~???の場合~
暗い所にいる。
押し込められている。
体をギチギチに縛られて身動きもできない。
呻き声も上げられず、歯を食いしばるだけ。
ザアーッと砂の動く音が聞こえた気がした。
閉じた瞼に浮かぶのは、青い青い空と白い雲。
足もとをサーサーと流れるように動く白い細かい砂。
照りつける太陽の眩しさ。
暗い。
寒い。
何も聞こえず、見えない。
なのに、耳に聞こえるのは砂の音に似た少女の泣き声か?
それとも獣に堕ちた我の咆哮か。
崇めたかの方の断罪の言葉か。
同朋たちの慟哭かもしれない。
こんなはずじゃなかった。
神に創られた我々は、神の箱庭に降り立ち、その地を守護していく使命があった。
神からの使命は誇らしく、代えがたき喜びだったのに・・・。
仲間が一人、一人と任務から外れ狂い出していく。
なんとか思い留めさせようと働いたが、結果は無残なものだった。
そして、自分も同じように唯一人を守護するために、全てを投げうった。
それでも、守れなかった。
・・・どこで間違えたんだろう。
あの少女を守ろうと決意したことが間違いだったのか。
少女を害した輩を爪で裂き、その地を葬ったことが間違いだったのか。
怒りと恨みにこの身を浸して、土地を穢し命を奪ったことが間違いだったのか。
いや、我が間違いだったのだ。
神が獣を創ったことが間違いだったのだ。
いや、神がこの箱庭を創ったことが間違いで、罪だったのだ。
では、我はこのまま地の底に沈められ存在を消されるのが正しいのか?
何もかも、なかったかのように日々を重ねていく世界が正しいのか?
いいや、全ては正されるべきだ。
この、卑しい者どもを粛清するべきだ。
獣のくせに、神聖なる者のように生きる厚顔な仲間を消すべきだ。
神が創ったこの遊び場を、箱庭を消滅させるのが、正しい道だ。
そう。
我はこの地から蘇り、箱庭を壊す。
そのために、我は眠らずに爪を研ぎ続けているのだから・・・。
次の章までしばしお時間をいただきます。
ちょっと、プライベート含め心身に負担を強いられる日々が続き、書くことができません。
お休みして、また書けるようになるまでお待ちいただけたらと思います。
沢野 りお