12話:ギルマスには威厳がある
王都に到着してすぐ、王都の門で出入りを見張っていた衛兵が、リディアが戻ってきたことをすぐに知らせに走った。
ついでに盗賊を引き渡しておいた。
程なくしてリディアたちはエヴァレット家の兵士がやって来て護衛される形で帰って行った。
帰り際、リディアが「助けていただきありがとうございます。後ほどお礼させていただきます」と言っていた。
「ここが王都か。人間が多いな。それで主よ。これからどうするのだ?」
「依頼の報告をしてから宿を探すか」
エイシアスと一緒にギルドに向かっていると視線が集まる。
これだけの美女を連れていれば当然だ。
ただ、エイシアスと俺が話しかけるなという圧を放っているので、常人では話し蹴ることはできないだろう。
程なくして俺とエイシアスは冒険者ギルドにやってきた。
やはり視線が集まるも、俺たちに声をかけてくるような者はいなかった。
受付に並び順番を待つ。
その間、エイシアスと宿を取った後なにをしようかと話していると、声がかけられた。
「なあ、姉ちゃん。俺たちといいことしないか?」
見ると金髪のイケメンが、エイシアスが美女過ぎてナンパしたようだ。
だがエイシアスは「結構だ」と言って断りを入れる。ナンパ男は断れると思っていなかったのか固まっていた。
だが俺からも言わせてもらおう。
お前のような雑魚にエイシアスが興味を抱くとは思わない。残念だったね、イケメン君。
だがイケメン君は諦めなかったようだ。
「そんなこと言わないでさぁ、俺たちと食事でもどうかなって誘ってるの」
「結構だと言っているのが聞こえなかったのか?」
エイシアスがキレ気味である。
このままではイケメン君の顔面が酷いことになるので、ここは主の俺が割って入るしかない。
「悪いな。俺の連れなんだ。お引き取り願おうか」
俺が割って入ったことでイケメン君たちが睨み付けてきた。
その表情は「誰だお前?」と物語っていた。
「誰だお前?」
「連れだと言っているのが聞こえなかったのか? お引き取り願おう」
「んだと? 俺たちはこれでもBランク冒険者だ。やるってのか?」
ちょっとイライラしてきたな。
だが手を出すのはダメだ。ギルドのルールに反してしまう。
周囲の冒険者は「またあいつらだ」とヒソヒソと放していることから、常習犯なのだろう。
「なんだ? 怖くて何も言えないのか? なら女は貰って――」
「黙れ」
「「「――ッ⁉」」」
俺は軽く殺気を放つ。
もう面倒だ。それにギルドのルールでは争いは禁止されているが、それは暴力に関してだ。
こういったのは禁止されていない。
俺の放った殺気にイケメン君のみならず、ギルド内に放っていたので全員が警戒し武器に手を置いていた。
それでも顔は青白い。
俺はイケメン君に一歩歩み寄ると後退る。
「消えろ。次はないぞ? お前のせいで気分は最悪だ」
「主よ。このような雑魚は殺してもいいのでは?」
「覚えていないのか? ギルド内では冒険者同士の争いは禁止されている。殺すなら外で殺せ」
「ちぇっ」
エイシアスはつまらなさそうにする。
だがギルド内では殺伐とした雰囲気になっているが、恐らく俺が外で殺すなら別にいいと言っているからだろうな。
「で、やるのか? BランクだろうがSランクだろうが雑魚には変わらないからな」
「ほう、Sランクを雑魚呼ばわりするか」
すると声が聞こえ、そちらを振り向いた。
そこには40代ほどの大柄な男性が俺とエイシアスを見て笑っていた。
「……雑魚は雑魚だろ?」
「これでもレベル150あるのだがね」
俺はそのようなことを言う男性を観察する。
男の話しぶりからするに、Sランク冒険者なのだろう。
周りの冒険者も「迅雷だ……」と言っているが、二つ名のことだと思う。
「レベル150って雑魚じゃねぇか……で、お前は?」
「レベル150を雑魚呼ばわりか……それに気配から察するに言っていることは本当なのだろうな。私は王都のギルドを任せられている、ギルドマスターのライデンだ。これでも元Sランク冒険者だ」
「テオだ。こっちはエイシアス。で、この雑魚は後で殺しておいていいか? 後からちょっかいかけられたら面倒だからな」
「それは止めてくれ。Bランクは数が少ない」
「わかったよ。ただ、次ちょっかいかけてきたら殺しておくからな」
「資格を剥奪されたいのか?」
「別に構わないが、それは御免だ。ただ、次に俺たちにちょっかいかけてきた者たちは今後活動できないくらいには痛めつける」
俺の発言にライデンは小さくため息を吐いて頷いた。
「わかった。自業自得だそれで怪我したならそいつらが悪いだけだ」
「理解が早くて助かるよ」
「そうだ。君たちが来る前に盗賊を倒したと聞いていたがあっているか?」
「ああ」
「エヴァレット公爵家から報せがあってね。受付で依頼報告するのと一緒に渡すようにしておく」
「助かるよ。無一文でね」
「それじゃあ。またすぐに会うことになりそうだ」
そう言ってライデンはイケメン君たちに顔を向けた。
「これ以上冒険者の品格を落とすようなら資格は剥奪する。これが最後の通告だ。テオ殿に殺されたくなかったら忘れないように」
「は、はい……」
ライデンは俺を一瞥し二階へと戻っていった。
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