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治療方法を見つけるしかない。
それしかない。
そして、それができれば全てが解決する。
そう信じて、僕はそれから、水銀の排出方法について考えた。
残念だが、キレート剤の点滴治療(自費診療)を受けるお金はない。
もうどこの誰にお願いしても、お金は貸してもらえない。
では、どうする。
僕はまず、キレート剤Aによる水銀排出治療を継続することにした。
どのくらいだったかな、半年以上やったのかな。
夜さんとともに、それなりに長い時間、キレート剤Aの投与を続けた。
投与を続けたといっても、毎日投与したわけではない。
キレート剤Aを投与するのは一週間に一度だ。
それ以外の日は、キレート剤Aによって排出されてしまう、人体に必要なミネラルを一種類ずつサプリメントで補給していた。
十分なミネラルの補充がない状態でキレート剤だけを投与した場合、ミネラル不足で人体にあらゆる障害が生じる。
これに関しても僕の身体を張った実験では様々な興味深い実験結果を得たが、これもこのショートバージョンでは割愛することにする。
結論を簡単に申し上げると、キレート剤A療法を継続的に試しても、僕にとって症状の改善は見られなかった。
心なしか改善したような"気"はしたものの、気のせいかもしれない、といった感じだ。
予想外だったのは夜さんだ。
夜さんは胸部の皮膚炎に大きな改善を認めた。
しかしながら、それ以外の部位については、あまり効果がなかった。
特に問題となっていた、顔の赤みや腫れは、よくなるどころか、悪化しているようだった。
僕はこの結果の考察に苦慮した。
胸部の皮膚炎と顔の皮膚炎に、異なる病態(原因)があるとでも言うのか?
僕は日々、頭を悩ませた。