13話:神聖リュミエール王国へ
王城を後にした俺はふと、青く澄み渡った空を見上げた。
今日も素晴らしい空だ。
俺の心もこの雲一つない空のように、澄み渡っている。
「気分がいいようだね、主よ」
「ああ。あの王女様、アレティアはあの信念を持ち続ける限り、強くなり続けるだろう。そう思うと、成長が楽しみでしかたがない」
「ふふっ、私もそう思う。彼女は覇王としての素質を持っている。主が思っている通り、私も楽しみで仕方がない」
エイシアスも同じことを思っていたようだ。
アレティアはきっと、俺が想像している以上に、強い女王として成長してくれることだろう。
そんな気がするのだ。
「そうだな。――赤丸」
『ギャウ!』
赤丸はすぐに本来の姿になり、俺とエイシアスを空に運ぶ。
ドラゴンが現れたことで騒ぎになったが、すぐに飛び立ったので大丈夫だろう。
赤丸の上で空をのんびり移動する俺に、エイシアスが問うてきた。
「主よ、次はどこに行くのだ? 今回も楽しかったから次も楽しみだ」
「そうだな……」
考える。
楽しそうな国やおすすめの国の知識などは皆無だ。
ならば、冒険者らしい冒険をするべきなのか。
「まだ何も考えてないな」
「考え付いてからでもいいだろう」
どうするかなど、考える時間などいくらでもある。
しばらくして、街を見つけたので、今日はそこで一泊することに。
宿で夕食を食べていると、客が話しているのが聞こえてくる。
「聞いたか? 北方で魔王軍の動きが激化してるらしい」
「魔王軍か。動き出したのは数百年ぶり何だろう?」
「ああ。だが、神聖リュミエール王国が魔王に対抗するため、勇者を召喚したらしい」
勇者という言葉に俺は反応する。
この世界にも勇者は存在するようだ。しかし、先ほど彼らは召喚と言っていた。
つまりは別世界から呼び出されたと言うことになる。
エイシアスを見ると口元に笑みを作っていた。
どうやら同じことを思っていたようだ。
「神聖リュミエール王国か」
「勇者か。これもまた、面白そうだ。では?」
「ああ。見て見ようじゃないか。勇者とやらを」
次の目的地は決まった。
ここから西にある、神聖リュミエール王国。
勇者を見に行こうではないか。
「だが魔王の噂も気になる」
「だな。勇者の後は魔王でも会いにいくか」
「それは名案だ」
どんな思いで魔王をやっているのかも気になるよね。
部屋に戻った俺とエイシアス。
「聖女が女神ルミナの神託を受けて、異世界から勇者を召喚するらしい」
宿で客が話していた内容だ。
聖女もいるらしい。
なんともテンプレな内容だが、まあいいだろう。
聖女か。女神ルミナとかいうけど、正体はジジイだったりしないかな?
まあ、会うこともないだろうけど。
「聖女か。どのような人物か気になるね。神託ということは、神の言葉を聞くことが出来るのだろう?」
「らしいな。妄言かもしれないぞ。政は嫌いだ。考えることが多すぎる」
「そうは同感だ。だがまあ、神の声を聞こえるのなら、それならそれで面白いじゃないか」
ジジイ以外に神がいるのか気になるところだ。
俺は自由に生きているが、魔王を倒せ、などといった使命など持ち合わせていない。
あったら断っていただろうけど。あるいは放置していた。
「けど、行く場所は決まったな」
「うむ。まだまだ楽しめそうだ」
果たして俺と同じ、地球からの来訪者なのかは気になるところだ。
もしかしたら別の世界からかも知れない。
それを確認するのも一興だ。
魔王との戦争になったらちょっとめんどいが、気にすることでもないだろう。
「さて、さっさと寝て神聖リュミエール王国に行くとするか」
俺とエイシアスはさっさと寝るのだった。
翌朝、俺とエイシアスは赤丸に乗って神聖リュミエール王国を目指した。
道中、代り映えするようなこともなく、数日で神聖リュミエール王国との国境まで到着した。
警備は厳重で、どうやら魔族が人間に成りすまして国に入国するのを、この国境で防いでいるらしい。
もし突破されても、次は街に入る時に展開されている結界で防げるようだ。
まあ、俺とエイシアスは冒険者証を出すことで、すんなりと国境を抜け、無事に神聖リュミエール王国に入国することができたのだった。
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