22話:魔力操作は大切
王城を後にした俺とエイシアスは、このままエヴァレット公爵邸でお世話になることにした。
断ったのだが、レグルトとレイラがどうしてもというので、呼ばれた日まで泊まることにした。
あまり長居してしまうと旅立てなくなってしまう。それに、俺とエイシアスはよく問題を起こすというのもある。
俺とエイシアスは夕食まで部屋でのんびりしていると、扉がノックされた。
「リディアです。入ってもよろしいでしょうか?」
「いいよ」
リディアが「失礼します」と入ってきた。
俺は窓際の椅子に座って本を読んでおり、エイシアスはそんな俺の膝の上に座って体を預けて寝ている。
見るとリディアの頬が若干朱色に染まっていた。
「どうした?」
「その、私もご一緒しても?」
「……俺の膝に?」
瞬間、顔を真っ赤にしながらリディアが「違います!」と声を荒らげる。
「違うのか?」
「違いますよ! 一緒に王城に行きたいのです」
どうやら明日のお呼ばれに一緒に行きたいようだ。
まあ、個人的に話したいとのことなので構わないだろうが。
「いいんじゃないか?」
「本当ですか?」
「ああ。だがどうして急に?」
「その、私も魔法を使えるのですが、テオ様のようにもっと自分の力について理解を深めたいというか……」
「強くなりたいのか?」
コクリと頷くリディアに俺はジッと見つめる。
リディアは他者よりも魔力を豊富に持っていることは感じ取れる。
しかし、持っているのと扱えるのでは全く違う。
魔力が沢山あるから色々な魔法が使えるとは限らない。しっかりとした訓練や鍛錬が必要になる。
「イスティリアに教えるから自分も一緒に学びたいと?」
「はい。ダメ、でしょうか……?」
懇願するような瞳で見つめられては断るに断れない。
だが、それを決めるのは俺ではないのだ。
「決めるのはエイシアスだ。俺に魔法は教えられないからな」
すると寝ていたエイシアスが目を覚ましジッとリディアを見つめる。
「ふむ。人間基準だと平均より多いね。イスティリアという王女と同じくらいかな」
見るだけで相手の魔力量を把握するエイシアス。このような魔法的分野では俺は敵わない。
俺がエイシアスに優っているのは魔力の扱い方という一点のみだ。
「まずは主の下で魔力操作でも学ぶといいよ。魔法はその後かな」
「……魔力操作、ですか?」
「そう。魔力操作は身体を強化したり、スキルを扱うのに一番重要な工程だ。それを疎かにすると威力も上がらない。だから魔力操作なんだよ」
「わかりました。テオ様、教えていただけますでしょうか? お礼は必ずいたします」
「お礼ね。まあいいけど」
リディアは嬉しいのか表情を綻ばせた。
よっぽど嬉しいのか、俺には分からないが教えられることは教えようではないか。
「ならまずは瞑想しながら魔力の循環でもやっておくように。自分が操作できる限界ギリギリで循環させ、次第に増やしていく。これだけで上達していく。最初は俺がいつもやっている循環方法を直接流して教えるから、あとは練習だ」
「はい」
エイシアスを膝から降ろし、俺はリディアに歩み寄る。
「場所を移そうか」
外に出てリディアを座らせる。
「目を瞑って集中しろよ。俺が少し魔力を流すから、それを覚えろ」
「はい」
リディアの背中に手を当て、魔力を流し循環を始める。
魔力を流し始めると、リディアから艶やめかしいくぐもった声が漏れる。
「んっ、あっ……」
「集中しろ」
エイシアスが俺にジト目を向けてくるが、これは変なことをしてないのだから勘違いしないでもらいたい。
数分後、頬を赤く上気させたリディアがいた。
「循環のやり方は覚えたか?」
「は、はい……」
「なら後は繰り返すだけだ。これをすれば魔力の質、操作は上がってく。続けることだ」
「ありがとうございます」
リディアはその後も夕食まで続けるのだった。
翌日、俺とエイシアス、リディアは王城からの迎えで馬車に乗り込み向かった。
すぐに部屋に通され国王のエルセリオス、王妃のセリーナ、王太子のレオルド、王女のイスティリアがやってきた。
部屋には警護の騎士が数人立っている。
「待たせた。今日くらいしか時間が取れなくてね。キミ、お茶を用意してくれ」
近くに立っていたメイドにお茶の準備をするように伝えるとすぐに用意がされた。
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