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Fantasy World  作者: NOTE
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2/2

01 始祖-ファウンダー-

スキルや職の名称はかなり適当です。

<同意しますか?>


「同意っと…」

 やっとのことで、利用規約を読み終え、それに同意する。

 ほとんどの人が読み飛ばすであろうそれを、生真面目にも読み切った者は、少年だった。

 風間(カザマ) 東間(トウマ) なにかの冗談のような名前だが、それが彼の本名だ。

「これでいいかな」

 すべての設定を終わらせ、それを確認する。後は、FWにログインするのみとなった。


<お疲れ様でした>

<ログインボタンを押すか、リンクスタート と言うと、Fantasy Worldを開始します。なお、1日の最大プレイ時間のリミットは3時間となります。それを過ぎると自動でログアウトしてしまうので、お気をつけください>


 風間は、長ったらしい設定のうっぷんを晴らすかのように、

『リンクスタート!』

 と叫んだ………




 ***




 …………………………。


 ゆっくりと目を開くと、4畳ほどの部屋にぽつんと置いてある質素なベットの上だった。

 風間は起き上がり、ベットの横にあった鏡に自身の姿を映した。

 そこには、質素なシャツとハーフパンツを着た、風間と同じくらいであろう、16、7歳ほどの少年が映っていた。

 鏡に映る少年を見ながら、自分の手を開いたり閉じたりする。すると、少年も逆の手を開いたり閉じたりした。

 どうやら鏡に映るこの姿が、風間のPC(プレイヤーキャラクター)らしい。

 FWはRandom(ランダム) Character(キャラクター) Making(メイキング) System(システム)(RCMS)というものを使用しており、文字道理、PCをAIが自動的に作製する機能だ。

 PCは1アカウント、一つなので、これで、気に入らないPCが作られた人はどうするのだろうか…?

 まあ、自分が気にすることでもないが…。

 体の調子を確かめてみると、現実とほとんど変わらなかった。そのことに驚きつつ、部屋の中を見渡す。

 部屋は、どこかの避暑地にあるログハウスの一室のような部屋だった。こちらも、現実と見分けがつかないほど精巧に出来ていた。

 一つだけドアがあったので、そこから外に出てみる。

 そこは、先ほどよりも一回り大きい部屋になっていた。その中央に、一人の少女が立っていた。

「ようこそ、Dongfeng(フェング)様。私は、この世界の案内人をしております、リーンと申します」

 どうやら、彼女…リーンは、 NPC(ノンプレイヤーキャラクター)らしい。

 ちなみに、Dongfengとは日本語で東風という意味で、名字と名前から一文字づつ取り、それをPCの名前に設定した。読み方は、フェングに設定してあるので、NPCはそう呼ぶみたいだ。

「それでは、この世界における基本的な事をご説明します」


 ……………………………………………


 ………………………


 ………




 ***




「以上で説明を終了します。なにかご質問はありますか?」

「…ない」

 風間…フェングは、少し考えた後、そう答えた。

「ありがとうございました。何か分からない事がありましたら、ウィンドウメニューのヘルプをご参照ください」

「では、職をお選びください。職は、ナイト、ウォーリア、メイジ、クレリック、アーチャーの5つになります。なお、訓練用ダンジョンで職をお試し頂けます。お試しになりますか?」

 普通のプレイヤーなら、リミットを気にして迷う所だが、変な所で几帳面なフェングは、迷わなかった。

「お願い」

「どの職をお試しになりますか?」

「とりあえずナイトで」

「了解しました。では、ダンジョンへ転送します。準備はよろしいですか?」

「大丈夫」

「転送します」

 リーンのその声と共に、フェングは光となって消えた。




 ***




 気がつくと、森の中に立っていた。

 勝手にウィンドウが開き、メッセージを表示する。…どうやら、ナイトの説明のようだ。


<騎士-ナイト->

<初期スキル:スティング>

<装備可能武器:槍、剣、短剣、盾>

<特性:サブ武器として盾を装備可能、ステータスの力・体力が上昇しやすい>


 その下に、装備選択ウィンドウが表示されている。

 アイテム覧にあるのは、[訓練用の槍][訓練用の剣][訓練用の短剣][訓練用の盾]の4つだった。

 とりあえず、[訓練用の剣]と[訓練用の盾]を装備してみる。すると、右手と左手が光り、それが集束すると、西洋風の剣と、同じく西洋風の盾が出現していた。

 試しに、素振りをしてみる。

 現実なら振り回すのがやっとであろう、その剣を軽々と扱うことが出来た。

 確か、ステータスによって補正が掛かるんだったか…

 次は、スキルを使ってみるか…

 スキルは、特定の動作の後に、スキル名を言うと発動します…というルーナの言葉を思い出し、スキルウィンドウを開いてみる。すると、"スティング"というスキルが使用可能だった。どうやら、ナイト専用スキルのようだ。

