統一
あっしの名前はアルーでやんす。
封術牢の最大派閥ネウィン一派のうちの一人であるあっしは最近やけに大人しいダリオン一派の様子を見てくるようにお使いを頼まれたでやんす。
「こちらが今日の朝食でございます。」
!っ。ダリオンがあんなに腰を低くしてるのなんて初めて見たでやんす。
「あぁ。わざわざありがとうな。」
「いえ、もったいなきお言葉。」
だ、大ニュースでやんす。
ダリオンが誰かの舎弟になってるなんて。
早くネウィン様に伝えないとでやんす。
「ネズミがいるな。」
ぎえぇぇっ。
見つかった。あっしの透明化を持っても。
に、逃げるでやんす。
「氷寂天地」
い、意識が。遠のいていくでやんす…。
「はっ。」
あっしは確かダリオンの様子を見て来いって言われて…。
す、すごい殺気を感じるでやんす。
「俺の質問にのみ答える許可を与える。何故お前は、覗いていたのだ?」
「あ、ある人にダリオンの様子を見て来いと言われて。」
う、嘘はついてないでやんすからね。嘘は
「ある人とは誰だ?」
「ネウィン様でやんす。」
「知ってるか?。」
「は、はい。以前まで俺と敵対関係にあった派閥でして。まぁしかし、ヨシフ様の相手には全くならないと思われますが。」
ダリオン、なんでこんなにおびえてるでやんすか?
「つまり今は俺の敵ということか。」
この人は、だれでやんすか?
もとS級冒険者をここまで大人しくさせるなんて。
「まぁ、いい。ところでお前はそのネウィンと俺の舟渡をすることはできるか?」
「分からないでやんす。でも、この話を伝えるくらいなら。」
「そうか、なら……。」
!そんなことができるでやんすか。
「分かったでやんす。」
「あぁ、頼んだぞ。」
「ただいまでやんす。大ニュースを仕入れてきたでやんすよぉ。」
「今、ネウィン様、忙、しい。代わ、りに、わた、しが。」
「簡単に言うと、ダリオンは今他の人間についてるでやんす。」
「何、?他、に、ボ、ス、がい、る?」
「そうでやんすけど。結構いい人でやんすよ。なんでも、下に付くなら、外に出してやるって言ってたでやんす。」
「ガンッ。」
い、いきなり何をするんでやんすか?痛いでやんす。
「ネウィン様は誰の下にもつかない。」
「じゃあ、ウルラ様はネウィン様がずっとここにいるほうがいいでやんすか?」
「そん、なこと、言って、ない。ネウィン様、忙し、い。考え、てる、外、に出る、方法。」
「そうでやんしたか。じゃあこのことは伝えなくていいでやんすね。やっとここから出られるんでやんすねぇ。」
「こ、声が、大、きい。少な、くとも、私た、ち一、派は、みんな、逃げ、られる、と、おっし、ゃら、れた。」
やっと出られるでやんすか。いやーよかったでやんす。
「ところで、ヨシフ様はあのハムスターをお気に召したようですね。あのような小動物の何がよいのですか?」
「奴の能力はつかえる。この先ここを出た後もずっとな。そんなことよりも俺の伝言をきちんと伝えているかどうかのほうが問題だ。」
「非礼と存じ上げますが、いっそ、ヨシフ様があちらに直接赴いてはどうでしょう。あの小動物もどこまで信頼できるのかわからないですし。」
「あまり目立つことはしたくない。感づかれて軍でも動かされてはさすがに脱出は難航するだろうからな。」
「軍ですか…。」
「いやー、みんなお疲れ様。」
「もった、い、なきお、言葉。ネウィン様、も、お疲、れ、様、です。」
「ネウィン様、お疲れ様でやんす。」
「ああ、ところでダリオンの様子は見てきてくれたかな?アルー。」
「はいでやんす。これがまた大ニュースでダリオンは今他の人の下についているようでやんす。すっごく怖そうな人であっしなんてちびっちゃったでやんす。」
「へぇ、あいつが。ちなみにその人って黒髪にこう、すごく眼付きの悪い感じの人じゃなかった?」
「違うでやんす。白い髪に、顔には何か模様がついてる人だったでやんす。」
「そうか。いやーそうなのか。」
「な、何、か、気に、なるこ、と、でも?」
「それがさぁ、ヨシフ・クイールっていう捕えるために国が動くくらい強い死刑囚がいてさぁ。」
あれ?なんか聞いたことあるような。
「私、も、聞い、たこ、とあ、る。魔、術、の、天、才。人、な、らざ、る、怪物、ヨシ、フ、クイ、ール。」
あれ?それってもしかして、
「もしかして、もしかするかもでやんすけど今日見た人がそうかもしれないでやんす。ダリオンがヨシフ様って言ってた気が、…。」
「それって本当かい!」
び、びっくりしたぁ。
「もしや、ネウィン様そいつの下付く。そんなの絶対ダメ。」
「駄目じゃないよ。みんなで脱出するために必要なことなんだ。今から挨拶に行こう。アルー、部屋はダリオンと同じなんだよね。」
「そうでやんす。」
「アルー、ウルラ決して失礼のないようにね。」
なんかよくわかんないけどあっしのお手柄みたいでやんすね。
えっへんでやんす。
「俺は、そのハムスターに舟渡をするように言ったはずだが、」
うっ、そうだったでやんしたっけ。
「こちらの手違いでお気持ちを煩わせてしまい申し訳ないです。しかし、これからはネウィン一派は、あなた様の下につきともにこの監獄から脱出したいと考えております故、なにとぞ御寛大な処置を。」
「貴様は何か思い違いをしているようだ。脱出した後その先もお前たちは俺に使え、忠義を尽くすのだ。」
「さっきから聞いていれば、ネウィン様への無礼の数々、万死に値ー」
ぎょえー、ウルラ様それはまずいでやんす。
「氷寂天地」
す、すごい濃度の魔法でやんす。
「大変申し訳ございません、ヨシフ様。このものにはよく言って聞かせます故、どうか、どうかお慈悲を。」
「問題ない。部下に慕われていのだな。」
「ありがたきお言葉。」
「今日は、もうよい。看守の目も気になる。俺も今度から食堂に顔を出そう。」
ふう、やっと終わったでやんすか。心臓が持たないでやんす。
「それから、これをお前に渡そう。」
「これは何でしょう?」
「それを持っていれば俺と念話ができる。さすがに、堂々と脱走について話すというわけにもいかないからな。」
「ありがとうございます。ではこれで失礼いたします。」
この氷どうすればいいでやんすか?
「ジュウゥッ。」
やっぱりネウィン様はすごいでやんす。氷が一瞬で。
「帰るよ、ウルラ。」
「ネウィン様、私は…、」
「ウルラはもっと我慢を覚えないとね。」
「す、みま、せん。私、のせ、いで。」
「ホントでやんすよ。危うくみんな氷漬けにされちゃうとことだったでやんす。」
「うる、さい。そ、もそも、お、前が、きちん、と仕、事を、して、いればこ、ん、なことには、なってなかった。」
「ぐうの音も出ないでやんす。」
「はっは、それでもこれで一歩前に進んだ。今日はお祝いだな。」




