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聖獣みつけた 4

白銀と紫紺、真紅とは誰のこと? と問いかけられて、三人はピタリと動きを止めて顔を青褪めさせる。

なんで? 代わりにぼくが答えてあげようか?


「あのねー」


「「レン、ダメーッ!!」」


「ピーイッ」

<やめろーっ!>


んぐっ。

白銀と紫紺の手がぼくの口を塞いでしまうから、ぼくはうごうごと藻掻くことになる。

ううーっ、放してよー、白銀と紫紺。


「ああ? 白銀様がフェンリルのことで紫紺様がレオノワール。真紅はそのちっさい小鳥のことだ」


アルバート様が空気を読まずにサラリとバラしました。


「ピイッ」

<誰がちっさい小鳥だ! 俺様はフェニックス様だ!>


うん、真紅の言葉は同じ神獣聖獣同士かぼくにしか聞こえてないから、そんなに怒ってもピイピイッて小鳥がかわいく囀っているだけにしか思われてないよ。


「あら。貴方たち名前なんか付けたの? え……、まさか……人に付けてもらったとか? ああっ、貴方たち、契約しているじゃないのーっ!」


お姉さんがブルブル震える指で白銀たちを指差すと、絶叫した。

思わず、ぼくはお耳を手で塞ぎます。


「そ、そうだ。俺は契約して白銀の名前をもらったんだ」


「ええ。大事な人と契約して名前を付けてもらったのよ。素敵でしょ?」


白銀と紫紺は、急に態度を変えてお姉さんに自分の名前を自慢しだした。


「それに、俺たちだけじゃねぇぜ。あのリヴァイアサンだって瑠璃って名前をもらってんだ!」


()()方の意に背くことでもないし。契約もいいものよ」


「そ、そうなの? リヴァイアサンまで契約したの? 同じ人と?」


お姉さんは、白銀と紫紺の体を契約の徴を探すようにジロジロと眺めた。


「うっ。うーん、同じだが……」


「そう。ずいぶんと力の強い人なのかしら? まさか神獣聖獣()人と契約するなんて普通の人じゃ無理だもの」


「「は?」」


んゆ? 黙って白銀たちの会話を聞いていたぼくも首を捻ります。


「にいたま。ぼく、ともだちになったの、しろがねとしこんとるりだけだよね?」


「あーっ、今、それは言っちゃだめーっ」


んぐぐっ。

今度は兄様の手で口を塞がれました。


「聞こえたわよ。どういうこと、フェンリルちゃん! あんな小さな子供と契約したの? 嘘でしょ! あんなに弱くて小さいのに……」


んぐんぐぐっ、あんまり「小さい」と連呼しないでください。

ぼくの背が伸びないこと、ちょっと気にしているんだから!


「それは……。おい、紫紺。こいつに説明してくれっ」


お姉さんに胸倉を掴まれてガクンガックン揺らされている白銀が紫紺に助けを求めたが、紫紺はなぜかこの場からこっそり逃げようとしていた真紅を捕まえ、殺気を孕んだ眼で睨んでいる。


「ア~ン~タ~。どういうことよっ。いつのまにレンと契約したのよーっ!」


あ、やっぱり、ぼくがお友達になった四人目って真紅だったんだ!










真紅はだんまりのまま、ぷぎゅと獣姿に戻った白銀の太い前足で踏まれています。

ちょっと肉球が羨ましいなぁ、なんて思ってないですよ?

紫紺はお姉さんをみんなから離れた所に連れ出して、こしょこしょ内緒話をしていました。


「ごめんなさい」


でも、戻ってきたお姉さんが、なんでぼくに深々と頭を下げて謝っているのかな?

紫紺が慌ててお姉さんの腕を掴んで耳元で囁いているけど?

ところどころ、「()()方のお願い」とか「保護者とか」聞こえてくるけど、もしかしてシエル様がぼくの保護者にってお願いしたのに、断ったことなのかな?

ぼく、気にしてないのに。


「レン。何かしたの?」


「ううん。ちらない」


兄様の膝の上で頭を左右に振って否定すると、お姉さんは泣き笑いの顔で「ぼうやは優しいのね」と呟いた。


「はあぁっ。本当にレンと真紅の間で契約が成されているわ。なんてこと……まったく気づかなかったなんて……」


紫紺は額に手を当ててフラリと揺らめくフリをする。

でも、いつも紳士なセバスも貴族教育を受けていたアルバート様もリンも知らんぷりしています。


「ちょっとーっ! 美女がフラリと倒れそうになってんだから、大丈夫ですか? と甘く囁いて助けなさいよねーっ」


紫紺が急にプリプリと怒り始めました。


「……紫紺」


白銀がうんざりと耳をペタンと倒すと、前足から力が抜けたのか真紅がパタパタと小さな翼を動かして脱出に成功する。


「ピーイッ。ピイッ」

<うおっ、イテテテ。こんの馬鹿力の駄犬め!>


ヨロヨロと危なっかしい飛行で、ポスンとぼくの頭の上に着陸する真紅。


「しんくー」


ぼくが真紅を捕まえようと頭の上に両手を伸ばすけど、真紅はぼくの頭の上で器用にその手を避けている。


「ピイピイ」

<べ、別にお前と契約したのは深い意味なんてないっ。勘違いすんなっ>


「うん! おともだち、うれしい」


兄様の膝の上ではしゃいでいたら、ゴホンとわざとらしい咳払いが聞こえてきた。


「レン様。そろそろこちらに来た目的を……」


セバスがぼくたちに促すのは……、えっと……なんだっけ?


「レン。ホーリーサーペントにこの地への干渉を止めてもらうようにお願いしようね」


あ、そうだった!

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◆◇◆コミカライズ連載中!◆◇◆ b7ejano05nv23pnc3dem4uc3nz1_k0u_10o_og_9iq4.jpg
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