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73話

「随分と大立ち回りをしたみたいね」


この家の主は優雅に紅茶をたしなみながら目の前にいる人を讃える。


軽い取り調べを終えたピット達は当初の目的通り避難場所であるミーティアの家にやって来ていた。


ピットは目の前にいる彼女が何者かも知らない、けれど計り知れない存在感と直感というもので敵対してはいけない相手だと感じ取っていた。


それにこのての人は逆らってはいけないと相場が決まっている。うちの神子(ルディア)でそれを嫌っていうほど経験している。


「俺は何もしていない」


「知っているわ。私が褒めているのはそこにいる少年よ。貴方は颯爽と現れたわりには騎士団の邪魔しかしなかったらしいじゃない」


「いや、あれはーー」


「言いくるめるのも大変だったわ。ホント、貴方は昔から問題ごとばかりを起こす」


「……」


ほらやっぱり、この目の前にいる女性は逆らってはいけない相手だ。


騎士団相手にあんな啖呵を切ったあのエルドアンがみるみる小さくなっていくほど圧倒されていた。


「母上生き生きとしているわね」


「久しぶりにパパとあえて嬉しいのよ」


「何か言った二人とも」


「「なんでもない」」


「そう」


ただ娘二人からすればあれは母なりの愛情表現だとわかっているのでなんだか嬉しそうだった。


そんな娘達の視線を誤魔化すかのようにミーティアは自分の視線を客人であるピットに向ける。


「……貴方名前は?」


「ピ、ピットです」


「そう。その年でかなりの腕前と聞いているわ」


「あ、ありがとうございました」


「けど貴方まだ何か隠しているでしょう」


(ああやっぱりこの人関わりたくない相手だ)


一目見ただけで何もかも見透かされている感覚に陥ってしまう。


苦笑いを浮かべると同時に自然と警戒心が高まってしまう。


当然ながらそのこともミーティアは見抜いており安心させるためにリラックスした態度を見せる。


「別に私は知りたいとは思わないから話さなくてもいいわ。ただ……その力の使い方は間違えないことね」


「わかっています」


「……()()のものは大丈夫そうね」


「何か言ったか」


「何でもない。……それよりも一緒に連れて込まれて来たあの子は大丈夫なの? 随分と弱っていたようだけど」


「心配ない。今ヴィルグが解呪をしているから直によくなる」


「そう」


ここで会話を止め、一口紅茶を含む。それからなんとも落胆した表情を浮かべため息を吐く。


「呪術でこんなにも弱体化するなんて。貴方が仕えるくらいだから期待をしていたけど少し期待外れだったかしら」


「母上、何もそこまでは」


「注意力散漫、危機感ゼロ、おまけに実力不足。何故貴方や彼ほどの人物が付き従っているのかが理解出来ないわ」

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