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結果は当たりだったんだ。
ニンニクを食べた翌日、僕の体調は目に見えて悪化した。
憂鬱感も倦怠感もとても強くなったんだ。
「ニンニクだ、ニンニクが原因だったんだ。」
僕は自分で実験してつかみ取った事実に興奮していた。
プラセボ(気のせい)の可能性も考慮して、この実験も何度も行った。
何度行っても結果は同じだったんだ。
僕はこの結果が信じられなかった。
遂に自分の頭がおかしくなってしまったのだろうかって思ったんだ。
ニンニクを食べると鬱っぽくなるなんて話、聞いたことがなかったからね。
僕はこの実験結果を得た後、とりあえずインターネットで調べて回ったんだ。
ニンニクがどのようなメカニズムで僕の体調を悪化させているのか。
それが知りたかったんだ。
最初はニンニクアレルギーみたいな感じなのかなって思ってた。
でも実際は違ったんだ。
ニンニクとうつ病にどのような関連があるのか。
様々なページを手あたり次第読んでいった結果、僕はある1つのキーワードにたどり着いた。
それは、「カンジダ菌」だ。
カンジダ菌は人間の身体に住み着いている菌の一種だ。
日本人の半分くらいの人がカンジダ菌を大腸内に保有しているらしい。
しかし、別に身体の中にカンジダ菌がいたからって別に大したことはないらしい。
そんなに病原性はなく(無害で)、珍しくもない、ありふれた菌だ。
しかし、インターネット上にはこのカンジダ菌が「うつ病の原因になることがある」という記述があったんだ。
日本語で書かれたものも一部あったけれど、英語で書かれたものが多かったように思う。
僕はこれがすごく奇妙なことだと思った。
理由は簡単だ。
そんな話、「聞いたことがない」からだ。
確かに医学部3年生だった僕は、全ての病気を知っているわけでは到底なかった。
でも、カンジダ菌がうつ病の原因の原因になるなんて話は、当時の僕でもあり得ないと思った。
うつ病の原因は、そのほとんどが解明されていないからだ。
(つづく)