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0本目 死にました、回想です。

初投稿 ドキドキ

よろしくお願い致します


「よしっ!渡れそう!」

 と、青になっていた信号機を見て思った。


 ここの十字路の信号は、家から1番近くのデパートに行くのに渡る必要があるんだけど、なかなか色が変わらない事で有名だった。

 一方が大きな道路で交通量が多いから仕方ないことだけど。


 だけど、何にもないところで長時間信号待ちさせられるのもなかなか堪えるのだから、毎回信号に捕まるたびにどうにかして欲しいと思ってしまう。


 そんな十字路の横断歩道を、タイミングよく信号待ちしないで渡れるとなれば運が良かったと言えるだろう。

 今日はとってもいい天気だし、珍しく早起きをして散歩と運動を兼ねて出かける僕を神様も祝福してくれているんだろう。


 そんな滑稽なことを考えながら歩いていた。


 信号待ちが長いんだから今のうちに渡らなきゃ!と少し駆け足になってしまっていたのも悪かったのかもしれない。


「うっ!!」


 横断歩道に足を踏み出した瞬間、僕の目には大型トラックの正面しか映っていなかった。


 要するに、青信号の横断歩道を渡ろうとした瞬間。大型のトラックが突っ込んできたわけだ。


 そうして、僕の平和で平凡な人生が急に終わりを告げたのだった。




 気がつくと、周囲一面真っ暗闇な空間、闇色で満ちた不思議な世界にいた。

 光なんていうものは一切存在しない世界だ。

 僕はずっと目を瞑っているかのように何も見ることが出来なかった。


「……何?ここ。どこ?」


 辺りを見回すことの意味がないほどの暗闇の中に放り込まれたのに、何故か不思議と不安を感じることは一切なかった。



 なんでこんなところに僕はいるのだろう。そんな疑問がすぐに浮かぶが、少し考えると答えはすぐに見つかった。

 見つかってしまった。なんせ、ここに来る前の最後の記憶がそれなんだから。


「あぁ、死んだのか」


 それを口に出してしまうと、その事実を嫌というほど実感した。してしまった。

 それがもうすでに起こってしまった紛れもない事実であり、不可逆な結果であるということを。


 だというのに、この闇が自分を包み込んでくれるようであり、不思議な安心感さえこの空間にはある。


 この空間のせいでそれがありえないと意地を張ることや、焦燥感や罪悪感で苦しくなることなんて出来やしなかった。


 不思議なことにそれを否定する気持ちなんて全く起きないし、ここに居るのが当たり前のような気さえしてくるのだから。



 暖かい日向に寝そべってそのままうたた寝をしてしまった時のように、なんだか心地よい夢を見ているように感じるこの世界に、心の底から浸りながら、僕は何ともなしに自分の人生の回想を始めていた。

 





 ここに来てしまう前の僕は、平凡で代わり映えのない日常生活を送っていた。

 面白いようなことなんて何一つなく、17歳、高校2年生として当たり前の本当に普通の生活である。


 朝、決まった時間に目を覚まし面倒くさいなぁと思いながらもなんだかんだで学校に行き、ある程度内容が入ってくるぐらいのぼんやり具合で授業を受けて、昼は購買でパンでも買って食べて、午後は眠くなりながらもまた授業を受ける。それで家に帰ったらだらだらと色々なことをしてから寝る。

 という感じの、ごくごく平凡でひねりのない平和な日々だ。


 高校生らしく好きな人なんかもいた訳なんだけど……。

 全く名前も思い出せないし、もう顔もあやふやなんだ。所詮そんな程度のものだったのかな。


 もう今の僕は、好きだった女の子なんかのことどころじゃなくて、小学校からずっと仲の良かった友人のこと、果てには、親や兄弟の顔までもが逆光が掛かってしまったかのように朧げではっきりと思い出すことが出来ない。


 勉強だって特別にできるわけでもなく、部活に精一杯取り組むわけも無く、好きに動画を見て、気になった本を読み、流行りのゲームをしながら、将来にはなんか特別なことをしたいなぁと思うだけ日々。

