7話:テンプレ展開キタコレ
「街が見えてきたな」
「人間の街に来るのはざっと数千年ぶりだ」
「え? お前おばs――っ⁉」
振り返るとエイシアスが冷え切った目で俺を見つめていた。
「……レディーに対してその発言はどうかと思うな?」
「はい。すみません……」
気にしていたのかよ……
てか、数千年生きているってマジか。
「どんな街か楽しみだ」
「そうだね」
『ギャウ!』
程なくして街に入るための列に並ぶ。
すぐに順番が回ってきて兵士が声をかけてきた。
「冒険者か? この街には何をしに?」
「冒険者じゃない。王都に行く前に街で休憩したかった。食料もなくてな」
「そうか。身分証はあるか? ないなら一人銀貨一枚になる。それは従魔か?」
兵士が俺の肩に乗っている赤丸に顔を向ける。
「ああ。危険はない」
「そうか。危険がないなら問題ない。冒険者ギルドで従魔登録をしておくといい」
「わかったよ。エイシアス。金を」
「キミは女性の私に金を払わせるのかい?」
「仕方ないだろ。金がないんだ」
「はぁ……」
呆れながらもエイシアスが兵士に金を渡す。
さすが、な外年溜め込んでいただけはある。
「ど、どうも」
エイシアスの美しさに兵士が顔を赤らめながら受け取った。
「では通ってどうぞ。身分証は冒険者ギルドで登録できるぞ。ただ、素行の悪い人が多いから気を付けてくれ」
「ありがとう」
俺たちは街の中に入ると賑わっていた。
俺もエイシアスも、街の中を見渡す。
「村と全然違って栄えているな」
「ふむ。人間の街も悪くない。キミの場合は前世の世界の方が栄えているのでは?」
「そもそも文明レベルが違う。それよりも身分証がないから冒険者ギルドで登録しよう」
「そうだったね」
俺とエイシアスは冒険者ギルドを探すが、すぐに見つかった。
中に入ると静まり返り視線が集中した。俺ではなく、隣にいるエイシアスに。
エイシアスの容姿に見惚れるのは当然だろう。
俺とエイシアスは受付に向かうが、途中で三名の男性が立ちはだかった。
「えらい上玉を連れているな」
「俺たちと一緒にどうだ?」
「手取り足取り足えてやるぜ?」
素行が良くないと言っていたがその通りのようだ。
てか、エイシアスに声をかけるとは怖い者知らずもいたものだ。
俺は無視して受付に向かうと、エイシアスも同様に男たちを無視して受付に向かった。
すると無視されたことが気に障ったのか、エイシアスの肩に手を置こうとして――勢いよく吹き飛ばされた。
「ぐぉ⁉」
「待ちやがれ!」
「な、なにしやがる!」
エイシアスが男たちを一瞥し、再び受付に向かう。
「待てって言ってるだろ!」
「はぁ、実力差も分からないのか?」
「何言ってやがる。俺たちはこれでAランク冒険者だ」
「?」
エイシアスはAランクという意味が分からず首を傾げる。
するともう一人の男が説明する。
「世界中の冒険者の中で1000人しかない。それがAランクだ」
「Aランクの俺たちを敵に回すということは、死んだも同然だ」
エイシアスは男たちの説明を聞いてもなお理解できていなかった。
それは俺も同様だった。
無視して受付に話す。
「冒険者登録を頼む」
「え? あ、あの、お連れ様が……」
「ああ、気にしないでくれ。それとも争いごとはダメか?」
「冒険者同士の争いは禁止です。重い処分が下されます。一般人への暴行も禁じられております」
「そうか。エイシアス、殺さないようにな」
「わかったよ」
受付のお嬢さんは「え? 話を聞いてました?」と表情で訴えていた。
「俺たちはまだ一般人だ」
「はぁ……ですが相手はAランクです」
「あの程度の雑魚相手は問題ないさ。さ、手続きを始めてくれ」
「……わかりました」
すぐに手続きが始まる。
「余裕だと? 随分と舐めた真似をするじゃねぇか」
「その舐めた態度、後悔させてやる!」
襲い掛かってきた三人を相手にエイシアスが手のひらを突き出すと、何かに掴まれたように三人の身体が宙に持ち上がった。
「うっ、な、なんだこれ……」
「か、体が動かねぇ」
「ぐっ……」
さらに力が加わっていく。
「その程度にしておけよ。殺しちまう」
「人間とは脆いね」
腕を振るうと男たちはギルドの壁へと叩きつけられて気を失った。
その光景に冒険者ギルドにいた、職員を含むすべての者たちが唖然としていた。
ただ一人、俺だけは違った。
「おい。早くしてくれ。この後宿を探さないとなんだ」
「はひっ! す、すみません! すぐにご用意します!」
それから二十分ほどで手続きと説明が終わり冒険者カードをもらった。
冒険者のランクは上からS、A、B、C、D、E、Fの七つとなっており、依頼の難易度と達成回数で昇格していくらしい。
Sランクは世界で四人しか存在しないとのこと。
あとはちょっとした説明なので割愛。
「サンキュー。あ、それと弁償はあいつらにさせろよ? 先に絡んできたんだから」
「はい! もちろんです!」
受付嬢はコクコクと頷いていた。
「エイシアス行くぞ」
「はいはい」
こうしてギルドを後にし、宿を探しに行く。
俺たちが出て行った後も、ギルドはいまだに静まり返ったままだった。
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