告白
かってに名前を入れて楽しんでください!
「私、あなたの事が好き、なの……」
「……は?」
突然、彼女が俺に向かって告白してきた。
いきなり過ぎて正直よくわかっていない。
放課後の図書館は人が少なく、いまこの場にいるのは俺と、彼女だけ。とても静寂な空間が、この場を占めている。
開けられていた窓から風が吹き込み、カーテンを大きく膨らました。ここまで流れてきた風が彼女が肌を撫で、そして黒く光る綺麗な長髪を揺らす。窓から差し込む夕陽の色が、彼女の輪郭に沿って反射し、美しい彼女の顔を俺の目に映した。
数秒の遅れがあってから、俺は彼女に言われた一言が脳細胞の一つ一つに染み込んでくる。
「え、えっ!? そ、それって!!」
俺は男として情けないほどに、思いっきり素っ頓狂な声を上げながら、動揺してしまう。
途端に顔が沸騰したように熱くなって、秋だというのに体はものすごく温まっていた。
すると彼女は、いきなり、不満そうにプクーと頬を膨らますと、「もう一度言わさないでよ」って恥じらいを込めた目線を俺に送る。
雪のような白い肌に、夕焼けのせいかそこには朱色が交ざっていた。
ドキドキと激しく脈打つ鼓動が、脳内に鳴り響く。
喉も乾き、俺は出てきた唾をゴクリと飲み込む。
告白は初めての経験だった。いままで(16年)生きてきた中でまだ一度もない。
だから俺は、そのときどう反応したらいいのか困ってしまっていた。頭も真っ白になって、冷静に考えられやしない。けど、ここは男としてしっかりと答えなければならないと、男としての義務が俺の胸に掻き立てる。
ふーと一息付き瞑目すると、一呼吸置き俺は口を開いた。
「あ、あー。もし、俺で良ければ……」
結局己の羞恥心で、彼女の目は真っ直ぐに見ていられず、下に逸らしてしまう。
すると、沈黙が生まれてしまった。
俺は彼女の事が気になり、ゆっくりと視線を上げていくと、ふと、彼女の視線が絡み合った。
その瞬間。ぽとりと、彼女の綺麗な瞳から涙が一粒、頬を伝う。
そこから連なるように両目からぽたぽたと溢れんほどの水が流れ落ちた。
そんな彼女の表情に、
「だ、大丈夫か!」
俺は子供のように戸惑ってしまう。
「うんうん。全然平気だよ!」
その瞬間に浮べた彼女の笑顔は、太陽のように眩しくて、向日葵のように輝いていて。
それを見ただけで俺は、彼女を護り続けようと決意してしまったのだ。