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泉の異変 7

すみません、同じ話「泉の異変6」を先ほど更新してしまいました。

紛らわしいことをしてしまい、申し訳ございません。

ちょっと更新ペースが他社サイト様とズレましたので、次回更新予定を金曜日とさせていただきます。

本当に、ごめんなさい。

ぼくがこっそりと買った沢山の紐を、紫紺が収納魔法で隠し持ってくれました。

見事に、ぼくのミッションは成功して終了したのであります!


この後は大好きな兄様と大好きな白銀たちと街歩きをして、屋台でお菓子を買ってもらって……と楽しい想像でくふくふと笑っていたら、何やら騒がしい声が聞こえてきました。


「さっきから、ずっと聞こえていたわよ。あいつら、うるさいったら」


紫紺が険しい目つきで睨むその先には、白銀の長い髪の毛を両手でイーッと引っ張る真紅と、その真紅を後ろから羽交い絞めにしている兄様がいた。


「なに、やってるの?」


お店の中で騒いだらダメなんだよ?

ぼくと繋いだ手と反対の手で髪を掻きあげた紫紺は、はぁーっとため息をつくと、カツカツと靴の音を立てて白銀に近づき、バチンと背中を強めに叩いた。


「イテッ!」


「何やってるのよ」


「俺のせいじゃねえよ。こいつがあっちこっちの品物に手を出すから、店の外で待ってろって言っただけだ」


目を三角にして白銀は、真紅の頭をガシッと掴んでガクガクと揺さぶった。


「イテテテッ。何しやがる、このバカ犬がっ」


うん、攻撃されても口は達者だね、真紅。

でも、痛いんでしょ? 目がウルウルと潤んでいるよ?


「はーっ、紫紺が来てくれて助かった。レン? 買い物は済んだの?」


兄様が真紅の体をポイッと紫紺に渡して、肩をコキコキと鳴らしてます。

た、大変でしたね、兄様。


「あい。ほちいのかった」


「そう。よかったね。後はもういいのかな? 僕はリカと母様のお土産を買ったけど」


「ハッ!」


しまった! わす……いやいや、えっと……うん、と……、ぼくも二人にお土産買いたいです!


「白銀と真紅は外で待ってなさい!」


「えーっ、紫紺はどうすんだよ」


「アタシはレンの買い物のアドバイザーだもの。一緒にいるわ。アンタたちは放っておくと危ないから屋台で買い食いでもしてなさい」


ほらっと紫紺が黒い革の小物入れを出して、銀貨を何枚か白銀に渡した。


「おっ、いいのか? いいんだな!」


白銀が紫紺からお金を貰って子供のようにはしゃいだ後、真紅を担いで外へと飛びだして行ってしまった。


「……もう少しお小遣いあげたほうがいいかしら?」


あの喜び方だと、紫紺からもらったお小遣いはすぐに使い果たしているみたいだものね。

白銀、お金は計画的に使いましょう!











無事に母様とリカちゃんへのお土産を買うことができました。

お守りに使う紐と飾り玉を買ったからお金の余裕はなかったけど、押し花の栞と小さな靴下が買えました。

お小遣いがなくなっちゃったから、また少しずつ貯めていかなきゃ。


「レン。他に行きたい所があるなら白銀たちと離れないようにね。なるべく早く屋敷に戻ること。戻るときは通用門を使ってね」


「んゆ?」


お店を出て、人で賑わう大通りに戻って屋台で果実水を買ってもらい、ゴクゴクと喉を潤していたぼくに兄様がとんでもないことを言い出したぞ。


「にいたま、いっちょ?」


ぼくが首を傾げて問いかけると、兄様は「うぐっ」と言葉に詰まりぼくからそうっと目を逸らした。


「に、兄様はね……ちょっと、お仕事があるんだ……」


なんで、ぼくから顔を背けてお話するの?

そんな怪しい態度の兄様を、ジト目で見ていた紫紺は兄様の肩をガシッと掴んだ。


「ヒュー、何をしようとしているの?」


「そうだぞ。お前おかしいぞ? まるでレンに先に帰れって言っているみたいだったぞ」


「バカ犬。ヒューはレンを俺様たちに任せて、別行動しようとしているんだ」


なにー! なんだってーっ!


「にいたま……」


兄様の服の裾をギュッと握って、紫紺のようなジト目で兄様の顔を仰ぎ見る。


「いや……ちがっ。そうじゃなくて……その、ね、僕は騎士のお仕事があるんだ。だから、そのぅ」


いつもと違うしどろもどろの兄様がなんだかかわいい……、あ、違った、怪しい。


「騎士の仕事も何も、ヒューはまだ騎士見習いでしょ。単独の仕事なんてギルが許すわけないじゃない」


「仕事だったらわざわざレンを連れて街に来ないだろうが」


「え? そうなのか? 俺たちと別行動する理由は騎士の仕事じゃないのか?」


ガァーン! て顔の白銀を紫紺がドンッと突き飛ばして自分の後ろへと追いやる。

うん、ぼくも白銀と同じ気持ちだから、もうちょっとで「お仕事」ワードに誤魔化されるところだったから。

紫紺の後ろでぼくと白銀と二人慰めあっていたけど、兄様への追及が終わったわけではない。


「ヒュー。一人でどこに何しに行こうとしているの?」


紫紺がニッコリ笑顔で追い詰めると、真紅がバタバタと走って兄様の愛馬を指差す。


「最初から途中で別れるつもりだったんだろう? だから馬をここまで連れて来たんだよな? あ、もしかして屋敷から出るのを見咎められたときの言い訳で、レンの買い物に付き合ったのかぁ」


「いや、ちがう、ちがうからね、レン。ああ、そんな泣かないで、レン。ちがうから」


ううっ、兄様はぼくとお買い物に行きたかったんじゃないんだ。

ぼくと一緒に街でお買い物したかったんじゃないの?


「ううっ、にいたまぁ。う、うえっ、うえーん」


ショックで涙腺が崩壊してしまいました。



誤字報告ありがとうございました!

とても助かります。

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◆◇◆コミカライズ連載中!◆◇◆ b7ejano05nv23pnc3dem4uc3nz1_k0u_10o_og_9iq4.jpg
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