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異界闇帝記  作者: ui


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入団試験

私の名前は、デグロム・ポール。アリス王国軍団長である。

先日、サファンギルド長から7級魔術師の青年を軍へ紹介すると手紙があった。

なにも、若いにもかかわらず広範囲の戦術系魔法(タクティクス)が使えるのだとか。

今日は、その青年をボアに迎えに行く日であるのだが、これから国をしょって立つ男を一端の部下に迎えに行かせるのは気が引けるので私が出迎えることにした。

どんな男であるか非常に楽しみである。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

チュンチュンと鳴く小鳥にガミガミとうるさい受付のオバちゃん。

いつもと変わらない景色も今日は少し異なるように思える。

俺は昨日大規模な魔法を放ったことで力を認められ、

今日王国軍に入隊することになったのだ。

もともと、冒険者をしてちまちま稼ごうと思ってたからついてるぜ。

なんか宿に仕様人が迎えに来るから待機しておけばいいそうだ。


「失礼。ヨシフ・クイール殿のお部屋で間違いないだろうか。私はアリス王国軍団長デグロム・ポールである。お迎えに参った。」

結構早いな。

「こんにちは。デグロムさん。もう少しだけ待っていただいてよろしいですか?」

「はっ。承知した。」

なんかいかにも固そうなおっさんが出てきたな。ちなみに、ヨシフ・クイールってのは俺のこの世界での名前だ。前のはこの世界に会ってないからな。

「じゃあ行きましょうか。」


「失礼ですが。ヨシフ殿は今何歳なのですかな。」

「19歳です。」この世界に来た時点では18だったけどな。

「なるほど。その年齢で7級とは。同い年では敵などいないでしょうな。」

魔術師の等級について普通の人はほとんどが17~21級に落ち着くことは知っているが、確か試験があるんじゃなかったか?証明書は持っていないんだが。

「厳密には。資格は持ってませんよ。ただ、ギルドマスターがそうであると勝手に推測しているだけですので。」

「知っています。しかしあのサファンギルドのマスターにあそこまで言わせる人はそういませんよ。私は彼の目は信用していますので。」

へえ、あの人ってそんな人望あるのか。

「あと、ヨシフ殿ってのはやめてもらえませんか?一応これからはあなたの下に付くのですし。」

「確かに、ではヨシフと呼ばせてもらう。これからよろしく。」




いろいろしゃべっているうちに、あっという間に王都に到着した。



「これから、少しテストのようなことをしてもよろしいでしょうか?資格を持っていない人間をいきなり軍に加えるのはさすがに受け入れない兵士もいるので。」

「わまりました。」

「では、あちらの闘技場で試験を行うので、着いてきてください。」




「フォッフォッフォッ。デグロムよ。そやつが例の青年かな。」

「そうだ。ああ、ヨシフ。このご老人はクラウン・コルベガーさんといって国内でも有数の4級魔術師だ。」

「どうも、ヨシフ・クイールです。」

その瞬間老人の右目っが赤く光りとてつもない不快感に襲われた。

「フォッフォッ。観察眼(オブザーバー)を無効化しよったわ。若い才能には敵うわんのう。」

この爺さんもスキル持ちなのか。

「ここで道草食っている場合でなないであろう。はやく闘技場へ行け。」

「ではこれで失礼します。」




闘技場に到着した。

「荷物は客席にでもおいてくれ。準備ができ次第、試験を始めるぞ。」

「わかりました。」




よし、準備完了だ。

「ではこれより、ヨシフ・クイールの入隊試験を行う。」

その瞬間客席にいる兵士たちがこちらに注目した。


「大地に宿りし無垢なる器よ。古き律より解き放たれ、我が声に応えよ。石筋に命を、土躯に意志を。いま、歩み出せ──魂解放(アニムスリベラート)


彼らも軍の魔術師なのだろうか。詠唱をした瞬間に地面からゴーレムが出てきた。


昨日気が付いたことなのだが、詠唱は自分のイメージを最大化するものであり何も言葉を限定する必要はない。

要はー自由だ。


「大気よ鎮まり、地脈よ凍てつけ。万象の息吹を奪い、すべてを静寂へ

──氷寂天地(フロスト・テラ)

その瞬間俺の足元から現れた氷がゴーレムを飲み込んだ。


「なにっ。」魔術を放った奴らも驚いている。


「ははっ、規格外だな。ヨシフ、合格だ。お前には今日の軍議に参加してもらい、明日のガルー地域争奪戦にも参加してもらう。今日来たばかりで申し訳ないが、即戦力の投入は惜しまないんでね。」

「もちろん。そのために来たんですから。」

いきなり戦地に行けるとは、楽しみだぜ。


「みんな見ていただろう。こいつが今日から加わる新戦力ヨシフ・クイールだ。こいつの加入に従い、明日のガルー地域争奪戦には相応の戦力を割く。今日の軍議に参加するメンバーは、ヨシフ、キルラ、トランダー、カエン、そして俺だ。アリス王国の平和のために明日は死に物狂いに戦うぞ。」

「…………応ッ!!」

戦争で平和を手に入れる…か。この世界でも変わらないねぇ。

そんな調子で俺の入団試験は終了し、軍議室へと向かった。




「あんた、若いのにすごいねぇ。私はキルラ。今日からよろしくね。」

「俺は新参者がいきなり指揮官ってのが気に入らないけどなぁ。」

「別に指揮官として呼ばれたわけではないですよ。僕ほど広大な魔法は強力な分、適切は状況で使用しないといけないので。指揮官としてあなた方に及ぶなんて思っていないですよ。」

「へっ、そうかい。せいぜい足を引っ張らないよう頑張るんだな。」

「トタランダー、いちいち絡まないの。」


「みんな集まったか。早速話し合いを始めるぞ。今日の議題は、ガルー地域南部にある要塞をいかに攻略するかについてだが、意見があるやつはいるか?」

「策だのなんだのそんなもんいらねぇよ。突っ込んで落しゃあいいんだろ?。」

「それができないから、軍議を開いてるのに。少しは頭を使ったら?」

「なんだとぉ、女のくせにいっちょ前に指揮官ぶりやがって。」

「策に女も男もかんけいないでしょ。」

その後も二人のいがみ合いが続き一向に軍議は進まなかった。

「ヨシフ、お前も黙ってないでなんか言ったらどうだ?」

「まず、要塞がどんななのかも知らずに策なんて考えられませんよ。」

「あぁ、すまん。これがその要塞なんだが。」

そう言ってデグロムは一枚の紙を渡した。要塞ってより城に近いのか。

「お前の魔法で、壊せたりしないか?」

「そんなやり方はしないほうがいいですよ。仮にできたとしても、まっさらな土地でまた両国間で争うだけですから。」

しばらく、沈黙が間を埋めた。

「正面から戦う必要はないですね。相手の食糧の供給ルートを調べて潰してください。あとは、遠距離の攻撃をダラダラ続けてれば勝手に弱っていきますよ。こちらは兵士を分断してその日ごとに代わる代わる戦わせればいい。」

一瞬トランダーが愉快そうな顔をした。

「食料に毒を入れればいい。殺せなくても魔術師の魔力を減らせる。」


カエンかやるな。


「よし、大体方針は固まったな。長期間じわじわいたぶる方向か。悪くない。」

キルラとトランダーは不満のようだが、籠城してくるならこの手がベストだ。

その後も、要塞の落とし方についていろいろ議論した。そして、…

「軍議は解散。今日は明日に備えて早く休め。」




軍議は終了したが、経験の浅い指揮官に不透明な相手の戦力。

明日の開戦には、不安が積もるばかりであった。








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