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19話:決闘

 ダンスを終えた俺とエイシアス。

 そんな俺の下にリディアがやって来る。


「お見事でした。お二人とも憧れてしまうほど素晴らしかったですよ」

「ありがとう」

「私と主なら当然だ。お腹が空いた。私は戻って食事でもしてこよう」

「なら俺も――」

「私とも踊ってくれますか?」


 そんなリディアの発言に言葉を遮られた。

 手を差し出すリディアを断ろうとしたが、教えてもらった恩もあるので付き合うことにした。


 再びダンスが始まり注目を浴び中、踊り切った俺の下に今度は王女であるイスティリアがやってきた。


「エイシアス様、リディアとのダンスも素敵でした。私とも一曲お相手願いますか?」

「はぁ、俺も食事をしたいんだけど?」

「いいではないですか。それに父が是非ともお話をしたいそうですよ?」


 その前に一曲ってことか……仕方がない。

 俺はイスティリアの差し出された手を取って再び踊ることに。

 楽しそうに踊るイスティリアが俺に話しかけてきた。


「リディアは私にとって大切な友人です。本当にありがとうございます」

「感謝されたくて助けたわけじゃない。偶然だ」

「ふふっ。そういうことにしておきます」


 こいつ、勘違いしてやがる。

 踊りながらも俺とイスティリアの会話は続く。


「私、お二人が踊っている姿を見て羨ましいと思ってしまいました。エイシアス様とはどのようなご関係なのですか? あそこまでお美しい方は初めて見ました」

「関係か……元々は敵同士? って言えばいいのかな。お互いに戦い、勝った俺にエイシアスが付いてきただけだ。それに俺は対等な関係と思っているが、あいつは俺のことを『主』と呼んでくる。どうしたものか」

「仲がよろしいのですね」

「まあな」


 小さな声で「羨ましいです」と呟くその表情は少し寂しそうだった。

 イスティリアはすぐにいつもの表情に戻る。


「それにお二人がどれだけ強いのかも聞き及んでおります。そこでどうか、私を鍛えてくれませんか? 強くなりたいのです」


 予想外のお願いに俺は目を見開いた。


「俺が得意なのは近距離戦だ。それに俺は一つのスキルしか持っていない」

「そうなのですか? 話を聞くに魔法が使えるのかと……」

「重力ってスキルのみだ。まあ、一種の魔法に近い能力だけどな。魔法を教わりたいならエイシアスだな」

「なるほど。教えてくれますでしょうか?」

「無理じゃないか? それに俺たちは世界を回っている。一つの場所に長く滞在することはできない。旅が終われば可能かもしれないが」

「そうですか。でも、次の旅を始めるまではいかがでしょうか?」


 それならいいんじゃないか?

 あとはエイシアス次第だけど。判断は俺に任せてきそうだけど。


「なら構わない。エイシアスが了承すればな」

「ありがとうございます!」


 そしてダンスが終わりイスティリアは家族の下に戻る。戻る前に「お父様がお呼びでしたよ」と伝えて去っていった。

 俺がみんなのいるところに戻ると、エイシアスが貴族の子弟たちに絡まれていた。

 どうやらエイシアスにダンスを申し込んでいるようだった。


 だがエイシアスは「雑魚に興味ない」と一蹴してしまう。

 しかし貴族というのはプライドが高い生き物なのだ。一度断られたからと簡単に諦めるはずがない。

 俺は貴族の子弟を無視して席に着き食事を再開する。そんな中、リディアやレグルトが戦々恐々としていた。

 レイラは優雅に食事を楽しんでいたので、案外肝が太いのかもしれない。

 俺を見て「素晴らしいダンスでしたね」と褒めていた。


「わ、私の誘いを断るのか⁉ わざわざ平民のお前を誘っているのだ」

「何度も言わせるな。雑魚には興味がない。失せろ。食事が不味くなる」


 語気を強め、殺気も放つエイシアスに俺は一言。


「エイシアス、殺すなよ~」

「分かっているよ」


 だが殺気を向けられた貴族の子弟たちは、情けない声を漏らして尻もちを着いてしまう。

 その様子を見ていた令嬢たちからは失笑が聞こえ、ヒソヒソと話していた。

 女って怖いね。

 子弟たちはエイシアスに対する恐怖よりも羞恥による怒りが勝ったのか、今度は俺に矛先が向いた。


「そんな男のどこがいい!」

「そ、そうだ! 平民が良い女を連れているからといい気になって!」


 ただエイシアスは、鼻で笑って一蹴する。


「誰から見ても主の方がカッコいいし、何より強いのが分からないのか? この程度の殺気でビビったならさっさと死んだ方がいいよ」


 貴族の令嬢たちがヒソヒソと「確かにテオ様は平民だけどイケメンよね」「あの誰にも態度を変えない俺様感、ゾクゾクしちゃいます」など聞こえてきた。

 子弟たちにも聞こえていたのか、ブルブルと震えていた。

 あ、これめちゃくちゃ怒ってるじゃん。面白いな。

 内心では爆笑である。

 すると一人の貴族の子弟が俺に白い手袋を投げつけて言い放った。


「――決闘しろ!」


 その瞬間、俺は口元が自然と笑みを浮かべ、リディアとレグルトの表情が青褪めていた。

 二人が止めるよりも早く、俺が口を開いた。


「決闘か。いいじゃないか。貴族は腰抜けばかりだと思っていたが、いやはや間違いだった」


 腰抜け呼ばわりされた貴族たち。主に男性陣から批判が殺到する。

 隣のエイシアスも「やっぱり主は面白い」とこの状況で微笑んでいた。

 そこにレグルトが口を挟もうとして、声が掛けられた。


「テオ様、お父様が呼んでいたのに何をされているのですか?」


 国王のエルセリオスを連れたイスティリアがそう言い放った。


最後までお読みいただいてありがとうございます!


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