瘴気と浄化 2
すみません。
肩と腕を痛めてしまい動かせない状態になってます。
今後も更新が遅れることがあると思います。
すみません……。
ぼくの治癒魔法……じゃなくて、たぶんおまじないが効いて元気になった白いお花を摘もうとしゃがんだら、白銀たちはびっくり眼でお花を凝視した後、またこそこそと隅に集まって内緒話を始めてしまった。
つーんだ、別に気にしないもん。
さて、元気に咲いているお花は花壇のお花の一部分だけだから、全部摘んじゃったらダメかな?
一人一輪渡して喜んでもらえるかな?
できたら、父様が母様にプレゼントしているみたいに花束にしたかったけど、お花が足りないよね。
えっと、ぼくは兄様とアリスターと、ごめんなさいのお花を贈る人数を指を曲げて数えだした。
「なんで、急に花が元気になった?」
「ピーイッピイ?」
<あいつが治癒魔法かけたんじゃねぇの?>
「まだ、レンは魔法使えないわよ。あの方の封印があるんだもの。使ったのは別の力……浄化よ」
「なんで浄化の力で花が元気になんだよ?」
「ピイピイピイ」
<バッカだなぁ、白銀。そんなの瘴気が浄化されたからだろ>
「バカはアンタよ、真紅。なんで瘴気が浄化されたら花が元気になるのよ。それって」
………………。
「「土が瘴気に侵されているからだ!」」
「ピッ?」
<はあ?>
なんか、白銀たちがうるさいぐらいに盛り上がっているけど、ぼくは白いお花を数えるのに夢中で聞こえてません。
やっぱり、一人一輪しか贈れないなぁ。
ぼくは慎重にお花の茎を持ってプチッと……。
「ね、ねえ!」
「んゆ?」
女の子の声が聞こえたので振り向いたら、モグラの獣人のドロシーちゃんがいつの間にか顔を真っ赤にして立っていました。
パチパチと瞬きをして、とりあえず立ち上がってペコとご挨拶。
「こんにちは」
「あ、ええっと、こんにちは」
そして、モジモジ。
なんだろう? ぼくに何かご用? それとも兄様たち? はっ! もしかしてセバスにご用?
ぼくはドロシーちゃんに、兄様たちはあっちにいるよと教えてあげようとしました。
「にいたまは、あっち……」
「ねぇ、あなたもそうなの?」
……んゆ?
ドロシーちゃんに言われたことがわからなくて首を傾げると、ドロシーちゃんはぼくの手をその大きな両手で握ってきました。
「んゆ?」
前は握手するのも躊躇していたのに、今はがっちりとぼくの手を握っています。
「あなたもそうなんでしょ? だって土が元に戻ったもの。だったらあたしと一緒に……」
なんのこと?
ますますドロシーちゃんの言っていることがわからなくて首を傾げまくっていると、剣の手合わせしていた兄様がぼくに気づいてこっちに走ってきます。
「レーン! 黙っていなくなったらダメだろう。あれ、ドロシー?」
兄様に名前を呼ばれたドロシーちゃんは、パッとぼくの手を放すとあわあわと不思議な踊りを踊って、何も言わずにタタッと走り去って行きました。
えー、なんだったろう?
「レン? ドロシーは何をしに来たの?」
「……さあ?」
なんか、ぼくもドロシーちゃんと同じだとかなんか言ってたけど、よくわからなかった。
はっ! それよりお花を摘まなきゃ!
ぼくはしゃがんで花壇のお花に手を伸ばしたのだった。
「ごめんなしゃいと、ありあとの、おはなでしゅ」
はいっと白銀と紫紺の耳に小さな白いお花をあげます。
真紅には首のところの羽に、ディディには前足にクルッと茎を結んで、チルとチロは自分で持っていて。
「アリスターにも」
お花を手渡すぼくと目線を合わすように膝をついてくれたアリスター。
兄様もその隣でニコニコ顔で膝をつく。
「はい、にいたまも。えっと、わがまま、ごめんなしゃい」
「ありがと、レン。レンはとってもいい子だから、気にしなくてもいいんだよ」
デレッとした顔でお花を受け取った兄様は、ぼくの頭を何度も撫でてくれました。
しかし、アリスターは渡したお花を見て、花壇の花を見て、また自分の手の中のお花を見てとお花を比べている。
「なあ、ヒュー。この花……やけにキレイに咲いてるよな?」
「ああ、そうだね。やっぱりレンが摘む花はとびっきりキレイだよね!」
「いや、そういうことじゃない。兄バカもいいかげんにしろ」
アリスターは、ムッと顔を顰めバシッと兄様の背中を叩く。
「そうだぞ。アリスターの言いたいことはそうじゃない」
「そうよ。他の花は萎れ気味でしょ? この花はレンが浄化したからキレイに咲いているのよ」
白銀と紫紺がズズイッと兄様の前に出てお花の違いを指摘する。
「そっかぁ。レンはすごいね! お花がキレイに咲くように浄化してあげたんだー。すごいねー。え、浄化? 浄化?」
兄様がぼくを抱っこしてぎゅうとしてくれたのに、我に返ってピタリと動きを止める。
「そうだ。浄化したんだ。それはつまり……」
「ここの土が瘴気に侵されていたってことなのよ」
白銀と紫紺のため息に、兄様とアリスターの顔が強張った。
「んゆ?」
みんな、どうしたの?





