17本目 お家に着きました、探索です。
ただいま戻りました。
ぼちぼち頑張るのでよろしくお願い致します!
「……どなた様でしょうか?」
空の果て、神の世界にポッカリ浮かぶ大きな樹の一軒星。
優しい光を発するそれは、私のお社!なはずです。
そんな巨大な樹の中腹に空いたこれまた大きな門を開けた先で待ち構えていたのはシルバーとブロンズの2人組でした。
銀髪の方は、私よりも頭1個分ぐらい小さいですが、容易に愛でることが出来なさそうなツンとした綺麗系の美少女です。
茶髪の方は、私よりも縦も横も大きくて……太っ……ふくよかで……なんというか柔らかそうな美少女でした。
「申し訳ありません主神様。私は命神の眷属であり、癒しの女神のエイルと申します」
「同じく豊穣の女神イズーナですぅ」
ご存知無いとは思いませんでした。なんて言いながらこちらを睨みつけでいるのがエイルさん。
優しげな声でぽわぽわした物が出ていそうな方がイズーナさんですね。
いえ、勿論知っていますとも。
この世界の神達は上下関係がしっかりとしていて上から最高神、上級神、中級、下級と続いていきます。
そしてそれぞれにランク下の眷属神と呼ばれる専属の神がつく場合があるらしいです。
「分かってますよ」
えぇ、つまり彼女達は私の配下って事ですね。
「分かっていて100年以上放置していたんですか?」
「えぇ。ご主神様酷い」
あっ、言葉間違えてしまったみたいですね。
眷属神という存在のことは分かっていたんですけど、私にそれがいるとは思わなかった……というか動けなくてどうしようもなかったというか。
「まぁ、いいです。主神様がそうしようと思った事に私達が文句は言えませんからね」
そう言うと、彼女は反対を向いて歩き出してしまいました。
弁解するチャンスは与えてくれなさそうです。
「主神様も勝手が分からないと思うので早速『命神殿』を案内しましょう」
「ご主神様行きますよぉ〜」
さて、気を取り直して我が家を見回っていきましょう!
びっくりするほどの大きさでしたが、中に何が待っているのか……。
今のところ何も物がない大広間でしかないですから。
とりあえず、そのお二人の案内の通りに何にもない世界を進んでいます。
大広間を進んでいきます。
何もない真っ白な大広間です。
本当に殺風景ですね……これが私の家ですよ。
飾りつけしてしまいましょう。
「地吹草とモーリュ、後黄色とかピンクとか色々」
「どうしました?主神様」
「花は咲いているものとして、成長スピードも上げて、起点はここ。さぁ!」
「うわぁ、すごいですねぇ!」
私の足元から草や花が湧き出て部屋を飾り付けていきます。
うん。うん。
まさに命の神って感じですね!
いや、周りの命を奪っていくボスキャラみたいなのの逆のイメージってだけですけど。
「これは凄いですね。綺麗です。何という花でしょうか?」
「よくぞ聞いてくれました!これはですね。私が100年の間改良を続けて創ったファンタジーでチートな草花達です!まずですね、この葉っぱが三叉になってるものは地吹草と言いまして植物の為の栄養価の高い土を作ってくれます!さらに環境適応能力も高いのでどんな場所でも成長します。それでも魔力は必要になるのですが此処では関係ないでしょう。あっ、そもそもここは地面じゃなくて白い何かですね?それでも問題無いでしょう。そのうち良質な土だらけになります。
「へ、へー、凄いんですね?」
はい!凄いでしょう?それにですね。ここ用に成長スピードを更に改良しました!元々ここまで早く成長する事は無いのですが、だって、そうしてしまったらそのうち世界中を覆ってしまいそうでしょう?なのでちゃんとセーフティは色々と付けています。ここは私の浮島な訳ですし、地面が全て花畑になったとしても気にする人は居ませんから。一応縦方向への成長はしないようにしていますので、この建物の壁面を覆ってしまって緑一色にはならないようには気をつけています。
「どうしよぉ、エイル、ご主神様が壊れちゃったよぉ」
「耐えるのです。一緒に相槌を打ってください」
「えぇ、むりぃ」
……?どうしたのですか?こそこそと2人で?
