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帰る家
誰もいなくなった店内を軽く清掃し閉店作業をする
ほんの少し前まで賑やかだったのが幻のようだ
ゴールデン街は280店舗ほどの6人で満卓になるような小さなお店が多く平日は客席もまばらだ
ネオンに誘われて街を彷徨う酔客
日頃の仕事を忘れたい社会人
異性との出会いを求める男女
老いも若きも人は皆ナニカを求めている
思い通りにぬらない現実をグラスに溶かして飲み干して…
テーブルや床を掃除しゴミを分別し電気を消して最後の人間を『お疲れ様でした』と呟いて店から送り出す
お客さんを送り出す時は『〇〇さん、今日はありがとう。いってらっしゃい』またゴールデン街に帰ってきてねと願って送り出している
終着駅ではなく欲望渦巻く歌舞伎町の片隅に
帰る家を見つけるとこが出来なくなった人達のために
明日にほんの少しだけ希望が残るように
新宿のビルの隙間から星の見えない夜空を歩いて




