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39話

2023/12/28

千年以上生きた人間のところ、少し訂正させてもらいます

「さて……」


紅茶を飲んで一服してからミーティアは真剣な目でヴィルグのことを見る。


色々と考えながらも気持ちに余裕が出来始めていたヴィルグであったがその彼女の態度と言葉で気を引き締め直す。


「私が何故貴方達を呼び寄せたのか……今なら理由がわかるわね?」


「エルドアン……始まりの使徒様に会うためですか?」


「様なんて必要ないわ……こんな負け犬なんかに」


「……負け犬かどうかは置いといて様付けはいい。貴様と俺は対等な関係だからな」


湯気が立ち、茶柱が揺れる緑茶で一服したエルドアンはヴィルグを見る。


その表情は先ほどから散々に弄られていた男の物ではない。


何年何十年何百年……いやそれ以上の時を生きその生の大半を過酷な場所で生きてきた歴戦の男の表情でとても貫禄があるものだった。


「ありえない……死んだ人間が生き返るなんて……」


クライフはあり得ないものを見るような目でエルドアンを見ながら呟く。


その言葉を聞いていたヴィルグもそれは思っていた。


死んだ人間は生き返らない、それはこの世の常識でこの世の理。


なのだがこの目の前にいるエルドアンは生き返っている。多分その鍵を握っているのは……、


「確かに普通なら死んだものは生き返らない」


始まりの神子と呼ばれているこの人(ミーティア)だ。


彼女も彼女でまた謎、始まりの神子と呼ばれているがその実態は謎に包まれている。


見た目は人族、なのに千年近く生きている。


確かに他の長寿の種族の血を受け継いでいたり、魔物を倒すことや過酷な修行などで己の格を上げたりして人族でも長生きすることもある。


それでも千年……あるいはそれ以上生きた人間など()()()()()()()()聞いたことはない。


しかも彼女は二十代かそこらの見た目、老いてすらいない。その彼女は語る、


「だから彼は()()()()()をしている」


「転生……をですか」


「完全に理解を超えているだろ。ワシも最初はそう思っていた」


完全に理解を超えている。クライフは自分の頭がパンクしそうになっていた。


そんな彼を見ていたキュウベエは何かを思い出すかのように懐かしそうに優しく笑う。


「だが旦那は何度も転生している。その度にワシらと共に戦っている」


「まさかお前……大戦の度に転生しているのか」


「その表現は少し違うわ。この馬鹿は転生をする度に大戦を起こしているのよ」


ホント馬鹿なんだから……と呟くその表情は呆れるというよりもどこか嬉しそうだった。


そのことを指摘してもきっとこの人は認めないと思いキュウベエもつられて笑ってしまう。

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