきてますね、やはりここで食い止める人間は必要ですね。」
「だから私はここを離れられねぇ、異世界行って暴れたかったぜ。」
「見切り発車した舞子さんのせいです、あきらめてください。」
「それに関しては認めるところではあるな、仕方ねぇからさっさと終わらせてこいよ。雑魚相手は飽きた。」
異世界に1000体以上の魔物を向かわせて一切戦果を得られない状態である。
相手からしてみたらあきらめてもおかしくないのでは?と考えてしまう。
舞子は1000以上倒したと言っているが、舞子の性格からして恐らく初日の敵しかカウントしていないのではないかと思われる。
何日守備をして敵を殲滅してきたか聞いていないが、万単位で敵を倒しているのではないかと。
死体が周辺に一切残ってないので全て灰にしたのだろう。
敵側からしてみたら理不尽極まりない守護者である、しかも彼女は暇をもてあまして不機嫌ときている。
いっそのこと最高戦力で攻めてきてくれたほうが楽できたのではないだろうか?
しかし、陽一も男の子である。
まだ見ぬ異世界の冒険に心躍らせている。
「まぁ、旅行気分で楽しんできます。」
「遊んでくんなよ、さっさと終わらせてこいよぉ。」
(あなたが言うかあなたが。)
そう思う陽一であったが、それを口に出すとさらに面倒になるので堪える。
「ところで異世界に行くためのゲートはどこにあるんですか?」
「あぁ、それは少し先にある。」
しばらく2人で焼け野原を歩く、すると目の前に歪んだ空間があるのが目に入った。
それは空間事態がユラユラとゆれており、いわば真夏の太陽に照らされたアスファルトの陽炎のように見えた。
「もっと色とかついてるのかと思いました。」
「旅のト〇ラじゃねーんだよ。そんなにわかりやすいわけねーじゃねーか。そこから魔物がうじゃうじゃ出てきたんだ間違えねぇ。」
「どこに繋がってるかわかりますか?」
「それは私もわからないな、何せくぐってないからな。向こうからは好きな場所からこれるようになっていて、こっちからはランダム転送、なんてことざらだからなぁ。」
「了解です、とりあえず行ってみますので桂木さんへ報告しておいてください。」
「面倒くさいが、わかったぜ。」
(それが仕事なのだが・・・)
どちらにしても早く行かないといけない。
相手は一切引く気がない以上事態は一向に改善させないだろう。
「それでは行ってきます。」
陽一はそう言いゲートをくぐる。
まだ見たことのない異世界の冒険を想像してわくわくした気分で旅立つのだった。
「やれやれ、アイツわくわくした顔してやがったな。色々な強敵と戦って帰ってくるんだろうなぁ、うらやましいぜ。」
1人ぼっちの焼け野原でその言葉は空へ消えていった。
次回いきなり戦闘開始予定です。
よろしくお願いします。