7話:頼むから問題を起こさないでくれよ?
翌日の正午。
俺は騎士たちによって起こされた。
「テオ殿、エイシアス殿。王都に到着いたしました」
「このまま王城にいくのか?」
「いえ。数日はゆっくりお過ごしいただけます」
「そうか。誰か一緒に来るのか?」
お俺の問いに騎士が頷いた。
「はい。私の部下が同行いたします。宿にも案内させますので」
「わかった。俺のせいで迷惑かけてるんだ。亡命くらいは手伝ってやる」
「……そうならないことを祈っておきます。では」
そうして俺とエイシアスは王都アーセリアに降り立った。
王都を見て回りながら、付いてきた騎士に説明を求めると、アーセリアについて話してくれた。
シーヴェリス王国の首都であり、内陸に位置しながらも、豊かな水路網を持つ都市である。
市内を貫く大きな川が港町であるヴァルミス港と直接結ばれており、都市の交通と貿易の要となっている。
川沿いには石造りの美しい橋がかかり、船が頻繁に行き交うため、港町と首都の間で物資や人の往来が活発とのこと。
この都市の象徴として目立つのは、シーヴェリス王家の居城である壮大な王宮と、信仰の中心である大聖堂である。
王宮は丘の上にそびえ、白い石と青銅の装飾で美しく輝いていた。
大聖堂は、特にエスリオン神への崇敬を象徴し、巨大な尖塔が空高くそびえ立ち、遠方からでもその威容が一目でわかるほどだ。
アーセリアは、その美しい街並みもまた特徴で、整然とした道が市内を網羅し、貴族や高官の邸宅が並ぶ区域や、市民の賑わう市場、緑豊かな公園が点在している。
石畳の通りと、街を縁取るように広がる庭園や川の流れが調和し、壮麗でありながらも落ち着いた雰囲気を持っていた。
「王都は六つの地区で別けられています」
騎士の言葉に思わず驚いてしまう。
六つに分けるほど、地区整備がされているということだ。これだけ美しい都市ならば、相応の労力と資金がかかったことだろう。
騎士が地区に関しての説明をする。
一つは王宮地区。
この地区は、都市の中心部に位置するシーヴェリス王家の居城である王宮を囲んでいる。
王宮は高台に建っており、丘の上から市内全体を見渡せる場所にあった。
王宮地区には、貴族や王室の高官たちの邸宅が立ち並び、壮麗な庭園や噴水が整備されているとのこと。
王国の政治の中心であり、重要な会議が行われる場所でもあり、街の中で最も治安が良く、厳重な警備が敷かれている。
二つ目は聖堂地区。
この地区には、シーヴェリス王国の守護神エスリオン神を祀る大聖堂がそびえ立ち、信仰の中心地となっている。
大聖堂は巨大な尖塔を持ち、その周囲にはいくつもの小さな神殿や教会が点在しているとのこと。
国内の聖職者や巡礼者が集まり、日々祈りが捧げられるほか、エスリオン祭や祝祭が盛大に行われる地区となっている。
静けさと威厳に包まれ、精神的な安らぎを求める人々にとっては特別な場所となっているとのことだった。
三つ目に商業・市場地区。
アーセリアの商業活動の中心として栄えるこの地区は、川沿いに広がる市場を核 に、大小さまざまな商店や店舗が並んでいる。
市場では、シーヴェリス王国各地から運ばれてくる物資や、ヴァルミス港を経由して入ってきた異国の交易品が取引され、活気に満ちている。
地元の農産物や工芸品、輸入品などが豊富に揃い、毎日多くの商人や買い物客が訪れているとのことだった。
四つ目に川沿いの居住地区。
川沿いに広がるこの地区は、主に国民の居住エリアとして機能している。
都市の中心からやや離れた場所に位置し、静かで落ち着いた雰囲気があるとのこと。
住宅は石造りや木造の2階建てが多く、庭や小さな庭園が点在し、家々の前には川に面した小道が続いている。
川は生活用水としても使われ、市民は川を利用して生活しながら、豊かな自然の恩恵を受けているとのことだった。
五つ目は港と接続地区。
アーセリアと港町ヴァルミス港を繋ぐ川沿いの一帯は、物流の要となっており、川沿いの倉庫や輸送施設が並んでいる。
この地区では、港から運ばれてきた品物が一時的に保管され、アーセリア市内や他の地域に配送される重要な拠点となっている。
川沿いには広い船着き場があり、商船や運搬船が停泊し、日々荷物の積み下ろしが行われている。また、港との交通手段として、船での移動が頻繁に利用されており、アーセリアとヴァルミス港を繋ぐ定期便も運行されているとのこと。
最後に学問・文化地区。
この地区は、都市の西側に位置し、王国の学者や芸術家たちが集まる文化と学問の拠点となっている。
王立図書館や学院、研究施設が集中しており、学生や学者が日々知識を追求している。
特にこの地区では、詩や音楽、演劇が盛んに行われており、王国の文化を支える重要な役割を果たしているとのこと。
また、公共の劇場や音楽堂も存在し、貴族や市民が文化的な催し物を楽しむ場所として親しまれているようだ。
商人が「この国は商売をするにはもってこい」と言っており、騎士から話を聞きながら首都を見て回って、その理由を知った。
これなら商売がしやすい国だろう。
その分、闇は大きそうだけど。
最初に感じ取ったのは、この部分だったのだろう。
「では宿に案内いたしますね。明日迎えにきます。お願いですから問題だけは起こさないでください」
「相手次第だな」
「だね。喧嘩を売るなら、それを買うのが私たちのやり方だ」
そんな俺とエイシアスの言葉を聞いた騎士は大きな溜息を吐いたのだった。
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