 スティングの解説を読み、動作を覚える。

 スキルウィンドウを閉じ、剣を自分に引き付けつつ、剣先を前方に向けて構える。

「スティング!」 

 そう叫ぶと同時に剣を前方に突き出す。…すると、剣先が光り、突き出す速度が上がった。

 シュッ!

 ………………しょぼかった。

 最初のスキルだ、こんなものだろうと思い直し、先に進むことにする。

 おそらく、前方にある赤い光りの線を越えたら、訓練スタートだろう。

 先に進む………。

 すると、体長80cmほどのモンスターが一体、草むらから飛び掛ってきた。名前は、コボルトというらしい。

 コボルトは、凶暴そうな犬が直立したような敵で、小さい棍棒のようなものを持っていた。

 フェングは、飛び掛ってきたコボルトに、剣を叩きつけた。

 それによって、吹っ飛ばされたコボルトだが、すぐに体勢を立て直し、再度、飛び掛ってくる。

 コボルトがフェングの直前で飛び上がり、棍棒を振り下ろす。

 盾を掲げ、それを受けると、体の前に引き付け、準備しておいた剣を突き出した。

「スティング!」

 スキルによって、加速された剣は、コボルトを貫通した。

 その瞬間!コボルトの体が、細かいポリゴンになり、光りと共に砕け散った。

 …どうやら、倒せたようだ。

 次ぎ行くか。

 そう思い、先に進んだ………。


  ……………。




 ***




 <ログイン後、3時間経過しました。自動的にログアウトします>

 結局あの後、弓を持ったコボルトと剣を持ったコボルトが同時に現れ、キルされてしまった。

 時間いっぱいまで挑戦したが、ダンジョンをクリアすることが出来なかった。

 時計を見ると、夜の12時を指していた。

 寝るか………。

 訓練用ダンジョンぐらいクリアしてから進もう!という決意をし、風間は眠りについた。




 ***




 --------------1週間後--------------



  フェングは、いまだ訓練用ダンジョンをクリアできないでいた。

 あきらめて先に進むという選択肢もあったが、それはなにか気持ち悪い気がするので、やらなかった。

 職は一通りためしてみたが、どの職も楽しく、甲乙つけがたかった。先に進まなかったのは、このせいでもあるかもしれない。

 5日間、1日ごとに一つずつ職をためしていったのだが、一向にクリアできる傾向がなかった。しかし昨日、一回し、もう一度ナイトを使った所、あることに気が付いた。

 それは、動作と声を使わなくてもスキル発動やウィンドウ操作ができるという事だ。

 発動したいスキルを思い浮かべ、そのスキルの動作をシュミレートし、脳内のスイッチを押すような感覚でスキル発動できる。これの便利なところは、スキルの発動が早くなるという事はもちろん。特定の動作をしなくてもスキル発動が出来ることにあった。

 その事に気が付いた後、いろいろと試しながら進んでいくと、ボスらしき所まで行くことができた。昨日は、戦おうとしたところ、時間切れでログアウトしてしまったので、今日が初のボス戦になる。




