【第4話その1】公爵令嬢と最初の試練
アズリールとの稽古試合は、最高のパズルのようなものだ。
私の剣は、彼の曲がった刃とぶつかり合い、朝の空気に鋼の響きが鳴り渡る。今日の動きには、これまでとは違う鋭さがあった。ようやく手加減をやめる気になったらしい。でも、遅いわ。ここ数週間、私は彼の立ち姿や、フェイント直前の視線の揺らぎをすでに覚え込んでいるのだから。
――今、頭上からの強烈な一撃が来る。
正面で受け止めるのではなく、手首をひねり、彼の刃を下に逸らす。自分の振りの衝撃が彼の腕に伝わり、カラン、と響く音とともに剣はほこりまみれの地面に落ちた。
その一瞬の隙を見逃さず、私は距離を詰める。
彼は固まった。私の稽古用レイピアの先端は、もう彼の側面に押し付けられている。顔と顔が急に近くなると、普段冷静な瞳にわずかな驚きが浮かんでいるのが見えた。
唇に自然とにやりと笑みがこぼれる。
「これで二勝目ね」と、少し息を弾ませながら言った。「もう一回勝てば、夏までに勝利を確定できる時間は十分あるわ」
「アズリール、また手加減してるだろ!」
傍らで、劇的な嘆きを交えた兄レイフの声が響く。
アズリールは私から視線をそらさない。わずかな笑みを浮かべて言った。
「今日の彼女は単に剣術で優れているだけだ」
「でも、もう片方の手は空いてたじゃないか!」レイフが抗議して、空にパンチのジェスチャーを見せる。「あの突進をした時に殴ればよかったんじゃないの?」
私は剣を下ろし、兄を呆れた目で見た。
「兄さま!未来の公爵は、本当に稽古試合で女性を殴れって言うべきですの?」
「女性を殴るなど、男として不名誉な行為だ」とアズリールは冷静に剣を拾いながら言う。「もしこれが本気の戦いなら、レイフ様、私は剣に限らず行動するだろう」
その一言に、ぞくりと背筋を震わせる。――強者は常に手加減しているのだと、静かに思い出させられる。
レイフがぶつぶつ言った。「いいだろう。でもチャンスはあと一度しかないぞ」
「明日だ」とアズリールは低く、容赦のない声で言った。「明日こそ本気で挑む」
私は首を振り、冷静さの裏に本物の笑みを浮かべた。「それが……明日は稽古に行けそうにないの。数日間、無理なのよね」
「おお、そうだ!春の宮廷会議が始まるんだった!」レイフがようやく予定を思い出した。
アズリールの鋭い瞳が私をじっと見据える。「用事があるのか?」
城内の会議、報告書、税や国家の議論――それらで私は数日間、城から出られないことを説明した。でも、話す私の胸の奥には、密かに沸き立つ高揚感があった。
「カタリナ様は……稽古より、その方が楽しみのように見えるな」アズリールが言った。すべてを見抜く。鬱陶しくもあり、感心もさせられる。
私は取り繕った。「私は訓練場より、評議会の方で公爵領に役立つのですわ」――本当ではあるけれど、全部の本当ではない。
彼は見破った。「役立つどころか、楽しんでいるように見える」
返事をする前に、レイフがぱっと駆け寄ってきて、汗だくの全身で、骨まで軋みそうな強烈なハグをしてきた。「だってカタリナは最高の妹だもの!いつだって、父様や愛する兄さまの退屈な仕事を、どうにか助けようと考えてくれている!本当に、自慢の妹だよ!」
「うっ、兄さま!離して!暑すぎる!しかも汗臭い!」私はもがいて振りほどく。
兄のげらげら笑う声を聞きながら、私はアズリールの視線に気づいた。
まだあの静かな、考え込むような笑みを浮かべている。
次の本当の挑戦は、稽古場ではない――公爵の宮廷で私を待っている。そして正直に言えば、始めるのが楽しみで仕方なかった。