 そんなものだったから。


 ここに来てしまう前のこと。

 僕の人生最後の日だって、休日だし天気がいいから近所の大型のショッピングモールにでも行って、本かなんか買おうかなぁ。

 とかいう軽い気持ちで家を出たんだ。


 そうしたら、視界の外から急に大きいトラックが走ってきてドカンッと視界が跳ねた。


 それから痛みとかではなくここにいるってことはおそらく即死だったんだろう。



 あーあ、交通事故で死んでしまうだなんて、死に際まで一つも捻りが無い。

 まぁ、ニュースにとり上げられてしまうみたいな面白い死に方なんて絶対にごめんなんだけど。




 結構色々と考えこんだんだけれど、あんなことがあった後で目を覚ましたらこんな暗い場所にいるんだから、やっぱりここが人生の終点。

 死後の世界ってことなんだろう。


 みんな死んでしまったら、天国でも地獄でも無く、ひたすらに続く暗闇の中で誰にも知られず消えていくんだろうか。


 死後の世界がそんな酷い世界だったのならば、いっその事なにか犯罪でも犯して地獄に行った方が良かったのかもしれない。

 地獄なんて場所が実際にあるかどうかはわからないけれど。


 いや、やっぱり、流石に地獄は無理だな。

 血の池とか針の山とか釜茹でとかを想像するだけで恐ろしい。まず閻魔様に会うってだけで恐ろしくてたまらない。


 そもそも生前の僕が、死後がこんな所だと知っていたとしても、地獄に落ちるような罰当たりなことする訳ない。

 例え犯罪紛いなことをやろうとしたとしても、実際に出来るようなやつじゃないってことは、この僕が他の誰よりも一番よく知っている。


 あるいは、現世にもの凄い執念があって、本当にギリギリまで元の世界に執着するとすれば、あの世界でゆっくりと成仏することが出来たんだろうか?

 もしそんなことが出来るのであれば、今から戻ったり出来ないのかな?


 もう少しぐらいあの世界にどうにかして縛り付いていれば良かったというのに。

 どうせ僕のことだ、きっと自分の事を平凡でつまらない人間だとか言って心のどこかで死をすぐに受け入れてしまったんだろう。


 そんなことがなければ自分の葬式とかを見ながら、ゆっくりと成仏することが出来たのだろうに…………。

 いやぁ、それもそれでなんだかなぁ。


 僕が不注意で死んでしまったせいでみんなが泣いている顔とか見るなんて、どっちみち罪悪感で死にたくなってしまう。

 みんなが、僕が死んでしまったのに泣いてなくても、情けなくて死にたくなってしまうことだろう。




『おーい!』


 うーん、やっぱりなんだかんだ言ったって、何をやるのにも中途半端で、特にやる気もなかった僕という人間の最後としては所詮こんなものなんだろう。


『おーい!!』


 幸いここは何故か心地いいし、のんびりと僕という存在が全て消えるのを待っていますか。

 本当に、ずっとこんな所に意識を保ったまま放置とかそんなことないよね!?

 そんなことになったら流石に神様を恨むから!!!


『おーい!!!』


 もし来世と言うものがあって、この気持ちをほんの一欠片でも持っていけるのだとしたら、この後悔の気持ちを一つ残らず全てやる気に変えて思いっきりはっちゃけてやるのに。



おーい!


あれ?聞こえてる?

聞こえてるよね?よかった。


おはよう!初めましてだよね!

この作品は僕のはじめての作品になるからよろしく頼むよ!


先が気になるって思った人は、よければブックマークして行ってよね。


"まだ"評価はしなくて良いよ。

一応下の方にある五つの星が評価欄だってことは情報として必要な人がいるかもしれないから言っておくけど、"まだ"押さなくていいからね。



それじゃあ。


これからの執筆活動、少しでも応援して頂ければ幸いです。

                  平和な松の樹

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