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退魔師の事件簿  作者: 灯些季
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桂男ー2

教室のある階から進み、上の階にある図書室、音楽室、理科室を案内して行く。桂は行く先々で注目されている。やはり色男は目立つものだと思う。

 文化部の部活棟、花壇が植えられている広場となっている中庭、体育館を練り歩く。

「一通りまわったけどすぐには覚えられないだろうから迷ったら近くにいる人にでも聞いてくれ」

「ありがとうございます。あと一ついいですか?あの祠は何かの神様でも祀っているのですか?」

 桂が手で示した先、それは体育館の裏にある小さな祠。

「神様っていうかこの辺りの地域の担当の退魔師への依頼の窓口だ。祠を開けると妖怪とか現実的には処理できない困ったことを紙に書いて入れるポストがあって、入れると解決が必要な情報は退魔師の持っている端末に届く仕組みになっているらしい。」

「たいまし?」

「魔物を退ける役目の者の事さ。ここは昔から妖怪とか不思議な現象と縁がある所なんだ。聞いた事なかったのか?」

 驚いた顔で見て、うなづく。

「もしかして君が私をみていたのは私がそういう存在だとでも?まあこの人間離れした容姿で半端な時期の転校だから仕方ないですね。」

「悪いけど疑ってた。それ位簡単に日常に異常なモノが入りやすい土地なんだ」

「初対面で信じてくれとは言えないが無害のつもりですよ。」

「そうであって欲しい」

 桂の言葉をそのまま信じるつもりはないが仮にも同級生相手に動くのは気が進まない。

 しかし自分で人間離れした容姿と言うとは自覚があるかそう言われてきたのか、とは思ったがそこには触れなかった。

「じゃあそれを証明するためにしばらく一緒に行動するのはどうですか。流石に起きてから寝るまでとは言えないけど学校で過ごす間はその方が安心するでしょう?それで、土凪君はその退魔師ですか?」

「そうだったらいいけどな。ただのファンだ。あと高明でいいから。一緒に行動するって事はお前がそれでいいならそうするけど」

「じゃあ決まりですね」

 その申し出は高明としては有難いが女子からの視線が怖い事になるなと思えてきた。

 

 翌日高明が教室に入ると早速桂が近寄ってくる。

「おはようございます。退魔師の事調べましたよ。その姿を見た者はいないそうですが噂話はあるのですね。」

「調べたのかよっ。いや、噂はあるし俺もいたらイイなぁとは思ってるけど信じるとは思わなかった。」

 今まですぐに信じてもらえなかったので行動の速さに驚く。

「何やら秘密組織みたいで面白いですね。そういえば各退魔師は自分だけの武器を持っているそうですが高明だったら何を武器にしたいですか?」

「槍だな、映画とか見てて一番カッコイイと思うぜ」

「え、それだと学校には持って来れないですよね?」

「任務以外持ち歩かないだろ?」

「ですがもし私が妖怪で同級生を今襲ったらどうします?」

 桂は不敵な笑みを向けてくるが高明は冷静に言葉を出す。

「止める。俺は足止め程度しか出来ないけど騒ぎ起こしてる間に本部が近くにいる退魔師に連絡してお前を倒して解決だ。」

「なるほど。」

「でもそれなりに有名そうなのにどうして退魔師を信じていない人ばかりなのですか」

「ああ、それは妖怪に襲われるって恐怖だろ、最悪トラウマになって生活に支障をきたすから事件後は基本記憶をぼかして夢って事にするみたいだ。完璧に記憶を消すのは難しいから改ざんしているってわけだ」

「そうですか。高明はずいぶん詳しいですねぇ」

「そりゃあ自他共に認める退魔師マニアだからなっ」


 その後も桂は高明の目の届く所にいたり休み時間は高明たちと話したりと本当に近くで過ごしている。

 体育の授業では2人1組となりバトミントンを行うことになったがその時も桂は高明と組み打ち合いをする事となった。

「バトミントンの経験はあるか?」

「前の学校での授業で少しやった程度ですね。」

「なるほど」

 高明は桂に向けて程よい強さで打つ。すると簡単に打ち返してきた。

 それを少し力を込めて打つとそれも打ち返してくる。さらに力を込めて返すとそれはラケットに当たったものの見当違いな方向に飛んでいく。

 これだけでは判断しきれないが力は人並みかもしれないと思う。 

 わざと明後日の方向に飛ばして様子を見るが運動神経は並の人間と変わりないと思えてきた。


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