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その後の話 アイビー国side

誤字脱字報告、ありがとうございます。

毎回、助けられています。

真紅たちへのお仕事ってなんだろう?


ダイアナさんが真紅にその仕事の内容を話す前に、ぼくの目はパチリと覚めてしまった。

ええーっ、なんで?

目が覚める直前に、ダイアナさんが見えないはずのぼくにパチンとウィンクしたと思ったら、ベッドの中でした。


昨日、真紅のことで落ち込んでぐすぐす泣きながら眠ったけど、あれは夢の中の出来事だったのかな?

それにしては、妙にリアルだった気がする……特にシエル様のヘタレ具合が……。


ベッドの上に座ったまま腕を組んでうーんうーんと唸っていると、ガチャリと扉が開いて兄様が心配そうにこちらを窺っていた。


「……レン? 起きたの?」


どこか遠慮がちな兄様の声に、ぼくは申し訳なさそうに首を竦めて挨拶をした。


「にいたま、おはよう」


「レン。よかった、気分は悪くない? 痛いとこはない? ああ、ちょっと目が腫れてしまったね。冷やしたほうがいい」


ビュッと小走りでぼくの傍に来た兄様は、ぼくの体をあちこちと確認してぼくのやや泣き腫らした目を見とがめる。

すぐにメグに指示して濡らしたタオルを持って来させると、兄様が優しくぼくの目にタオルを当てる。

ほんわかしてあったかい。

しばらくすると、冷たいタオルが当てられる、ふうーっ。


「……ヒュー。何やってんだ? 朝食だぞ?」


そのやりとりは、アリスターが呆れた顔でぼくたちを朝食に呼びに来るまで続けられた。

たいへん! 朝ご飯はしっかり食べなきゃ、大きくなれません!

起きてからドタバタしていたら、シエル様の夢のことをすっかり忘れたぼくなのでした。











アイビー国の危機は去りました。


ヒーローたちの活躍によって、アイビー国は守られたのです……で、終わればよかったんだけど、現実には後始末という面倒なことが残っているらしいです。


「なんで、他国のためにお忍びで旅をして、よくわからん石柱を壊して、会いたくもない聖獣やら精霊王らに遭遇して、うまい酒も飲めないうちに貴族子息としてお偉いさんと会わなきゃならんのだっ」


アルバート様が朝から文句いっぱいです。

どうやら、石柱を壊すとかアイビー国全体に精霊たちによる一斉浄化運動が始まるとか、大事すぎて他国の一貴族の子息が知り合いの伯爵様を旅行のついでに助けましたでは、済まないらしいです。


なので、ブルーベル辺境伯様から王様へちゃんと報告して、国同士の話し合いの元、石柱の破壊などなど了承済となり、ぼくたちも知らん顔してお家に帰れるようになったんですけどね。

助けられたアイビー国としては、何も「おもてなし」もせずに帰していいのだろうかと王様と大臣たちが会議で頭を悩まして出した答えが、王族の非公式の訪問。

当然、モンステラ伯爵様同席のうえ、こちらはブルーベル辺境伯の甥でブルーベル辺境伯騎士団団長であり、ブルーベル伯爵の嫡男、ヒューバート・ブルーベル、つまり兄様が応対するべきなんだけど。


「嫌ですよ。僕はかわいいレンとそのレンの大事なお友達と一緒にお忍びで旅行中です。まだブリリアント王国の社交界にも正式にデビューしていないのに、他国の王族と非公式に会談なんてしません」


「……お、お前。ヒューバートがそんなこと言ったら、俺にお鉢がまわってくるだろうがっ。ここには俺とお前ぐらいしか立場上、出迎える資格のある者がいないんだぞ?」


アルバート様は自分がやりたくないから必死に兄様を説得しようとしましたが、無理でした。


「でも、僕はまだ子供ですから。ねぇ、セバス?」


「そうですね。こうなることも予想して、アルバート様の礼装も用意してあります」


「なんでだよっ!」


アルバート様、リン、セバスは連日、モンステラ伯爵邸でアイビー国のお偉いさまたちと会談、お茶、夕食です。

お礼を言われるだけならまだしも、遠回しに「神獣様、聖獣様とお会いしたい」とねだられるのを、回避しまくっているそうです。


特に、白銀たちとお友達のぼくのことはトップシークレット扱いで、モンステラ伯爵邸の近くにいると疑われるから、ぼくと兄様たちは連日、ここクラク森を訪れています。


しばらくは、冒険者ギルドで依頼が出ている「石柱破壊後の清掃作業」で冒険者たちがウロウロしていたみたい。

ただの清掃作業員ではクラク森の奥深くまで辿り着けないから、高ランク冒険者たちが魔獣を討伐しながらお掃除するんだって。

この依頼にミックさんとザカリーさんも参加しています。

アルバート様には恨めしげに「逃げたな?」と言われてました。


ぼくたちは、そんな冒険者たちに見つからないように、聖獣ホーリーサーペントが張った結界近くまで転移して行き来してます。

そう! とうとう紫紺が複数名の転移に成功したの。


「ふふーん。コツさえ掴めばこんなものよ。もう王都にだって馬車ごと転移できるわ」


紫紺は、鼻高々に胸をババーンと張っています。

うん、まだ上手に転移ができない白銀がズドーンて落ち込んでいるけど、うん、しょうがないよね。

ぼくは、哀愁漂う白銀の背中をポンポンと叩いて慰めました。


「俺だって、俺だって……。ちゃんと練習してるのにぃぃ」


うん、でも、毎回転移させた石が途中で爆散しているもんね……当分は無理だと思う。


「あら、いらっしゃい。待ってたわ!」


そんなぼくらに、今日も人化した姿で蛇のお姉さんが出迎えてくれました。

こんにちは、また遊びに来たよ!


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◆◇◆コミカライズ連載中!◆◇◆ b7ejano05nv23pnc3dem4uc3nz1_k0u_10o_og_9iq4.jpg
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