14話:気付けば大切な存在
ごっそりエイシアスに搾り取られた翌朝。
やつれ気味の俺は一回の食堂で朝食が来るのを待っていると、エリンが若干赤い顔で朝食を運んできた。
「お、おはよう。二人とも」
「おはよう」
「うむ。おはよう」
「テオ、顔色悪いけど大丈夫?」
やつれ気味の俺を見て心配してくれているのか。
原因はエイシアスではあるが……
「大丈夫だ」
「そ、そう? なら良いけど」
もしかして昨日の一部始終を見られたのかもしれない。しかし、声が漏れないように結界は張ってあったはず。
エイシアスに確認の視線を向ける。
「途中から結界を張ったからな」
「あ、なるほど。それで降りてこない俺たちを心配して……」
「ご、ごめん!」
謝ったエリンはそう言って戻ってしまった。
「結界くらいしっかり張っといてくれよ。気まずいだろ」
「まあ、エリンにしか聞こえてないならいいではないか」
あの時二階には俺とエイシアスしかいないのは気配で確認済みだ。
まあ、これに関しては仕方がないと諦めよう。エリンにも後で謝っておかないと。
朝食を済ませ、エリンに迷惑をかけたことを謝ったのだが。
「まあ、二人がそういう関係なのは何となく分かってはいたんだけどね。あはは……」
若干顔が赤いエリンは苦笑いをしていた。
「部屋にいるから、騎士の人が来たら呼んでくれ」
「わかったよ」
それだけ言うと俺とエイシアスは部屋に戻った。
部屋に戻りベッドでダラダラしていると、ふと気付いた。
「貴族と会うのにこの服装でいいのか?」
「いいのではないか? 私は魔法で好きな服を着れるから関係ないけど」
「ずるいぞ……でもまあ、今から買いに行くのも面倒だからこのままでいいや」
服の汚れや身体を清めたり、そのあたりはエイシアスが魔法で清潔に保っている。
それに向こうだってこっちが冒険者だと知っているなら問題ないだろ。
リディアも、俺とエイシアスが簡単に国を滅ぼせるほど強いのは知っているので、敵に回すようなことはしてこないはずである。
そのままダラダラ過ごしていると、エリンは騎士の迎えが来たと部屋までやってきた。
「それじゃあ行ってくるわ」
「無礼なことはしないようにね!」
「適当にやっとく。んじゃ」
エイシアスと共に馬車に乗り込み、エヴァレット公爵邸へと向かった。
馬車の中から王都の街並みを眺めていると、程なくして門を潜った。
すると大きな屋敷の数々が映り込んだ。
窓を叩いて御者の人に尋ねる。
「もしかして貴族街とかなのか?」
「ええ。ここは貴族街です。王城に近いほど、その家の格が高いことになります。これから向かうエヴァレット公爵邸は、公爵家の中でも尤も王城に近い家になります」
なるほどな。入ってすぐの屋敷は男爵ということになる。
それでもかなりの大きさを誇っているのだ。これから向かうエヴァレット公爵邸は相当な広さになるだろう。
御者の人に礼を言い、眺めているとエイシアスの口元が僅かに上がる。
「どうした?」
「なに。屋敷というのも悪くはなさそうだと思ってね」
「建てるにしても土地がないぞ?」
「む。なら奪えばいいだろう?」
「悪党みたいなことを言うのな。やめとけ。それに俺は世界を自由に見て回りたいんだ。もっといい土地が見つかるさ」
「それもそうか」
世界を見たあとは、どこかに家を建ててのんびり暮らすつもりである。
それに永く一人だったエイシアスを一人にさせたくないので、なんとか不老になる方法を探すつもりでいる。
そのことエイシアスに話すと、面白そうに笑っていた。
「なんだよ。可笑しいことを言ったか?」
「まさか主が私のことをそう思っていたとは……」
「一人だと退屈だろ。人間の俺には寿命が限られてるからな」
「ふふっ、嬉しいことを言ってくれる。だが、主はもう不老だぞ?」
「……え?」
え?
エイシアスの発言に俺は思わず固まってしまう。
俺が不老? いつ? どこでなった?
「気付いておらんようだから教えるが、レベルがカンストした時点でだ。主はステータスを確認しなかったのか?」
「確認したさ。それでも人間と表記されていた」
「なら身体が適応していなかったということだろうね。確認してみるといい」
俺はエイシアスに言われるがままステータスを確認する。
名前:テオ
レベル:9999
年齢:18
性別:男
種族:人間(超越種)
スキル:重力
称号:転生者、エイシアスの主人、超越者、神に届きうる者
うん? なんか種族のところ、超越種とか書いてあるんだけど……
称号は知っていたのでスルー。
詳しく見てみることに。
【人間(超越種)】
超越種とは、人間でありながらレベル9999に到達したことで、強靭で寿命という概念を克服し、老いることのない肉体を手にした者。
おっと、レベルカンストした時点で不老になっていたのね。
不死じゃないだけマシである。
不死だったら死ぬにも死ねないからね。エイシアスが生きている間は死ぬつもりはないけど。
「うん。不老になってたわ」
「おめでとう。私は元々不老だからね。主とはこれからも一緒だね」
「それはそれで嬉しいよ」
まだ出会って短いが、気付けば俺にとってエイシアスは大切な存在になっていたのだ。
人生なにがあるか分からない。
エイシアスと一緒なら、この世界をもっと楽しめるだろう。
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