表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
127/473

馬車の旅 1

今日も晴れていいお天気です!


ぼくのお屋敷は母様が産んだお姫様、ぼくと兄様の妹のお世話で朝から大忙し。

セバスと父様もやや寝不足のようだし、シェリーお祖母様と母様もちょっとお疲れモード。

マーサだけが元気で、メイドたちにあれこれと指示をしているけどね。


ぼくと兄様は紫紺の魔法で毎晩安眠が約束されているから元気だし、一日のほんの僅かな時間だけしか会えないけど妹はかわいくてかわいくてサイコーです!

でも、今日からはしばらくお別れなの。

とうとう王都へ出発する日が来てしまったんだ。

難産でまだ少し床に伏せっているレイラ様のフォローに、辺境伯邸に泊まっていたナディアお祖母様も一緒に行くの。


「だいじょーぶ?レイラさま?」


「ああ、大丈夫だよ。お義母様も手伝いに行ってくださるし、ティアゴの奥さんもいるしね」


うん、ぼくは知らなかったけどセバスの兄でハーバード様の専属執事のティアゴは結婚していて子供も二人いるんだって。

こっちにはマーサとセバスがいるから、シェリーお祖母様が辺境伯邸のレイラ様の所へ、たびたびお手伝いに行くそうだ。

ちなみにレイラ様の産んだ赤ちゃんは男の子で、あの冷静沈着な無表情のハーバード様が、抱っこしたときに嬉しそうにほんのり笑っていたらしいよ?

でもユージーン様は自分の弟と初めて会って「猿みたいだな!」と快活に言い放ちレイラ様が怒ったとか。

でもナディアお祖母様の話だと、じいじ……前ブルーベル辺境伯のロバートお祖父様が父様が産まれた時に同じこと言ったって呆れてた。


「ユージーンは父上に似ているからな」


父様も苦笑いです。


ぼくが気になっているのは、もう一つ。

プリシラお姉さんのことだ。

どうやらブルーパドルの街でのトラブルってプリシラお姉さんのことだったらしい。

ナディアお祖母様が詳しいことをぼくに教えてくれないからわからないけど、どうやら魔力枯渇状態で体調を崩してしまったんだって。

こちらに戻ってきても、動くのが辛いからと自室で休んでいるから、ぼく「おかえりなさい」が言えてません。

ちょっと心配。

チルに様子を見てもらおうとお願いしたら、「イヤなやつのけはいする、やー」って断られた、くすん。


今回の王都行きにぼくと兄様、父様とナディアお祖母様と同行するのは、やっぱり王家に報告する火の中級精霊のディディとその契約主のアリスター。

護衛にアドルフとレイフ、ぼくたちのお世話にリリとメグ。

アルバート様と冒険者パーティーのミックさんとザカリーさんとセバスの弟のリン。

もちろん、白銀と紫紺、チルとチロも一緒だし、真紅も連れて行く。

真紅は嫌がったけど、セバスが悪魔の微笑みで「おやつを条件に頷きました」と報告してきたので、一緒に行きます。

おやつもちゃんと用意したからね!


<おやつよりも、あの悪魔から離れたいんだよっ、俺様は!>


さあ、辺境伯の紋章が掲げられた大きな馬車に乗って、出発です!










ぼくは馬車の旅といえば、お尻の激痛を覚悟していたんだけど、リリとメグが綿がいっぱい入っているフカフカクッションを用意してくれました。

しかも、ぼくのズボンのお尻のところに「衝撃吸収」の付与魔法をかけた布を当てているんだ!

今のところ、とっても快適です!

でも……。


「にいたま?くっきー、たべゆ?」


兄様は少し不機嫌です。


「ありがとうレン。でもレンが食べていいよ」


うーん、兄様の鋭い目付きが父様に向かったままですね。


「ふー。ヒュー。いい加減諦めろ。言っただろう?お前が馬に乗って移動しても転移門の手前で愛馬は置いて行くことになるから、今回は諦めなさいって」


「わかっています」


兄様の頬がぷっくりと膨れました。

どうやら、兄様は今回の旅こそ愛馬に乗って移動したかったみたい。

でも、転移門で移動するには物量にふさわしい魔石を用意する必要があるらしく、今回は王様からの召喚なので王家で用意してくれた魔石を使用することになったの。

でも、馬車や馬までは転移できないらしい。

だから、ぼくたちは転移門で移動したあと、向こうで用意してある別の馬車と馬で王都を目指すんだよ。


「にいたま。げんきだして」


ぼくは兄様のサラサラな金髪をナデナデした。


「レン。……せっかくレンと一緒に馬に乗れると思ったのに」


え?兄様ががっくりしている理由ってそういうことなの?

父様もやや呆れた顔で、窓の外に見える並走する騎士たちの乗る馬を親指で差してみせる。


「だったら、あとであいつらと交代すればいいだろうが。でもあんまり長い間はダメだぞ?」


「はいっ!レン、あとで僕がお馬さんに乗せてあげるからね」


「あい」


ぼくもビシッと右手を上げてお返事をします。

お尻が痛いわけじゃないけど、兄様と一緒にお馬さんには乗ってみたいので。


「あらあら。かわいいことねぇ」


ナディアお祖母様がニコニコ顔でぼくたちを見ています。

転移門が設置されている公爵家の領地までの馬車の旅がとっても楽しそうでぼくもニコニコです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆◇◆コミカライズ連載中!◆◇◆ b7ejano05nv23pnc3dem4uc3nz1_k0u_10o_og_9iq4.jpg
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