24話:嫌な予感?
シーヴェリス王国。
海岸線に面している国ということもあり、海運業が盛んで、多くの貿易船が行き交う港町を持つ国である。
漁業が盛んなこともあり、魚を使った料理が豊富とのこと。
「魚料理か……」
「エイシアスは魚が嫌いなのか?」
俺の質問にエイシアスは首を横に振る。
「さかなは食べても川魚だったからね。海の魚は楽しみだよ」
「あの森、川はあるけど海まで遠いからな」
ウンウンと頷き同意している。
そこにメイドが夕食の支度が出来たと言うので向かうことに。
みんなが集まっており、夕食を食べ始めた。
食べ始めて少し、俺はみんなにシーヴェリス王国に行くことを伝える。
「シーヴェリス王国に行くことにしたのか」
レオルドが最初に口を開いた。
「魚料理を食べたくてね。レオルドの話を聞いたら行きたくなった」
「ならヴァルミス港がいい」
エルセリオスがおすすめする。
「ヴァルミス港?」
「シーヴェリス最大の港で、国際的な貿易の中心地になっている。多くの外国商人が集い、活気に満ちた市場も広がっている。貴族や商人が住む豪華な街並みが広がっており、夜になると美しく港を照らしている」
エルセリオスの説明を聞く早く行きたくなってきた。
イスティリアも会話に混ざってくる。
「首都のアーセリアもいいのですが、やっぱりお父様の言う通りヴァルミスがおすすめですね。様々な料理があり、満足できると思いますよ」
「なら次はヴァルミス港に行くとするよ」
「すぐ行ってしまうのか? まだ屋敷に明け渡しができていないが……」
「う~ん、屋敷は次来た時でもいいか?」
「それでも構わない、また友と話す理由が出来た。君たちは敵に回すと怖いが、友達としてなら良い付き合いができる」
「同感だ。こんなにも良い王様だと気が楽だ。「俺は王様だから言うことを聞け」と言われたら殺していたよ」
笑って言うが、王族の面々の表情が引き攣っていた。
おずおずとセリーナが口を開いた。
「あの、シーヴェリスの王族のことですが……」
「うん? 何かあるのか?」
「それが……」
セリーナはシーヴェリスの王家について話す。
シーヴェリス王国の王家。
シーヴェリス王家は、海洋の神『エスリオン』との神話的なつながりを持つとされ、長い歴史の中で海を支配する者としての威信を築いてきた。
王家は古代から続く貴族階級の血筋を引きながらも、実務的な貿易や海軍の統率にも優れており、現在まで王国を繁栄させてきた。
歴史に関しては興味があればというので「興味はない」と速攻でぶった切る。
呆れてはいたが、歴史とか興味がないので。
「問題は現国王でしょうか……」
セリーナの呟きにエルセリオスの表情が厳しくなった。
「あそこの国王、リアン・ヘイゼル・シーヴェリスは内陸に領地を広げようと我が国に度々戦いを挑んでいる。優秀で聡明な王だが、少々野心が、な。王妃と王女の方は優秀なのに……」
「『北の貿易戦争』と呼ばれる一連の紛争を平和的に解決したのは見事な手腕でした。他にも内政での手腕もものすごいと聞き及んでおります。港の整備に加えて、海軍の強化、商業ギルドの再編。王国が反映しているのは現国王の行いが大きく影響しております。ただ、お父様の仰る通り野心が……」
イスティリアが絶賛するほど褒め称えるのだが、問題は『野心』とのこと。
「もし、リアン王がテオ殿やエイシアス殿を見つけたら、戦力にしようとしてくる」
そんなの話し合いで解決だ。
レオルドが話を続ける。
「それにあそこの王子、レオナード王子も問題だ。巷では海賊討伐に成功して英雄などともてはやされているが、かなりの女好きだ」
つまり、エイシアスが狙われると?
そんなの話し合いで解決だ。
「しつこいようなら話し合いでなんとかなる。力って素晴らしい権力だ」
「「「「……」」」」
みんな黙ってしまった。側で控えているメイドや執事ですら何とも言えない表情をしていた。
どうしてだろうか?
「みんな黙ってどうしたんだ?」
「それはテオ様が……いえ、いいです。テオ様はそういう人ですからね」
イスティリアが話そうとして途中で諦めた。
諦めるなよ。
「イスティリアの言いたい気持ちは分かる。まあ、向こうの王家がテオ殿を刺激しないことを祈ろう。ついでに我が国への侵略も諦めてくれればいいが」
「俺に止めて来いってか? そしたらシーヴェリス王家がなくなってるぞ。その方が早いし」
「聞かなかったことにしてくれ」
「面倒ごとは御免だ。それに俺に命令するな」
王族に対して、それも国王にここまで強気に出れる人は俺しかいないだろう。
圧倒的な力っていいね。
「あっ、そうでした。もし王家の人と話す機会があったらでいいのですが、レオナード王子には私が結婚を断固拒否していたことを伝えてください」
「結婚?」
「そうなのだ」
レオルドが説明する。
「侵略の話をしたと思うが、それをいいことに止めてほしければイスティリアをレオナード王子の妻にってな。英雄ともてはやされて調子に乗っているのだ。もちろん、我が王家、貴族も含めて猛反対している」
「ははっ、随分と面白いことになってるな。いいよ。もし会えばその伝言を伝えといてやる。手紙とかないと疑われると思うけどな」
「なら我が王家の連名の署名で手紙を書いておきます。もし会えば渡してください」
「はいよ」
その程度であれば受ける。
そこから和やかに食事をするのだった。
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