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異界闇帝記  作者: ui


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10/13

死亡

俺は今、封術牢(フェイトシールロック)というこの世界で最も危険な刑務所にいる。

アンに売られたのだ。

軍と戦うことも考えたが、俺のいる場所が市街地であったため自制した。


「ヨシフ・クイール。裁判の時間だ。」



王の命令に背いたとして国家反逆罪で裁かれるようだ。

反逆罪はこの国でも最も重い罪であるため当然…、



「死罪である。」


裁判長の声が静かに沈んでいく。

落ちていく先に、もう自分がいるのかどうか、よくわからなかった。




疲れた。そうだ、もう疲れたんだ。

理不尽に、この世界に送られ、

理不尽に、奴隷にされ

そして、仲間にも裏切られた。

強いからって調子に乗って、挙句の果てには死刑か。

笑い話にもならない。




死刑台に送られた。

周囲にはたくさんの人が集まっている。

抵抗する気にもならなかった。




「最後に言い残すことは?」


「ない。さっさと殺せ。」


「そうか。やれっ。」


「ズドンッ」


「?」


不思議と痛みはなかった。

頭の重みから体が解放されたような感じ。

これが…、




「死か。」



「ザワザワ、」


「ねぇ、今あの首しゃべらなかった?」

「そんなわけないでじょ。」


その瞬間、さっきまで俺を憐れむように見てた大衆が目に入った。

意識はあるが、不思議と体は動かない。

何が起こっているのかわからなかった。



「なんだこれは?地獄か?天国か?」


その瞬間、大衆のざわめきは悲鳴へと変わった。


「うわぁぁあっ。死体がしゃべったぞ。」

「キャァァ」


しばらくして、見ていた監守が俺の頭を持ち上げた。


「なんと、首を切り落としても死なぬとは。」


気が付いたら、首の付け根が焼かれたような激痛が走った。


「ウグオオォォッ。」

痛い、早く何でもいい。この痛みから解放してくれ。


「この男の身体と頭を監獄へ持っていけ。所持しているスキルを調べさせろ。」

「は、はい。」




「お主の思った通りじゃよ。」

「やはり、あの男は不死身だったのか。」

「この世界でも本当にまれにみるスキル、”不老不死”でんなぁ。」

「それで、処遇は今後どのように。」

「封印じゃろ。死なんとなると、クーデターでも起こしよるかもしれん。

 一応、一通り試したほうがいいがのぅ。」

「はい、このことはすでに本部には?」

「新たな魔王誕生と慌てておったわ。フォッフォッ。」




くそ、頭がもげてるからか魔法が発動しない。

「早く、早くだれか殺してくれぇ。」

真っ暗な監獄の中で叫んでも誰も助けてくれない。



「…わかりました。えぇ、ベルムさんが言うんですから。」


「おい、この化け物を運ぶぞ。」

「は、はい。でもどのように?」

「担ぐんだよ。」



そのままどこかへ連れていかれ、今度は気に括りつけられた。

「火あぶりだ。」


「グギャァァッ。」

肺が、肺が直接あぶられているようだ。

呼吸ができない。


「次、水攻めだ。」


「おううっぅぅい。」

苦しい。もう早く、早く殺してくれぇ。


「四つ裂きならどうだ?」


「ギリッ、ギリッ、」


その後も、死刑という名の拷問は続いた。




「もう十分じゃろ。こやつのためにもさっさと封印してやれ。」

「そうですね。こいつを、詠唱代まで連れていけ。」



今度は、魔法陣の書かれた台の上に置かれた。

「もう、何でもいい。楽にしてくれ。」




「詠唱を始めろ。」




「天より降り注ぐ光よ、闇を裂き、虚無の深淵に道を開け。

大地の奥底、時の流れさえ及ばぬ場所に、破滅の王を縛れ。

万象を支える秩序よ、星々の運行に従い、

汝の力を抑え、魂を鎖に捕らえよ。」


その瞬間、体から魔力が吸い取られていくのを感じた。


「百の魔術師、千の意志、我らの声と手に宿る力を結集せよ。

光と炎、氷と雷、全ての元素よ、汝に従え。

破滅の王よ、汝の呪詛も憎悪も欲望も、今ここに集い、

浄化され尽くすがよい。

虚空の牢よ、永遠に閉ざし、時の終わりまでも揺るがず、

力も名も、歴史の帳に残らぬものとなれ。

汝の影すら消え失せ、百声千声に包まれ、

世界の秩序の盾に貫かれよ。

今、全ての意志をひとつに!封印、完結、永劫の沈黙よ!

誰も覚えず、誰も知れぬ場所に、汝を封じ、閉ざす!」



体から力が抜けて、魂が体から出ていくのを感じる。


あぁ、やっと解放される。




「バチンッ。」


その瞬間、台の魔法陣に大きな亀裂が入った。


「まさか、そんなことがあり得るのか?」


「4000人の魔術師の魔力よりもこやつの魔力のほうが上など、そんなことがあっていいはずがない。全員が11級以上の魔術師なのじゃぞ。」


「何故、封印されないんですか。ベルムさん。」



横にいるジジイは考え込んで反応しない。

「そうあわてるな。封印に失敗したといっても、こやつにはもうほとんど魔力は残っておらんわい。」


氷槍(アイススピアー)をジジイののど元に打ち込む。


「馬鹿が。」


「ガギィィッ。」


俺の放った魔術は剣であっさりと跳ね返された。


もうあのころのようなスピードも威力もない。


そして、魔法を放った瞬間、全身に激痛が走った。


「グオオォォッ。」


「もう今こやつは、ただの魔術師じゃよ。それに、あの体の模様、あれは呪いじゃ。もうまともには戦えんよ。」



「こいつをB棟に連れていけ。本当にいいんですね。」

「何度も行っておる。」




その後、俺は首が付いたまま牢獄へと押し込まれた。

その部屋にはすでに捕らわれた犯罪者たちが住んでいた。


「おい、新入り。あいさつしねぇか。」

そのまま無視して壁に寄り掛かる。


「このガキが。」


ただひたすらに殴られた。

魔法で反撃しようとも思ったが、俺にもう以前のような力はない。


「弱えくせに生意気なんだよ。」

「この牢獄を生きて出たいのなら賢く生きるのが大切ですよ。」



”何故反撃しない?”

疲れたんだ。もうほっといてくれ。

”何故疲れたんだ?”

裏切られたんだ、仲間にも。そして国にも。

”そうやっていつまでも、期待しないつもりなのか?他人にも、自分にも”

どう意味だ。

”お前は、いつまで自分の本当の気持ちから目を背けるつもりなんだ。”

なんだ?本当の気持ちって。

”わかっているはずだ。お前自身はどうなりたい?”

わからない。そんなのわからない。

”ならこう問おう。お前は世界をどうしたい?”

どうしたい?何を言っているんだ。

”この世界をお前はどうしたいんだ?”



しばらく、沈黙したあとにはっきり答えた。



「ぶっ壊してやる。」


”そうだ。その憎しみを忘れるな。お前が望むものは何でも手に入るし、お前が望むように世界だって変わる。なんたってお前は「世界最強の魔術師」なのだから。”



奴らがガヤガヤと騒ぎながら帰ってきた。

「なんだ。お前ビビッて食堂にすらいけないとか。ホントどうしようもねぇな。」


「あまり俺を不快にさせるな。二度目はないと思え。」


「はぁ?何調子のって…」

「ズガンッ」

その瞬間、地面から出た氷がその男の心臓を貫いた。


「この部屋では俺がルールだ。分かったら今すぐ頭を地面に擦り付けろ。」





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