23話:自由とは
「それで、テオ殿とエイシアス殿を呼んだ理由を知りたいと思う」
「そうだな。王族が俺たち冒険者に用があるとは思えなかった。お前が俺たちの力に興味を持ったくらいか?」
「その通りだ」
俺のお前呼びにエルセリオスは眉一つ動かさないし、嫌な顔もしない。
単純に気に入らないが、それを表情に出さないだけなのか。
だが、何も言わないなら別に変えなくていい。言われたところで変えるつもりはないけどね。
「レグルトから聞いていてね。先日の舞踏会での一件で益々キミと話してみたくなった。それに、娘に魔法を教えてあげるのだろう?」
「教える約束だからな。まあ、俺というよりエイシアスが教えるのだけど」
「まったくだ。私の気持ちも考えてほしいものだよ」
エイシアスが俺にジト目を向ける。
嫌がっていなかったのだから別に構わないだろ。
「はぁ……で、ここに呼んだ理由は貴族にでもなれってか?」
「そうしてほしいのは山山だ。正直なところ、テオ殿やエイシアス殿のような圧倒的な力を持つ者を国に留めておけば、国防的な理由で他国を牽制するのに使える」
「正直だな。でも知っているだろ? 自由に縛られるのを嫌うって」
「当然だ。だから勧誘はしない。ただ、友好関係を築こうと思ったのだ」
そりゃあ他国に「俺は友達に最強のヤツがいるけど、それでも戦うの?」って圧力を加えることができる。
だが、それで他国に行って警戒されて見張りでも付けられたら元も子もない。
最悪、入国できないことだってある。
まあ、移動手段は赤丸だから関係ないけど。
「俺とお前たちの関係なんて好きにすればいい。別に言いふらしても構わない。だが、友人になったからといって戦争に協力したりはしない。理由があれば別だけど」
「そうかそうか」
「言っとくが、俺は国に仕える気なんてないからな。自由が一番さ」
「自由ですか……少し羨ましいです」
イスティリアの「自由」という言葉に俺は反応する。
リディアには前に話したことがあった気がする。
「なら聞こうか。自由とは何だと思う?」
俺の質問に答えたのは国王であるエルセリオスだった。
「自由とは意思や行動で選択できる状態。個人の自由、政治的自由、意思の自由、経済的自由だと私は思う」
エルセリオスの回答は自由に対する定義だろう。
俺も同じような意見だ。
個人の自由。これが俺にとっては重要だ。
「王様の自由の定義については俺も同意見だな。だが俺にとっての自由は、誰にも縛られない強者だけが持つ特権。だからお前たちに教えてやる。――もっと強くなれ」
静まり返る室内。
「……前に言っていましたね。自由とは力で手に入れるものだと」
静寂を破ったのはリディアだった。リディアは俺が自由について話したことを言っていた。
力で手に入れろ。
「ああ。強さがなければ、自由はただの幻想だ。強さとは、その幻想を現実にする力だ」
「では、テオ殿はその力を以ってなにをする?」
エルセリオスの言葉に俺は簡潔に答える。
「――遊ぶのさ」
「……遊ぶ?」
エルセリオスの言葉に俺の口元はうっすらと笑みを浮かべた。
「この世界を遊び尽くす。世界が俺で遊ぶのではない。この世界が俺を楽しませるんだ。俺が指を鳴らせば、世界は俺のために踊る」
「退屈なこの世界が、私たちを楽しませるのだ。いい世界だろう?」
傲慢不遜、傍若無人という言葉がピッタリな俺とエイシアスに、みんなが固まっている。
いや。多分だけどエイシアスの「おもちゃ」という発言のせいかもしれない。
だがおもちゃとは言い得て妙だ。
「いいな、それ。どう遊ぶかは俺たち次第ってな」
「うむ。それでこそ主だ」
すると固まっていたみんなが我に返ったようだ。
「その傲慢さ。テオ様らしいですね」
リディアが呆れていた。
どこに呆れる要素がある?
「だが、テオ殿の人となりが分かる。縛られず、退屈な世界を楽しみたいという思いがな。私も自由について考えさせられる」
王子のレオルドの言葉にエルセリオス、王妃のセリーナ、イスティリア、レグルト、レイラと神妙そうに頷いていた。
いや、そこまで深く考えなくていいよ?
持論だし。
最後までお読みいただいてありがとうございます!
【私から読者の皆様にお願いがあります】
『面白い!』
『続きが気になる!』
『応援したい!』
と少しでも思っていただけた方は
評価、ブクマ、いいねをしていただければモチベーション維持向上に繋がります!
現時点でも構いませんので、
広告↓にある【☆☆☆☆☆】からポチッと評価して頂けると嬉しいです!
お好きな★を入れていただけたらと思います!
よろしくお願いします!