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12話:大精霊

 全員、女性であるのは謎だ。


「随分と俺のことが嫌いなようだな。で、誰が死んだって? あ゛?」

「「「……」」」


 全員が俺とエイシアスを見た瞬間、顔面蒼白になっていた。

 そして、すぐに謝り出す大精霊。


「黙れ。いいか、よく聞け。これからはそこの女、アレティアに力を貸してやれ」

「さっき呼び出した人間、ですか?」


 火の大精霊が尋ねるので、俺は頷き説明する。

 軽く説明して、最後に。


「それと、アレティアに逆らうんじゃねぇぞ? 消滅させるからな」

「当然、我が主にも、だよ。分かっているよね?」


 俺とエイシアスの脅しが効いているのか、全力でコクコクと頷いている。


「そういうことだ。こいつらを上手く扱え。お前の力になるだろう」

「よ、よろしいのでしょうか?」

「面白そうだから捕まえて、そのペンダントに押し込んだけど使わないからな。そいつら、レベル1000しかなくて弱いし」


 レベル1000の大精霊ということで驚く面々。


「これが一国の軍隊すら退けることも、侵略することだって……」

「雑魚だから上手く使ってくれ」

「いくら何でもご主人様と天魔のような化け物と一緒に――ヒィッ、なんでもないです! お願いですから消滅させないでください!」


 火の大精霊が何か言っていたが、睨み付けることで黙らせる。


「大精霊ども、アレティアの命令は絶対服従だ。俺と敵対しようともな」

「アレティアといいましたね。お願いですから、テオ様とは敵対しないでくださいね。本当に、お願いですから。じゃないと消滅させられます……」


 光の大精霊が懇願する。

 大精霊がここまで怯えるのは異常である。。


「は、はい。これからはよろしくお願いします」

「んじゃあ、仲良くしろよ。じゃあな」

「お、お待ちください!」


 呼び止めるアレティア。それを見て顔を青くする大精霊。


「まだ何か用か?」

「いえ。どうしてここまで、してくださるのでしょうか?」

「お前のことが気に入ったからだ。それにイスティリアが、お前のことを気にかけていた」

「イスティリアが……」

「後でお礼でもしておけ」

「はい。私からも何かお礼を」

「いらん。王子と王が死んで忙しくなるだろ? そこの貴族どもも玉座を狙ってくるかもしれないし。まあ、大精霊どもがいれば守ってくれるさ」


 そう言って大精霊に顔を向けると「もちろんです! 全力でお守りします!」と頷いていた。

 まあ、馬鹿だが大丈夫だろう。


「それじゃあ、また機会があれば寄らせてもらう」

「はい。いつでもお越しください。テオ様とエイシアス様は恩人ですから」

「ははっ、脅された相手を恩人か。まあいいさ。成長を期待している。で、ルノーたちはどうするんだ?」


 俺は隊長たちに顔を向ける。

 国王が死んだ今、処刑などはないだろう。

 そこにアレティアが声をかける。


「よろしければ私の側で仕えてくれませんか? 親殺しで、色々と危険がありそうなので」


 アレティアの言葉に、隊長たちが顔を見合わせて頷いた。

 そしてアレティアの前に来ると片膝を突いて忠誠を捧げる。


「我ら一同、御身の剣と盾になりましょう」

「ありがとうございます。隊長騎士。名前は?」

「オンスと申します」

「そうですか。ではオンス。あなたを筆頭騎士に任じます」

「ははっ!」


 俺はオンスに声をかける。


「オンス」

「なんだ?」

「お前たち騎士にこれをやる」


 そう言って七本の剣を投げ渡す。

 受け取ったオンスは鞘から剣を抜き放つ。

 白く輝く剣身は、神々しさすら放っている。

 それをみて光の大精霊が呟いた。


「こ、これは聖剣ではないですか⁉ 主様、一体どこでそのような物を⁉」

「ん? エイシアスの城にある宝物殿にあったやつだよ」

「あのような剣は沢山あるからね。それに一々眩しくて……」


 光の大精霊は「そんな理由で……」と絶句していた。


「オンスにルノー。他の騎士も頑張れよ。世話になったな」

「アレティアよ。次会ったとき、強くなっていることを願う」


 そう言い残し、俺とエイシアスは城を後にするのだった。


最後までお読みいただいてありがとうございます!


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