出会い 4
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ガアアアアアアァァァァッッッッ!!
咆哮。
白銀が、ぼくの前に守るように立って、騎士さんたちに向かって吠えた。
ぼくの視界から剣の先が消える。
ほうっ、と深く息を吐いて白銀の揺れる尻尾を抱きしめる。
「引け!引くんだ!…俺たちじゃ、勝てない相手だ…」
一人の騎士さんが皆の前に出て指示を出すと、クルリとこちらを向いて片膝を付き頭を垂れた。
「私は、ブルーベル辺境伯領の騎士団、団長ギルバート・ブルーベル。部下の失礼、お詫び申し上げます」
んん?なんか難しい言葉を言い出したけど、なんで?
すいっと紫紺が前に出で、少し低めの声で応える。
「アタシたちは古くは神の子、生きる者たちの保護者…と言えば分かるかしら?」
ザワザワと騎士さんたちが騒いで、慌てて団長さんと同じように片膝付いて頭を下げたよ?
「神獣様と聖獣様…。此度は魔獣を倒していただいたにもかかわらず、剣を向けるなど…誠に申し訳ございません」
団長さんは両膝を付いてさらに深く頭を下げた。
あれ、土下座じゃないかな?したことあるけど、している人は初めて見たよ。
クイクイと白銀の尻尾を引くと、白銀がこっちを向いてくれた。
「どうして、あの人は謝っているの?」
「レンに剣など向けたからだ。許せないなら…やっちまうぞ」
ブルブル。
そんな怖いこと言わないで。
ぼくは、もう大丈夫。
ああいう場面で騎士さんたちが、不審人物なぼくたちに剣を向けるのは正しいことだよ。
怯えてしまったのは、ぼくのトラウマが悪いんだから。
そう、舌足らずながらも説明すると、白銀は鼻に皺を寄せて、つまらなさそうにフンと鼻を鳴らした。
暴れたかったのかな?
雷を見せてくれようとしたのかも…、でも人に雷が落ちるところは見たくないかなー。
「レンが許すと言っているから、頭を上げよ」
「レンが許すならアタシも許すわ。でも、レンに何かしたら…ふふふ」
いやっ、紫紺、怖い笑い方しないで!
ちょっと思ってたけど、紫紺って同じアパートに住んでいた綺麗なおネエさんと似ている!
優しくていい匂いがしてすっごく綺麗な背の高い人。
ママと同じ夜の仕事なのに、お昼に会ってもちゃんと綺麗な恰好してた。
ぼくと会うと頭を撫でて、お菓子やパンやおにぎりをくれた人。
ぼくのことでママとよくケンカしてた、おネエさん。
もしかして、紫紺も同類?
団長さんは白銀の後ろに隠れているぼくを見ようと、体を伸ばしてキョロキョロ。
「レン……どのとは?子供がいたのは見えたのですが…」
ひょこと顔を見せる。
ぼくを見て団長さんは目を丸くして驚いていた。
団長さんは座ってるから体の大きさは分からないけど、恰好いい騎士服を着て片肩に赤いマントを羽織っていた。
腰には剣を佩いて黒い革の長靴がきまっている。
お顔も恰好いい。
王子様のような明るい金髪に澄んだ碧眼。外国人のような彫りの深い凛々しい顔立ち。
「そのお子様が…レンどの?」
「……」
ペコリと頭だけ下げる。
知らない人は少し怖いんだ。
白銀の尻尾にぎゅっと抱き着いて、そろそろと近づいていく。
「ねぇ、ブルーベル辺境伯領っていったかしら。ここから近いの?」
「はっ。ここはブルーベル辺境伯領と隣接してますハーヴェイの森です。ここはまだ森の浅い所ですので、ブルーベル辺境伯領の街まで馬で半刻ほどで着きます」
「ふーん、じゃあ、そこに行こうかしら。アンタたちはそこに戻るんでしょ?アタシたちも連れて行きなさい」
「へ?」
団長さんは、イケメンの顔の口をぽっかりと開けて呆けてみせた。