チュートリアル
「...んん。」
目が覚める。
「ここは...どこ?」
彼は岩に囲われた薄暗い洞窟の中で眠っていたようだ。
「ふわふわしてまるで夢の中にいる気分だ。」
光が届かないはずの場所でも彼ははっきりと壁となっている岩の窪みや地面の凹凸が見えている。
(夢ならば何が出来るんだろう。)
「...ステータス。」
不気味なほどに静閑とした洞窟の中で彼の声だけが木霊する。
「ステータスオープン。ステータスプレート。プロパティ。鑑定。解析。能力開示。自己分析。把握。理解。」
どれ程声に出そうとも彼には誰も応えない
「他には何があるだろう。...メニュー?」
フィンッ!
軽快な音と共に彼の眼前には半透明の画面が現れる。
それはさながらゲームのUIのようでありテーマパークの立体映像のようでもあった。
「何が書いてあるのかな?」
─────────
名前 無し
年齢 無し
性別 無し
レベル 1
スキル 無し
─────────
彼。いや、その存在は自分の目を疑った。
しかし無情にもその内容は変わることはない。
「...分からないなら置いておこう。」
彼が取った選択は無視であった。
「レベルは上げられるのだろうか。上げられるのならもっと高くしたいな。スキルが取得出来ればなにかわかるかも知れない。」
彼は根拠は無いが己の頭の中にある漠然とした意識の中でその2つが大切なのだと思っていた。
「それにしてもなぜ名前や選択がないのだろう?試しに自分でつけてみようか。」
(どんな名前がいいだろう。名前が『無し』だから...『テシェレン』でどうだろう。)
彼は無しのれんがから点が4つあることに注目し『点四』にれんをつけてそうしたようだ。
フィンッ!
【名前が書き換えられました。】