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57話

「お初にお目にかかります。(わたくし)、第17王女リーリエと申します」


純白のドレスの裾を掴んで優雅に挨拶する。その仕草は可憐で綺麗、周りで見ていたものたちは見惚れてしまう。それはピットも同じことで彼女のことを見ていたーー、


(よくこんなところにいるのに汚れないよな)


ただ見ていたのはいまだに埃一つついていない純白のドレスの方である。


(さすがは王族っていうところか。色々と付与されていてさぞかしお高いんでしょうね……)


「あの〜、私の仕草はどこかおかしいのでしょうか?」


挨拶をしたまま一向に返事が返って来ないことにリーリエは不安になり顔を上げ、今にも泣きそうな表情で彼のことを見上げる。


まるで子犬のよう、愛らしく感じられる。同時に周りの人達からの殺意にこっちも子犬のように震えそうだ。


「いえ……おかしいところなどありません」


「そうですか。それはよかったです」


今度は満面の笑みを浮かべる。それにつられて周りのもの達も笑う。本当によかったです、後もう少しで周りにいるもの達から袋たたきにあっていました……と背後に控えているイルヴァランを見ながらピットは静かに思う。


「……私のようなものにいったい何の用でしょうか?」


使い慣れていない敬語で問いかける。彼は一生懸命敬語を使っているつもりなのだろうが全然出来ていない。気の短い王族だったら即刻首をはねられていただろう。


しかしリーリエとイルヴァランは気にしない。彼女はそんなことでいちいち怒るような気の短い性格をしておらずどちらかと言えばおおらかな性格をしている……おおらかすぎて時々騎士団の団員達が不安になることも多いが。


そしてイルヴァランもその主人の彼女が何も言っていないから何も言わない。それにそれよりも大事なことがある。


「貴様、先ほどから呪いがまったく効いていないな。いったい何者だ? ……それにやつもだ、いち早く状況を理解し最適な答えをたたき出した。ただの冒険者ではないな?」


「い、いえ……私はそもそも冒険者ではなくただの一般市民です」


「ほお、ただの一般人か」


(やばい、これはあかん奴や)


数々の経験(トラブル)によりピットは直感で理解してしまった。このままでは自分はさらなる渦中に巻き込まれてしまう……と。


興味深い視線を向けているイルヴァランとニコニコとこちらに向かって微笑んでいるリーリエがそれが物語っている。

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