「い、いえ!主神様。よくそんなもの創りましたね」
えぇ、それにですね。稀に突然変異として、四つ葉のものが現れる事があります。確率的には1000万本に1つです。それは決して枯れず、枯れないと言っても採取した後に然るべき手段を取らなければ萎れてしまうのですが、それはさておき、その葉っぱを持ち歩くと幸運が訪れます。なんの幸運かなんてのは考えていませんが、持ち主の都合の良いことが起きやすくなるなんていう効果を持たせました。本当に起こるのかは分かりませんが、今までそう設定したものはそうだったのできっとそうなるはずです。更に…………
…………それだけじゃなく、他の花も中々の効果を持っているのです!そのピンクの花ですが、これはメンタル、つまり精神に」
「主神様!主神様!!」
っと、喋り過ぎてしまいましたか。
つい。こういう事になると長くなってしまいますね。
さて、何日歩き続けたでしょうか?神様の時間感覚は難しいです。
1週間ぐらい経った気もしますが、1日も経っていない気もします。
さて、今どこにあるかと言いますと、入り口から直線で歩いてきて、ちょうど反対側です。
目の前には巨大な植物達、これは……トマトでしょうか?真っ赤な実が成っています。1メートルぐらいの。
「じゃーん!これが裏庭ぁ、私の菜園ですぅ!!」
「地上から採取した植物をイズの力で改良したものです」
うわぁ、これは凄いですね。
菜園というか、野菜の森ですね。
流石豊穣の女神様です。私でも改良は難しいのに。
「ご主神様がぁ、土を作る植物を作ったって言ったじゃないですかぁ、でもぉ、私のところに来てくれれば良かったのにぃってぇ」
「土を弄ったり成長を促すのは彼女の力です。私達を放っておくから無駄骨をかくのです。私の力も癒しの力なので薬草なんて創らなくても……いえ、更にいいものが出来たのに」
どこまでその話を弄るんだろうって少し落ち込んでみたら、違うところを訂正してくれました。
もしかして、もしかしなくても、彼女普通に可愛くて良い子です?
本当に申し訳なくなります。仕方なかったんだと言い逃れするのも悪い気がしてきました。
両手を地面につけて、このままDOGEZAしましょうか……。
「えっ!立ち上がって下さい主神様!主神様の創った植物を貶すつもりは無いんです!」
「エイル!ご主人様があれだけ自慢してた花を無駄っていうからぁ!!」
あっ、またバッドコミニュケーションですね……。
2人とも、申し訳ありません!と言いながら腕を取って立ち上がらせようとしてきます。
両腕を掴まれてしまったのでDOGEZAはできそうにありません。
というか、これ早く立ち上がらないと不味いかもですね。本気で謝っているのが分かります。
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……えっと、立ち上がったのはいいんですけど、凄い緊張した空気……これは私の言葉待ちでしょうか?
「許しましょう」
「ふぅ、よかったぁ、ご主神様、あんまりエイルちゃんを責めないであげてぇ、寂しかっただけなんだからぁ」
「別に、寂しかった訳では!」
へぇ〜、そうなんですねぇ、エイルさんは素直になれないツンデレ系美少女だと。
かーわいいですねぇ。頭撫でてあげましょう。
「あ、主神様!ニヤニヤしてやめて下さい!」
可愛過ぎませんか、もし私が男のままだったら襲ってますよ?
いや、男だと、ニヤニヤして気持ち悪いです。触らないで下さい!とか言われそう。
女体でよかったぁ、TS万歳!
「いいなぁ、ご主人様、後で私にもして下さいよぉ?はい!赤の実です!」
いつのまにかイズーナさんがトマトのような実を取ってきてくれたみたいです。
「ありがとうございます。頂きますね」
それに齧り付きます。
うん、とってもみずみずしくて甘いです!やっぱりトマトですね。
酸味もあってとっても美味しいです!
「甘いでしょう?イズはなんでも甘く熟らすんです。そんなんだから太るんだっていつも言ってるのに」
「野菜って太るんですか?」
「野菜で太らなければ何で太るっていうんですか?」
「ひど〜い。甘い方がいいですよねぇ?ご主神様?」
「それにも限度っていうものがあるんです!だからそんな醜くなってしまうんです!」
そんな甘い野菜だけじゃなくてちゃんとお肉とかも食べてよ!
安心して下さい、ちゃんと甘さ控えめのものも作らせてます。
なんて、向こうのほうで軽く喧嘩っぽいのが起こりましたが、ここは平和です。
とりあえず、醜くは無いのでいいんじゃないですか?可愛いですよ。
えぇっと、改めまして。
命神殿銀色担当、癒しの女神エイルと申します。
趣味は信者を増やすことで、特技は回復魔法です。
命神殿銅色担当、豊穣の女神イズーナですぅ。
趣味は土弄りでぇ、特技は土壌や植物の活性化ですぅ。
命神殿の主で金色担当の命の女神ユグドラシルです!
……?今更これ必要ですか?
私達にもわかるようにして欲しい……と?
なるほど!改めて、命神ユグドラシル。
趣味は、色々な状況を考えて植物を生み出すこと、特技は、自分の想像を新たな生命として具現化する事です!
よろしくお願い致します!
これからの執筆活動、少しでも応援して頂ければ幸いです。
平和な松ノ樹




