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転生準備のぼく

事情を説明されました。


ぼく、死んじゃったんだって。そうかな?とは思ったけど…。

それを、たまたま友達の神様の社で見ていたこの神様が、ぼくを可哀想に思ってここへ連れてきてくれた。


ここは、別の世界にある神様のお部屋。

神様は日本の数ある神様の一柱なんだけど、日本では担当が細かく決まっていて自由にできないから、いちばん偉い神様に許可をもらって、この世界『カラーズ』を創ったんだって。


「だから、この世界では創造神・シエルなんだよ。日本神としての名前は内緒ね」


パチンとウィンクをして、ぼくに甲斐甲斐しくジュースやお菓子を出してくれる。

目が覚めたときは殺風景だったお部屋は、あっという間に豪華なお部屋に変わっていて、ぼくは、ちょこんと洋風な椅子に座ってお話を聞いてます。


神様、シエル様が言うには、ぼくはシエル様が創った世界に転生させてくれるらしい。

そこは、日本のアニメや漫画などのサブカルを真似て創った剣と魔法の世界。

ぼくも、夜遅くテレビを見てたからよく知ってるよ。


「人だけじゃなくて、獣人やエルフ、ドワーフとかもいるし、動物だけじゃなくて魔獣もいるし、神獣もいる。王制の国が多くて…、そうそう、冒険者ギルドもあるんだよー」


楽しそうにお喋りするシエル様は、まるで子供みたいにはしゃいでる。

ぼくは、クッキーを口に運ぶことも忘れてポッカーンとしちゃった。


「…ぼく、そこで、なにをするの?」


お仕事するんでしょ?使命っていうのかな?転生する条件みたいなのがあるんでしょ?

あんまり難しいと困っちゃうな。ぼく、まだ10歳にもなってないから、体も小さいし頭も悪いし…。


「なにも」


「へ?」


「レンくんは、なにもしなくていーの。僕の世界で幸せになってくれれば、いーの」


「え、でも…」


「んー、どうしても何かしたいのなら、あっちでの目標を授けてあげる」


ニヤッと人の悪い笑顔で、ぼくの顔に顔を近づけてシエル様は告げた。


「友達、いっぱーい作ってよ!」




シエル様が創った世界には、日本どころか地球にもいない生き物がいっぱいいるらしい。

特に全ての生き物を守る存在として、シエル様がそれはそれは気合を入れて創った者たちがいるんだけど…。


「言うこと聞いてくれないんだよねぇ。反抗期?自立心?わっかんないけど、最近、冷たい態度でさぁ」


…神様って愚痴るんだ…。

ぼくは、そんなシエル様の態度にちょっと気がラクになったので、ジュースとお菓子を口に入れる。


「その子たちだけじゃなくて、人でもエルフでも魔獣でも、友達になりたいって思ったら友達になってごらん。それが、レンくんへの使命だよ」

「…はい」


照れながら返事をすると、シエル様は嬉しそうに笑って、どこからか狐や狸を沢山呼び寄せた。

どうやら日本での神様の神使たちらしい。クルッと宙返りすると愛らしい幼児の姿に変身して、忙しそうに立ち回っていく。


それから、新しい世界へのレクチャーを受けた。神使の一人から。

シエル様は難しいのは勘弁してー、と逃げてしまった。


ぼくは、これから体を作り直すんだって。この体は前の世界仕様だから、いろいろ不都合があるらしい。『カラーズ』仕様の体に変えると、ぼくにも魔法が使えるようになるって!


「新しい体は、今までレン様を愛してくださった方たちの想いで作ります」


「愛?ぼくに、そんな人いるかな?」


「…大丈夫ですよ。でもとても幼くなるでしょう。だから、あちらに行かれたら、すぐに保護してくれる人と巡り会えるようにしておきます」


「保護してくれる人?」


ぼくは、産まれ直す訳じゃないんだ。

作り直された幼い体で、向こうに渡るんだって。転生?転移?一応体を作り直すから転生になるのかな?そして幼児ひとりで生きていけるほど優しい世界じゃないから、保護してくれる人を誘導しておく、と。


新しいパパとママはできないのか…、ちょっと残念。


「では、よい人生を」


「レンくん、怖くないからね。次はしたいように、やりたいように生きてね」


「ありがとうございます、シエル様。…また、会えますか?」


ぼくの頭を優しく撫でて、「教会で会おうね」と。

そうして、ゆっくりとぼくの瞼が下りて…。



「ぎゃあ!なんでなんでなんでーっ!」


「〇〇様!幼児どころが赤子ではありませんか!このまま世界を渡らせたら、すぐに次の生も終了しちゃいますよっ」


「えーっ、こんなに想いが少ないなんて…。僕が甘かった…。どうしようか、赤ちゃんひとりじゃ生きてくのは無理だし…、もう少し大きくなるまで、この聖域で育てるしかないかなぁー」


「そうしましょう。我々が面倒をみますので、〇〇様はレン様のフォローでもしてください」


「うん。保護してくれる人の再検索と…。あいつらにダメもとで頼んでみるか…。ダメだろうけど…」


ぼくは、どうやら幼児じゃなくて、おぎゃあおぎゃあと、泣くしかできない赤ちゃんになってしまったようだった。





「んにゅ?」


目が覚めた。


すごく気持ちよく寝てた。目を瞬くと、目の前に白っぽい大きなワンちゃんと黒っぽい大きな猫ちゃんが鎮座していたんだけど……。



シエル様?これ、どういう状況ですか?




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◆◇◆コミカライズ連載中!◆◇◆ b7ejano05nv23pnc3dem4uc3nz1_k0u_10o_og_9iq4.jpg
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