表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/11

実況:ロジィ 解説:クスト

「皆様、ご機嫌いかがかしら。今回は、化身達のマドンナこと私ロジィと・・・」

「そんな呼び名は寡聞ながら聞いた覚えのないクストがお送りします」

「さて、今回の勇者は女性ですわよ!」

「テンション高いね」

「やっぱり、思春期を迎えた女の子っていいわね。しかも、今回選ばれた子は、控えめで初々しくて可愛いわぁ。守ってあげたくなるタイプって言えばいいのかしらね」

「そろそろ、行動について実況をしてください。年増の感傷には付き合ってられませんので。あと、口調が既に崩れてます」

「私の解説をしなくてもいいわよ!」

「実況が機能していないのに、解説をしろと?ロジィ様は無理を仰る」

「わかったわよ、本腰入れて実況するわよ!えっと・・・ここはどこかしら?」

「はぁ・・・。えっと、ノルディア自治領に属する、小さな町ですね。人口は500人程度かと」

「勇者ちゃんがおどおどしてるのは仕方ないとして・・・何で召喚した当人たちが驚いているのかしら?」

「多分、古から伝わる召喚術をダメ元でやってみたら、ホントに勇者様来ちゃったよ!?・・・みたいな感じなんでしょうね」

「ほら!誰も話しかけないから、勇者ちゃんが不安のあまり涙を浮かべてるじゃない!男ども、しっかりなさいな!」

「呼び出しといて放置プレイとか、情けない奴ばかりですね」

「あ、でもごつい鎧を着た男が話しかけたわよ?」

「この町の衛兵のようですね。若い割には、なかなかの風格ですね」

「あ、勇者ちゃんの表情が変わったわ!ちょっと安心した顔ね」

「良い言葉をかけたみたいですね。既に、女勇者からの信頼を勝ち取った模様です」

「勇者ちゃんったら、照れてはにかんでるわよ!ああ、可愛いわねぇ」

「愛らしい表情なのは同意しますが、そんなところを実況する意味はありますか?」

「何言ってんのよ!必要に決まってるでしょ!男子があんな表情見せられてみなさいな。きっと一発でオチるわよ!しかも、ちゃんと上目遣いなのがわかってるわね!」

「左様ですか。とはいえ、自称マドンナの男の落とし方講座とか説得力皆無なんですが。そもそも、恋人がいたことありましたっけ?」

「ほら!相手の騎士さんも心を撃ち抜かれてるわよ!?これは、召喚直後からカップル誕生かしら!?」

「無視ですか、そうですか。あと、騎士じゃなくて衛兵です」

「あら!騎士さんが、胸に手を当てて何か宣誓してるみたいよ!?」

「この身は永遠にあなたと共にありますとか、そんな感じですかねえ。なかなか、男らしいじゃないですか」

「うわっ!?しかも跪いて、手の甲にキスまでしてのけたわよ!?カッコいいわね!羨ましいわぁ!!」

「もう実況じゃなくて近所のおばちゃんみたいになってますけど。塀の影からこっそりと、カップル誕生の瞬間を見届けてるみたいな感じになってますけど」

「ほら、あの勇者ちゃんも満更じゃないみたいよ!?思いっきり照れてるわよ、あれ!頬を朱に染めて、ちょっと俯き加減ていうのが、またニクイわねえ!男の心の掴み方をわかってるって感じだわ!あれは天然の魔性ね!!」

「貴方の喋りのせいで、せっかくのシーンが台無しなんですが。ドラマが良いシーンを迎えたところで、唐突に台風とかのテロップが流れた気分なんですが!」

「でも、お互いお似合いよねえ。もし私が人間だったら、どっちも放っておかないんだけど!」

「年を考えてください。あと、さらりと百合思考をカミングアウトするのもです。そして、彼らは貴方なんて願い下げだと思います」

「あら?やってみないとわからないわよ?」

「その無駄な自信は、どこから湧いてきやがりますか?」

「もちろん、私の乙女のハートからよ!」

「・・・ちょっと気分が悪いので、席を外したいんですが?」

「ああ、あの子に一度でいいからお姉さまと呼んでほしいわ!」

「身の程を弁えてどうぞ」

「よし決めた!・・・クスト!私は急用ができたから外すわ!後、適当にまとめておいて!」

「そんな無茶な」

「じゃあ取り繕っておいて!」

「要求内容が変わってませんが!?」

「私は今から、あの子達を祝福しに行ってくるから!・・・それとついでに・・・」

「不穏な呟きを付け加えていくのやめてください!ていうか、行かせませんよ!?」

「このっ!?離しなさい、クスト!私は、あの騎士様の愛を略奪してくるんだから!」

「自重してください!ていうか、素直に祝福して、ここから見守ってあげましょうよ!恋人ができた瞬間に、心が醜悪なババアに即奪われるとか、どんなラブストーリーですか!」

「大丈夫よ!あの子は、私が責任を持って一人前のレディにして見せるから!!」

「何も大丈夫じゃない!?純真な少女を、あんたみたいな存在に穢させてなるものか!!」

「しつこいわよ、クスト!」

「くっ!ここは何としても行かせるわけにはいかない!二人はどうか幸せになって、そして愛の力で世界を救ってやってくれ!そのために俺は、ここで君たちを救ってみせる!」

「何で急に熱くなってるのよ!?あんた、そんなキャラじゃなかったでしょ!?」

「僕は・・・。俺は・・・!俺は、あいつらだけの勇者になる!今、ここで!!」

「このクソジャリっ!どうしても私の邪魔をしようというなら、容赦はしないよ!?」

「かかってこい、幸福の芽を摘み取ろうとする悪女め!彼女たちのささやかな門出は、俺が守り抜いて見せる・・・!」

「よく吠えたじゃないか若造!私は、私の愛を押し通して見せる!!」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

「だぁらっしゃあああああああああああっ!!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