9本目 花畑が出来ました、異世界最強です。
11話目です!
よろしくお願いします!
私の周りが緑に覆われてから十数年もの歳月が過ぎました。
集中すると時を飛ばしてしまうのが私のよくない癖ですね。有り余る妄想力を発揮してテンポ良く作業していたはずなんですけど。
そういえば、私ってもうとっくに大人の仲間入りをしているんですよね。
何歳になったのでしょう。神眼!
38歳。あれ……アラフォー?もうそんなにこの世界にいるんですか……。
前世の倍以上の年数を生きているというのに、全く進展がないのはいかがなものでしょうか。
まだ自分の身の回りの整理で手一杯なんですけど、私の華麗なる英雄譚はどこにあるのでしょう。
大人になったらお洒落なバーでお酒でも嗜んでみたいなんていう未来を想像したりしていました。
ですが、今の私はお洒落なバーでお酒を嗜むどころか、綺麗な原っぱでお水を吸い上げることしか出来ません。
この十数年間で私は、この目の前に広がる広い庭を機能性と美しさが両立できる最高の世界にすることに全力を尽くしていました。
時には、死んだ者を復活させてしまうようなほどの力を持った薬草を創り。
時には、食べた者の種族を変えてしまうほどの強力な強化薬草を創り。
時には、何でも喰らってしまう強力すぎる不死身の植物モンスターを作りました。
最後のは好んで地面を食べ始め、地面に月のクレーターみたいな大きさの穴が出来てしまったので、すぐに消し去りました。
もはや見た目だけで、夜中に発光するけど実をつける木なんかも創ったのですけど、どこにいったのでしょう。
あぁ、あれは夜中にギラギラと眩しすぎたのでそれも同じく消してしまったのでした。
私の能力の新たな一面が発見されたのでよしとしましょう。創るだけじゃなくて自分で創ったものをなかったことにできるみたいです。
自分で創ったものを世界に不自由だからと消し去ってしまえる能力なんて、神とは傲慢なものなのですね。
思いつく限りの創造をし、余計だと思ったものは消し去り、創った物の気になる部分を改変し、全体の調和を考え。
と、私のもてる全力を尽くして作業を行ったこの花畑はこの世界でも最高のものであるといえましょう。
目の前に広がる地面には白い小さな花が咲き乱れ、たまに違う色の花が混じっています。それらは光に綺麗に照らされ輝いています。
それだけじゃなく、細かい葉っぱを沢山枝につけ中空に広く枝を伸ばす木や、沢山の大きな実をつけてその周りに湖が出来ている木などの面白い木々が至る所に点在しています。
さらにその上の空、私の葉が生えているほどの高さには風船みたいな花がプカプカと浮いています。中には私の最高傑作たちの種が入っているのです。
夜になると、地面に大量に咲いている白い花がホワホワと淡く光りだします。
その光に照らされて他の花も光っているように見えるので、天の月や多色の星々と相まって、妖精か何かが管理する秘密の花園に迷い込んでしまったかのような幻想感を味わえます。
雨が降り空が暗くなると、花が光り、至るところにある細かい葉っぱを身につけた大きな木が枝を伸ばして雨を遮ります。
雷が降るようであれば、ひまわりのように高く黄色い花がそれを受け止め、全て魔力に変えてしまいます。
雪が降れば、新たな能力を身につけた地吹草がそれを溶かすほどの柔らかい熱を放出するので問題ありません。
風にも夏の暑さにも負けないような私の箱庭……。
そこまでいって、私はふと思いました。ここは雨も降らなければ、私が何かやらかさない限りそのような天候は、天変地異は決して起こらないのです。
まったくもって無駄な能力までもが備わった草花が生まれてしまいました。
もし、外の世界に進出することがあれば使い道も生まれましょうけど。
私が外に出られないのであればどのみち意味がありません。
そのうち、私の能力によってより快適になったこの地に森から動物も流れ込んでくるでしょう。
私の周囲全てが砂漠化してしまうという謎の天変地異によって絶滅してしまった虫たちは帰ってきています。
それに、いつどんな動物が来ても大丈夫なようにそれだけ食べていれば一生生きられる完全栄養食の穀物だって用意しました。
振り返ると、もはや異世界を通り越して、別宇宙みたいな植物体系を創り出してしまいました。
別の世界っていうのは間違っていないんですけど。
ファンタジーっていうのにはやりすぎな気が、こういうのはドラゴンの巣の近くとかにポツンとあるからいいのであって、こんなに沢山あると有り難みが失せるような。そんな気がしません?
さて!次は何を創りましょうか!
こんなのも創ったんですよ!
メガホン型の花びらをした大きな花です。
この子の能力は、近くにいる生物の考えていることを音に出してくれます。
これで虫たちの声なんかも聴けるようになるでしょうか。
うん。いきます!
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ちょっ!
あー、えっと……。
処分します。
これからの執筆活動、少しでも応援して頂ければ幸いです。
平和な松の樹