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『カンジダ菌はうつ病の原因となることがある』
このような記述はインターネット上に溢れている。
どこの誰が書いたか身元のよく分からないようなものが多かったんだ。
だから、ここではこのような話を書き記した人物たちのことを、「彼ら」と呼ぶことにする。
どのようなメカニズム(仕組み)で、カンジダ菌が憂鬱感や倦怠感を引き起こすのか。
その理由を説明するために、彼らは頻繁に「ダイオフ反応」という聞き慣れない用語を使用していた。
彼らの話す「ダイオフ反応」という代物について説明しよう。
まず、カンジダ菌は人間の大腸粘膜に住み着くことがあるらしい。
そして何らかの理由でこのカンジダ菌が過剰に増殖してしまった場合、その菌体内に(カンジダ菌の身体の中に)毒素を産生する。
毒素をため込んだカンジダ菌が、何らかのきっかけによって死滅すると、その細胞膜が破綻して、その菌体内にある毒素が大腸粘膜上に漏出する。
*細胞膜の破綻→細胞膜が破れること。
*漏出する→漏れ出る
この毒素が大腸粘膜から吸収されてしまうことで、人間に毒性が生じるらしい。
イメージしやすいように、少し例え話をしよう。
夏祭りでお馴染みの水風船を思い浮かべてほしい。
水風船は、一枚の膜でできていて、内部には水が詰まっているよね。
カンジダ菌の構造はこの水風船に近い。
1枚の膜でできていて、内部には水が詰まっている。
この水の中に毒素が含まれていると考えてほしい。
何らかの拍子でこの水風船が破けると、中に溜まっていた毒素が漏出する(漏れ出る)。
この毒素が脳に作用して、憂鬱感や倦怠感が生じるらしい。
ダイオフ反応の「ダイオフ」は、英語で「die off」と書く。
日本語に直訳すると、「死滅反応」だ。
カンジダ菌の死滅に伴って生じる反応という意味で、死滅反応と名付けられたらしい。
さらに、このダイオフ反応によって生じる憂鬱感や倦怠感の増悪(悪化)のことを、ダイオフ症状と彼らは呼んでいた。
(つづく)