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お家に帰りましょう 4

「そうでしゅか……」


ぼくはちょっぴり、しょぼぼん顔。

だって、新しくお友達になった聖獣ホーリーサーペントの桜花とは、ここアイビー国でお別れなの。


「ごめんなさいね。私もレンたちと一緒にいたいけど、この国の立て直しに力を貸したいの」


ナデナデと桜花がぼくの頭を撫でながら、眉を下げています。

ううん、しょうがないよ。


今、この国は悪い人たちがバラ撒いてしまった瘴気を精霊たちが浄化している途中。

でも、ほとんどの瘴気が土の中に蔓延してしまっていて、浄化作業は難航中なのです。

土の精霊たちがまだこの国に戻ってきていないのと、火の精霊は土の中での浄化にあまり向いていない。

瑠璃が頼んで来てもらった海に棲む水の精霊さんたちが頑張っているけど、初めての場所で右往左往。

桜花が土の中で、大きな蛇の姿に戻って背中に精霊たちを乗せて、アイビー国のあちこちを周っているんだよ。

それはとっても大事なお仕事で、土の精霊さんたちが戻ってくるまでは桜花にしかできないこと。

ぼくは両拳に力を込めて、桜花に声援を送ります!


「おうか、がんばって!」


「ええ、ありがと。絶対、絶対、訪ねて行くわ。待っててね」


「あい!」


「ふふふ。白銀ちゃんと紫紺も、それまでレンのことよろしくね。あ、あと真紅ちゃんにも、私もレンとお友達になったって伝えておいてね!」


ルンルンの桜花に対して、どよよんな白銀と紫紺は目を半眼にして睨んでいます。


「ええ、わかったわ、アンタ、後で覚えておきなさいよ」


「……はぁっ、こんなことになる気はしてたよ、俺は」


こうして、ぼくは新しいお友達をいっぱい作って、見事アイビー国の問題も片付けて颯爽とブルーベル辺境伯騎士団で待つ父様の元へと帰路についたのでした。

めでたし、めでたし。


「まだだよ。アイビー国を出たらすぐにダイアナが迎えに来てくれるから。そうしたら転移で父様たちのところまで帰れるよ」


「あい」


そうでした。

帰りもダイアナさんに転移で送ってもらうのだ。

紫紺も転移のコツを掴んだから、本当はこのまま一瞬で帰れるんだけどね。


「……アタシだって転移できるのに」


紫紺がぶうっと膨れてます。

兄様が滑らかな紫紺の毛並みを堪能するようにゆっくりと撫で、彼女の機嫌を取っています。


「ごめんよ、紫紺。ダイアナに今回の件を報告しないと、ぼくたちが王城まで呼び出されちゃうからね」


いくら転移で行き来できるとはいえ、自国の王様が住まう王城へは早々頻繁に行って帰ってきたい場所ではないらしい。


ガタンゴトンと馬車に揺られて、アイビー国の兵士が立つ国境を越えて、しばらく進むとダイアナさんとの待ち合わせ場所です。

今日、この時間この場所でと、事前にチロが兄様のキラースマイルで頼まれてバビューンと伝言に行ってました。

ダイアナさんとセバスと兄様で難しい話を済ませた後、白銀と紫紺がコソコソとダイアナさんと内緒話をしていて、一人でつまんないなぁとチルとディディと遊んでいたぼくの所へダイアナさんが挨拶にきてくれました。


「今回もたいへんな目に遭ったわね」


労っているようで、ダイアナさんのお顔は楽しそうに笑ってます。


「んゆ? たのしかった? たのしかったよ」


いろいろあったけれど、お友達はできたし土の精霊王様は助けられたし、アイビー国の問題も解決できたし、ぼくは楽しかったです!


「そう。ならよかった。……夢でも元気だったものね」


「え?」


夢の中って、もしかして?

びっくり眼で見上げたぼくに、バチコンッとウィンクをしたダイアナさんは何も言わせないように、ぼくとチルとディディを転移させてしまう。

あああっ、()()()()のこと、いろいろ聞きたかったのにぃ。


ぼくたちが問答無用でダイアナさんに転移させられた後、ものすごく焦った顔をした兄様たちと白銀と紫紺が転移してきたからホッとしました。

もうっ! ぼくとチルとディディだけで転移させちゃダメだよ、ダイアナさん。


「あら、ごめんなさい」


ちっとも悪いと思っていないダイアナさんの謝罪の言葉が聞こえた気がしました。










「ヒュー! レン!」


「とうたま!」


ぼくたちが転移してきた場所は騎士団の練兵場の中心。

急に現れたぼくたちに騎士たちは目を丸くして驚いていたけど、すぐに駆け寄ってきたのは、ぼくらの父様、ブルーベル辺境伯騎士団長様です、えっへん。

その後ろには、マイルズ副団長、マイじいだっ。

アドルフさんやバーニーさんたちもいる。

ああ、お屋敷のほうから母様がリカちゃんを抱っこして歩いてくるよ。

その後ろに心配そうなマーサが追いかけてきている。


「おかえり、レン」


逞しい両腕を広げてぼくたちを迎えてくれる父様は、嬉しいのにちょっと涙目の変な笑顔。

そんな大好きな父様へ、ぼくと兄様は声を合わせて応えるんだ。


「「ただいま!」」


ぼく、ブループールの街へ、父様や母様、リカちゃんの待つお家に帰ってきました!

みんなと離れてて寂しかったけど、いっぱい頑張ったんだよ?

お友達もできたし、大冒険だったんだから。


父様、母様、リカちゃん、みんな。

ちゃんと、ぼくが大活躍したお話し聞いてね。


ただいま!


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◆◇◆コミカライズ連載中!◆◇◆ b7ejano05nv23pnc3dem4uc3nz1_k0u_10o_og_9iq4.jpg
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