 そんなことを思い返しながら進んでいくと、いつのまにかボスの前まで来ていた。

 ボスは、オークという名で、体長2メートルほどで、大きな盾と棍棒を持っていた。その周りに、剣と槍と弓を持ったコボルトがそれぞれ1体ずつ現れていた。

 敵はこちらに気付いたのか、剣と槍を持ったコボルトが突っ込んできた。弓を持ったコボルトは矢をつがえ、こちらを狙っている。

 槍を持った方が先に飛び掛かってきた。その槍先を剣で滑らせるように捌く。

 一瞬遅れて攻撃してきた剣を、盾を使って防ぐ。

 同時攻撃を防がれたと分かると、距離を取ろうとしてきた。

 フェングは、あろう事か、持っていた剣を槍を持った方に投げつけた。

 コボルトはその事を予想だにしていなかったのか、反応が遅れている。

 剣は、光を発しながら槍を持ったコボルトを貫通し、地面に突き刺さった。コボルトがポリゴンとなり砕け散る。

 槍を投げたことによるスキをチャンスだと思ったのか、剣を持ったコボルトが飛び掛かってくる。

 フェングは、盾を振り回すように回転した。その盾がコボルトにヒットし、吹っ飛ばす。

 回転し、半身になったフェングの胸のすぐ側を矢が通り過ぎていく。

 いつの間にか地面に突き刺さっていた剣が消え、その代わり、フェングの手元に短剣が出現していた。

 回転の力を利用するように、短剣を弓を持ったコボルトに投擲する。

 短剣は光を発しながら加速し、その先にいたコボルトをポリゴンに変える。

 盾によって吹っ飛ばされたコボルトは、その衝撃から立ち直る前に、フェングがいつの間にか持っていた槍によってとどめをさされた。

 そして、フェングとオークの2体が残った。

  オークが盾と棍棒を構え直し、雄叫びをあげながら突進してきた。

 その突進を、十分引付けてから紙一重で避ける。

 攻撃を避けられたと分かり、突進の勢いを殺し、反転しようとしているオークに向かって槍を投げつける。

 スティング!!!

 槍は光を発し、その速度を加速させた。

 オークは盾を掲げ、それを防ぐ。

 槍が盾に突き刺さり、派手なライトエフェクトを残し、消失する。

 槍によって生み出された光が消えると、そこには、剣を構えたフェングがいた。

「スティング!!!!!」

 本来の発動条件で発動されたスキルは、今までより強い光と、勢いで、盾の槍が突き刺さった場所を寸分たがわず貫いた。

 剣は、盾を貫通し、その勢いのままオークに突き刺さった。

 オークがポリゴンとなり、砕け散った。

 サウンドエフェクトとともにウィンドウが表示された。


<訓練用ダンジョン-Clear->

<報酬-なし->

<クリアおめでとうございます。このダンジョンをクリアされたあなたは、とても高いレベルのPS(プレイヤースキル)を持っています。今後もFantasy Worldをお楽しみください。> 


 このメッセージを読むと、やはりこのダンジョンは訓練用と言いつつも、かなりの難易度らしい。

 自分が下手すぎて、クリアできなかったわけではないと分かり、ホッとする。

 その後、ルーナの前に転送された。

「おめでとうございます、フェング様」

「ありがとうルーナ」

 1週間もルーナに会っていると、NPCと分かっていても親近感がわいてくる。

 NPCのAIも高度で、最初は、口調と雰囲気でNPCとわかったものの、それがなかったら、PCと間違えていただろう。

「この後は、どうされますか?」

「ウォーリアの訓練用ダンジョンに転送して」

「了解しました。転送します」


 …………………………。


 ……………。


 ………。




 ***




 --------------2日後--------------


 攻撃を受け、オークがポリゴンとなり、砕け散った 

 すべての職の訓練用ダンジョンをクリアしようと思い、その最後の職であるアーチャーを、今、クリアできた。


<訓練用ダンジョン-Clear->

<報酬-職:ファウンダーを選択可能->

<おめでとうございます。全職の訓練用ダンジョンをクリアした初めての方です>


 ファウンダー?なんだこれ???


 ルーナの所に転送されたので、さっそく聞いてみることにした。

「ルーナ、ファウンダーってなんだ?」

「職には、ある条件をクリアすることによって、出現するものもあり、その一種だと思われます」

「思われます?なぜ断定じゃないんだ?」

「私にはインプットされておりません」

 インプットされていない?どういうことだ…?

「…まあいいか」

「ファクターの情報がありました。表示しますか?」

「お願い」

 ウィンドウが表示される。


<始祖-ファウンダー->

<初期スキル:初期職の初期スキル全て>

<装備可能武器:初期職の装備可能武器全て>

<特性:サブ武器としてメイン武器を装備可能、ステータスの全てが上昇しやすい、新しいスキルを覚える事が出来ない>


 ……………。

 なんだこの能力!?

 初期職とは、ナイト、ウォーリア、メイジ、クレリック、アーチャーの5つのことだろう。

 サブ武器としてメイン武器を装備…二刀流ということか?

 それに、新しいスキルを覚える事が出来ない…。つまり、スキルが各職の初期スキルしか使えないということか?

 ……………………。

 とりあえず情報を集めてみるか…。

 

 そしてフェングは、ログアウトをした。


 



 ………。


 




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