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ごめんなさい 1

誤字脱字報告ありがとうございます!

いつも、ありがとうございます。

一緒に行きたいと愚図る琥珀を白銀と紫紺で説得して、ぼくたちは転移魔法でファーノン辺境伯様のお屋敷にバビューンと戻ってきました。


行くときと違うのは、アリスターの背中に負ぶわれている人魚族のブランドンさんとぼくの鞄に付けられたエンシェントドラゴンを模った土人形が増えたことかな?


無事にファーノン辺境伯邸まで戻ってこれたことに兄様とアリスターが深く息を吐くと同時に、お屋敷からバターンとけたたましい音がして父様が凄い形相で走ってきた。


「ヒュー! レン!」


ただいま、父様! と挨拶する前にひしっと強く抱き寄せられてググッと抱きしめられた。

兄様がじっと黙っていたから、ぼくも大人しくじっとしていました。

父様の腕の力が強くてちょっと痛かったけど、なんだか「痛い」って言えなかったんだ。


その後、心配したファーノン辺境伯様と奥様のロレッタさんに挨拶して、詳しい話は後にしてもらった。

ぼくたちはまずお風呂に入れられて温かい紅茶を飲んで、怖い顔した父様に遺跡村に着いてからのことを話した。

どうやら風が止んだことで、ぼくたちがドラゴン又は風の精霊と接触したことはわかったけど、なかなか戻ってこなかったから父様たちは随分と心配していたらしい。


セバスが何度も探しに飛び出して行こうとする父様を止めてくれたんだって。

……うう、ごめんなさい。


とにかく、連絡がなかったことと無理して遺跡内を探検して、剰えドラゴニュートやドラゴンの国へ足を運び、風の精霊王や神獣エンシェントドラゴンと接触したことを怒られた。


ファーノン辺境伯領地に吹き荒れる風を止めるために風の精霊を探しに行ったから、風の精霊王やドラゴンと接触するのは了承済みなのでは? と兄様が反論したけど、父様曰く、「一度戻って判断を仰げ」とのこと。


……そうだね! 紫紺の転移魔法で頻繁に移動して父様たちに相談してもよかったね!

ぼくが「その手があったか」と考えているのがわかる顔を見て、父様が頭を掻きむしって奇声を発した。


「そうすりゃ、神獣エンシェントドラゴン様と契約なんてしなくても済んだかもしれないのにーっ!」


「ちがうもん。けいやくじゃないの。ともだちなの!」


もう! みんなで契約、契約って騒ぐけど、ぼくと琥珀は友達なの! 父様もエンシェントドラゴン様じゃなくて、琥珀だよ?


「……ハハハ。琥珀か……。そうか、琥珀か……」


父様が薄っすら涙を滲ませて琥珀の名前を呟く。


「父様。本当にすみませんでした。でも、今はブランドンのことです」


「ああ……。彼は本当にプリシラの父親なのか?」


父様が別の部屋で休ませているブランドンさんを確認するように視線を向ける。

扉が閉じられた別室には、セバスと母様がブランドンさんのお世話をしてくれているんだ。


「ええ。ブランドンの状態ですが、かなり衰弱しているようです。一刻も早く海王国へ連れて行きたいのですが……」


「ふむ。ファーノン辺境伯にはすぐにお前たちのことを報告して、今日のうちに出発しよう」


父様は最後にゴツンとぼくと兄様に拳骨を落として、ブランドンさんが横になっている部屋へ行く。


「いちゃい」


両手でゴツンとされたところを撫で摩るぼくに、兄様は苦笑して抱っこしてくれた。

ちなみに父様は忘れずに白銀と紫紺、真紅にもゴツンしていったよ。


バタン扉の音がして父様の代わりにこちらに来たのは母様だ。

ニコニコ顔だけど、なぜか兄様はピシッと背筋を伸ばした。


「ヒュー。レンちゃん。ちょっとそこに座りなさい」


母様がそこと指差したのは絨緞が敷かれた床です。

パチクリ。


えっとぉ、と戸惑っていたら兄様がぼくを抱っこしたまま素早く動き、床に正座した。

気が付いたらニッコリ笑顔の母様が顎をクイッと動かして、白銀と紫紺、真紅もぼくたちの後ろにお座りする。


「……とっても心配したのよ? ヒュー、レンちゃん。そして神獣聖獣の皆さま?」


……あれれ? 母様の後ろにビュルルルと吹雪が見えたような?


















ヒドイ目にあいました。

父様のお説教と拳骨がかわいいものだって理解しました。


怒った母様は、とっても怖いです。

ニコニコ顔でずーっとお説教です。

何回もごめんなさいって謝りました。

正座してたから、足が痺れてしばらく動けませんでした。


白銀と紫紺、真紅も半泣きで謝っていました。

神獣聖獣が半泣きで謝るって、母様最強説が爆誕しました。


その間に父様はファーノン辺境伯に説明してくれて、もう風の被害に悩まなくて済むとわかると男泣きしていたそうです。

慌ただしく出発の準備をして、母様とお友達のロレッタ様が別れの抱擁を交わすのをぼくたちが微笑ましく見守ります。

セバスはこっそりとファーノン辺境伯とロレッタ様から今回のことと神獣聖獣についてのことを黙っている魔法契約書をもらっていました。

これで安心して帰れます。


ファーノン辺境伯領を馬車で出て、しばらく森の中を移動したら紫紺の転移魔法でバビューンです。

もう、ファーノン辺境伯邸には森を経由しなくても移動ができるので、母様ももっと頻繁にロレッタ様と会えますよ。


ブループールの街、ブルーベルの家に戻ってきたら早速プリシラお姉さんを呼びだします。

セバスがビューンと走って行ったけど、プリシラお姉さんを呼びに行く次いでに奥様であるセシリア先生の様子を見に行ったんでしょう。

また何かやらかしていないか、ずっとソワソワ心配していたものね。


プリシラお姉さんは急に父親であるブランドンさんのことを言われて動揺していました。

とにかく、二人でブルーパドルの街へ、人魚族が暮らす海の中、海王国へ行くべきだと説得しました。

主に、プリシラお姉さんの契約精霊であるエメが、ブランドンさんの様子を見てそう判断したのです。

純粋な人魚族であるブランドンさんの回復には、海の中が最適らしいとか。


「アタシが転移魔法で連れて行くより、瑠璃を呼んだら?」


「そうだな。瑠璃なら海王国の奴らへの説明も任せられるし」


そうと決まったら、瑠璃を呼ぼう。

ぼくがいそいそと瑠璃の鱗を出す前にエメが騎士団の敷地内にある泉から瑠璃を呼んでいた。

瑠璃は戸惑うプリシラお姉さんと眠ったままのブランドンさんを連れ、ブルーパドルの街へと転移していった。


「あとのことは瑠璃たちに任そう」


プリシラお姉さんの戸惑った顔が心配で、そっと遺跡村で手に入れたブランドンさんたちの肖像画を渡してみたけど、大丈夫かな?


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◆◇◆コミカライズ連載中!◆◇◆ b7ejano05nv23pnc3dem4uc3nz1_k0u_10o_og_9iq4.jpg
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