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6話:うん、逃げよう

 大聖堂に行った翌日。

 俺はエイシアスと一緒に街を散策していた。

 主に露店などでの買い食いだ。ここでしか食べられないものを食べる。

 それがいいのだ。


「なあ、面白い国とか、栄えている国とかないのか?」

「ん? お前さん冒険者か旅人か?」

「ああ。シーヴェリス王国から来て、次はどこに行こうかなと思ってな。おすすめがあれば聞いておきたい」

「あの国は今、王女様が王らしいな。おすすめの国か……」


 露店のおっちゃんに尋ねると、少し考えてから答えた。


「ならバルデリア帝国なんてどうだ?」

「バルデリア帝国か。どこにあるんだ?」

「お隣さんだよ。力を重視する文化あるんだよ。冒険者なら気になるだろ?」


 力を重視する文化。なんともらしいといえばらしい国だ。


「ほぉ、力を重視する、か。どのような文化か聞いても?」

「たくさん買ってくれた礼だ。その程度なら教えてやるさ」


 そう言って露店の店主はバルデリア帝国に関して教えてくれた。

 バルデリア帝国は、戦士や魔法使いとしての技術を高めることに誇りを持っており、それが原因で時折戦争や小競り合いに発展するそうだ。

 戦士としての技術や名誉が非常に重視され、若者は早くから武道を学び、戦闘のスキルを磨くことが求められる。戦士の間では、武器や防具に施された家紋や刻印が誇りの象徴とされ、家族や氏族の名誉を示すという。

 魔法の伝承もあり、古代から受け継がれた魔法の知識が重視され、特に元素魔法や召喚魔法に関する研究が進んでいるという話だ。

帝国には多くの魔法学校や研究機関が存在し、若者たちは専門の教師のもとで学ぶことができるらしいが、あまり興味はないな。


バルデリア帝国では年に一度、戦士たちの名誉を称える祭り『武神祭』が開催される。各地から戦士が集まり、武道の技を競い合い、優れた者には特別な称号が授与されるとのこと。

次の開催はそろそろらしいので、見学に行ってもいいかもしれないな。

 俺は戦士じゃないから多分参加しない。


 強さと名誉が重視され、弱者を助けることがあまり重視されず、弱肉強食の側面が強いという。

 貴族、戦士、一般市民の階層によって分かれ、貴族は政治的権力を握り、戦士はその名誉を守る役割を果たすという。

 なんともまあ、名誉とかは必要ないが、弱肉強食という点では俺好みの国だ。

 エイシアスを見ると同様のようで、次の行先はバルデリア帝国で決まりのようだ。


「串焼き、もう一本買っていく」

「まいど!」


 その場を後にして、エイシアスが俺に言う。


「次は帝国に決まったようだね」

「だな。弱肉強食の国か。楽しみだ」


 ワクワクが止まらない。

 そうと決まれば早々に出発しよう。

 そう思っていたが、街が少し騒がしく感じる。

 近くの露店でまた買い食いをしながら、店主に何が起きているのか尋ねた。


「ルミナ様からの神託で人探しだって」

「人探しの神託?」

「よくわからないが、黒髪の少年? を探しているらしい――って、あんた黒髪じゃないか」

「うん? たまたまだろ。そもそも俺は信者じゃない。観光客だ」

「そっか。なら違うか」


 店を後にして宿に戻り、エイシアスが俺に言う。


「主だと思うけど?」

「お前……何となくそんな感じがするが、まあ、無視でいいだろ」

「それもそうか。所詮は神託だ」

「だな~」


 のんびりダラダラしていると下の階が騒がしくなってきた。

 何やら声が聞こえる。


「ここの宿に黒髪の少年と白髪の女性がいると聞いた。どこにいる?」


 俺とエイシアスは顔を見合わせる。


「嫌な予感がするのは俺だけ?」

「いいや。私も同じだ」

「「……はぁ」」


 大きな溜息が出てしまう。

 面倒なことは勘弁願いたい。


「……逃げるか」

「……逃げようか」


 俺とエイシアスは同時に呟いた。

 階段から足音が聞こえる。気配からして宿屋の少女のものだ。

 騎士が来ているからと呼びに来たのだろう。

 もう少しこの街を楽しみたいので、逃げながらのんびりするとしよう。

 俺とエイシアスは顔を見合わせて頷いた。

 コンコンコンとノック音がする。


「テオさん、エイシアスさん。騎士の人が探しているみたいですけどいますか?」


 反応がなく、少女は「入りますよ?」といって扉を開けた。

 部屋に俺とエイシアスはいない。

 窓が開いて、風が入り込む。それを見た少女は呆然と呟いた。


「に、逃げた……」


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