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僕は真白先輩が疑っていた饅頭を実際に食べてみて、翌日の体調を確認してみた。


饅頭実験の結果は黒だった。

比較的強めのダイオフ症状が起こった。


僕は初め、饅頭に含まれる添加物や着色料を疑ったものの、その饅頭には小麦や小豆以外にはあまり他の原材料は使用されていなかった。

小麦でダイオフ症状を自覚したことがなかった僕は、消去法で残った小豆あずきを試してみることにした。


僕はスーパーで小豆の缶詰を購入した。

小鍋で温めて、水で少し煮て、お餅を焼いた。

ぜんざいの完成だ。


僕はあんこが大好きだ。

この世界には、こしあんしか食べないという貴族がいるらしいが、僕はあいにく貧乏性で、小豆の皮を取り除いた食べ物なんて罪悪感が強すぎて食べることなんてできない。


普段のダイオフ食材を避けた食事に、ぜんざいを加えて、僕は次の日を待った。


ぜんざい実験は成功だった。

翌日、強いダイオフ症状を実感した。


「真白先輩…、あんこです…。」

「あんこ…?あんこがどうしてカンジダに効くの?」

「分かりません…調べてみます。」


カンジダ菌を殺菌する作用のある物質には特徴がある。

抗菌作用、抗酸化作用、ポリフェノール、この辺りがキーワードだ。

このキーワードがつく食材は基本的にダイオフ症状が生じる。


どうやら小豆には大量のポリフェノールが含まれるらしい。

このポリフェノールってやつが、カンジダ菌を殺す作用を持つようだ。


あんなに甘くて美味しいあいつがこんなに苦しい症状を引き起こすなんて。

にわかには信じがたい事実だった。


「ポリフェノールがたくさん入ってて、めちゃめちゃ強い抗酸化作用があるらしいです。」

「あんこに?うっそだー。」

「ほんとらしいです…。」

「あんこ…」

その時、"あんこ"という単語は、この世の歴史の中で、最も切なく悲しげな声で発音された。


「あんこ好きなのに…。あんこ食べれなかったら、和菓子なんて全部食べられないじゃない…。」

真白先輩の声は悲しみに満ちていた。


「大丈夫ですよ。治ったらまた食べられます。」

「どうやって治すんよこれ…。ダイオフ食材食べたら苦しくてたまらないんだもん。どうやって除菌したらいいの…。」

「大丈夫です。辛くても感染症なら絶対終わりはありますから。」

僕はあんこが当分食べられないかもしれなくて凹む先輩を励ましながら、内心少し興奮していた。


このあんこ事件は極めて重要な意味を持っている。

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