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教会に行きましょう

うぅ~ん、眠いよ……。ぐう。

今日はいつもより朝早く起こされて、お祖母様に買ってもらったお洋服を着て、馬車に乗ってお出かけです。

どこへ?街の教会へ、です。


今日は、プリシラお姉さんとアリスター兄妹の魔力検査の日なのですよ!

つまり、白銀と紫紺と一緒に、シエル様にご挨拶する日でもあるのです!むふっー。

で、昨日の夜、ちょっと興奮し過ぎて眠れなくて……寝不足気味なぼく。

馬車の移動中……眠っちゃいました。ぐうっ。


馬車は父様と兄様とぼくと白銀と紫紺。もう1台に母様とプリシラお姉さんとキャロルちゃんが乗ってます。

護衛はいつものアドルフさんたち。

え?アリスターがいないって?アリスターは、ぼくの乗っている馬車の馭者席にいます。

馬に乗って行こうとしたら、兄様の絶対零度の微笑みに負けて、馭者さんにお願いして、相席してるんだって。

一緒に馬車に乗ればいいのにね?ぼく、よくわかんない。



「さあ、ここからは馬車を降りて歩いていくぞ」


「あい」


ぼくは歩かないよ?父様が抱っこして運んでくれるから。

ぼく歩けるよ?迷子になりそう?白銀たちがいるから大丈夫だよ?癒してほしい?はい、分かりました。

父様はぼくを抱っこしてご満悦。頬ずりをスリスリ。

みんなでゆっくり歩いて数分、白い綺麗な建物が見えてきました。


「うん。あの教会なら大丈夫そうね」


「ああ、()()()の力の残滓を感じる」


周りにいる人たちにバレないように、コソコソと話す白銀たち。

どうやら、あの教会は神獣聖獣チェック合格だったらしいです。

大きな両扉を開いて中に入ると、前世の教会と同じく色硝子に飾られた窓から柔らかく日の光が注ぐ室内は、参拝者用の席が並べられ祭壇があり、白く輝く神様の像が鎮座していた。


「ふわわぁぁっ!」


厳かな空気の中にも、暖かな何かに満ちた空間。

ぼくは、知っている……この雰囲気。


「……シエルしゃま」


ぼくの小さな呟きは、誰の耳にも届かなかった。






神官に案内された魔力検査用の部屋は、こじんまりとした部屋で、机と椅子があるだけだった。

その机の上には、本のような四角い物が置いてある。


「今日は、うちで預かることになったプリシラと、騎士見習いのアリスター、メイド見習いのキャロルの検査を頼む」


「はい」


検査役としてぼくたちの前に立つのは、白いお髭が立派な神官さん。


「失礼ながら、ギルバート様。そのう、ご子息のヒューバート様も魔力検査を受けられては?」


「ヒューは10歳のときに一度受けたが?」


「……言いにくいのですが、ヒューバート様が以前受けられたときは、お体の調子が万全ではなく……その、呪いの影響が……」


確かに、兄様が魔力検査を受けたときは、足が動かないときで呪いに侵されていた。

だから、正しい検査結果が出なかったかもと疑ってるのかな?


「実は、アンジェリカ様の解呪を行ったときに、念のため、前後に魔力検査を行ったのですが、大分結果に違いが出まして。今、ヒューバート様を検査したならば、結果が変わる可能性もあるかと」


髭の神官さんの額に汗が……。

別に神官さんたちのミスじゃないのにね?呪いのせいなんでしょ?


「どうする、ヒュー?」


「……僕は、受けてもかまいませんよ」


「そうか。では、ヒューバートも頼む」


「はい」


そして、4人が机の上の四角い板に手を当てていく。

ぼくもひょいと父様の腕から身を乗り出して、4人の手元を覗き見る。

四角い板の半面は、水晶のような透明な硝子?になっていて、そこに手を当てている。

もう半面は木面で、不思議なことに字が次々に浮かび上がっていく。

髭の神官さんは、紙を1枚手に取ると、木面に当てて字を写し取っている。

不思議だなーっ。


父様の説明によると、魔力量と魔力属性が分かる検査で、魔力量は平民だと数百ポイント、貴族だと1千~3千ポイントぐらい。

属性は、だいたいがひとつかふたつ。

属性とは別に生活魔法といわれる魔法は、みんなが使える魔法。

おおーっ!じゃあぼくも生活魔法ができるようになるんだ!

楽しみだなーっ!

ちなみに、父様は魔力量が8千ちょい、母様は5千強、魔力量がとっても多い部類に入る。


「にいたまは?」


「ん?僕は魔力量が6千後半で、属性が風・土……あと水だった」


「水属性?ヒュー、は風と土だけだったろう?」


「増えました」


兄様はあっさりそう言ったが、神官さんはパニック状態でオタオタしているよ?

髭の神官さんの心臓が心配です。


「たぶん……チロの影響か、と」


こそっと教えてくれる兄様。

そうか、チロと契約したから、本来使えない水属性の魔法が使えるようになったんだ。


「プリシラおねえしゃんは?」


「……5千とちょっと。属性は水と風と光……だった」


おおーっ!人魚族だもんね?水属性は持っていて当たり前、だよね?


「アリスターとキャロルちゃんは?」


「うん、キャロルが8百ぐらいで、属性は火。俺が2千ちょいで、属性は火……と、文字が読めん」


アリスターがほれっと、検査結果を写した紙を見せるので、みんなで見てみる。


『&:ype&』


「なんだろうな?検査魔道具のミスかな?」


読めない文字が浮かび上がることなんて、聞いたことがないそうだ。

だから神官さんは大慌てなんだね?

属性が増えることはないのに、兄様に水属性が生えた。

文字化けして読めない属性が表記された。


「あとは、神官たちにまかせよう」


父様は、神官さんが出入りする検査室からさっさっと出て、予約していた祈祷室へと向かう。


とうとう、シエル様とご対面だーっ!







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◆◇◆コミカライズ連載中!◆◇◆ b7ejano05nv23pnc3dem4uc3nz1_k0u_10o_og_9iq4.jpg
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