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うちの王子に、夜な夜な異界の女が通って来る 〜だいたい俺のおかげ〜  作者: ダレモール
3章 夜な夜な通っています
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俺のおかげ②




ユラとの交流を重ねるうちに、

レイは、自分でも気づかないほどゆっくりと変わっていった。



気づけば、夜を待つようになっていた。


昼間の執務中にも空を見上げては、不思議な彼女を思い出して、少し頬が緩む。


天気の悪い日には、何だか気が沈んだ。



けれど、城のものたちが気づくことはなかった。


ーーただ1人を除いて。





夜。


レイの部屋の応接スペースに、くつろぎきった様子で1人の男が居座っている。


「さあ、吐け。何かあっただろ」


「エリオン。さっきから言ってるだろう」

「僕はいつも通りだよ」


「嘘だな。最近やたら天気を気にしてるし、空を見てはニヤついてるし、夜はさっさと部屋に帰る」


「ニヤついては、いないと思うけど」


否定しながらも、レイはさりげなく、窓の外を見る。


「ほら!今も気にしてる」


「いや、明日は視察で出るから空模様が気になっただけだよ。……エリオンも、そろそろ帰ったら?」


そろそろ、月が差し込む時間だ。


何となくソワソワしているレイに、エリオンはますます不審がる。


「もしや、お前とうとうーーー」





その時、レイの鏡が白い光を放ち始め、ユラが現れた。


「……だから、帰れって言ったのに」


レイはため息と共にさっと立ち上がると、ユラに手を貸す。



「こんばんは、レイさん」


「いらっしゃい、ユラ。今日は、いつもより早かったね」


二人の慣れたようなやりとり。


「レイ!!お、お前!」

「やたら帰らそうとすると思ったら……!!」


エリオンは仁王立ちで、叫ぶ。


「なんだソレ!!」



ユラは、初めてレイの部屋に他の人間がいるのを見て驚いた。


アッシュブラウンの髪に、琥珀の瞳。

背は、レイよりも少し高い気がする。

黒っぽいローブを着た男は、



ーーでた〜!!異世界イケメン魔法使い!!



「こほん。レイさん、こちらの方は……?」


「前に少し話しただろう。僕の幼馴染のエリオンだよ」


「あぁ!天才魔法使い!」


「……誰だよ、そんな恥ずかしい呼び名教えたのは」


「いつも自分で言ってるじゃないか」


レイがしれっと答える。


「違う。俺はエリオン・ダルモールだ。

……って、問題はそこじゃない!誰だお前、どっから湧いた?」


「彼女はユラだよ。……話せば長いけど、別の世界から来ている」


「別の世界?!」


「……知られてしまったものは仕方ないな」


レイは小さく息をつく。


「話すよ。……だから、とりあえず座ろうか」






「エリオンさんは、魔術師団の副団長ってレイさんから聞いてたんですけどーー」


「あー。“さん“とかいいよ、めんどくせーし。」


エリオンは、敬語とかもいらねー、と、手をひらひらさせた。


「そう?じゃあエリオンにするね。」


「……え、切替早くない?……そしたら、レイもレイでいいだろ」


ユラはここで初めて、とまどうように視線を巡らせた。


「えっ、レイさんを呼び捨ては、ちょっと恐れ多いというか……」


レイは微笑む。


「僕は構わないよ。僕も、ユラを名前で呼んでいるし…」


「い、いいんですか?……じゃあ……れ、レイ……」


「うん」


「……ちょっと待て!なんだこの甘酸っぱい空気は!」


「別に、普通じゃないか」


レイは真顔で返す。







「エリオン。ユラは魔法の話が聞きたいらしいよ」


「そうなんです!瞬間移動とか!空を飛ぶとか!」


「瞬間移動って……転移のこと?別に、レイだってやるだろ」


「僕は、君ほど気軽にはできないよ」


「そう!だからレイさん、じゃなくて、

レイはまだ見せてくれないんです」


「ユラ。空を飛ぶなんて、危険なんだよ?万一落ちたらーー」


「それは、わかりますけど…」


エリオンは2人の会話を聞いて、ニヤリと口元を歪めた。


「よし!いいぜ、空見せてやる」


「え?」


ユラが問い返した瞬間、エリオンはユラの胴をガシッと掴みーー


「っ!エリオン、待て!」


レイが手を伸ばす。


けれど、その指先が届くより早く――


上空へと転移した。





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