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25話

「ああ今日もまた平和だな〜」


村の住民ピットは今日も平和を噛み締める。


村の住民からまた言ってると呆れた笑みを浮かべれていることなど気にすることなく。


彼は平凡をこよなく愛する男だ、日の出とともに起き、日中は管理を任されている畑を耕したり読書を楽しんだりし、日の入りした後に夕食をし寝る。


たまに夜警という仕事も担当しなければならないがそれは些細なこと、こんなところまでやってくる盗賊はいないし魔物だって大したことがない。


浮き沈みがなく平凡で面白みがない人生、それが何だと言わんばかりに彼はスローライフを満喫していた。


「それもこれも外道三人組がこの村からいなくなってくれたお陰だな」


ピットは一息つくために腰掛けのいい石の上に座り心象に浸る。


外道1(リュート)は冒険だと言って危険な場所へと連れ回し、外道2(ヴィルグ)はあれをやれこれをやれと無理難題を吹っかけ、外道3(アルク)は様々な実験に突き合わされる。


三者三様色々とあるが誰一人として彼を労る気持ちなど持ち合わせてはいなかった。


「このまま帰ってこなければいいな」


「もし帰って来たらどうするの?」


「そりゃ〜もちろん全力で逃げる。あの三人に付き合っていたら命がいくつあっても足りやしない」


「それはまた外道だね」


「そうなんだよ、あいつら三人とも俺のことなんてまったく考えていないーー」


はて、自分はいったい誰と話しているんだ。不意に疑問に思ったピットは声がする方向へと視線を向ける。


「せっかく可愛がっていた弟分に会いに来たと思ったらそんな風に思っていたなんて。お兄ちゃん、君が外道に育っていて悲しいよ」


そこには外道1(リュート)がいた、これでもかというほどわかりやすい嘘泣きの演技。


明らかに視線は向けているし口元は笑っているからのがその証拠だ。


しかしピットは何も言わない、この場にリュートがいることに気づいた直後から走って逃げ出しておりその表情は絶望に満ちていた。


そんな彼はさらに絶望へと突き落とされる、急に視界が回転したと思ったら関節技を決められてしまったのだからだ。


「嬉しいよピット、君自ら私の元へ飛び込んでくるなんて」


その間接を決めている外道3(アルク)は本当にそう思っているのかと思うほどの高揚感のない声をかける。


いや、絶対にそう思っていない、決めている関節技の威力が冗談にならないほど強い、常人なら普通にへし折れているほどに。


「おいコラ離せ外道! 誰がお前みたいな奴の胸に飛び込むんだよ!」


「お前みたいな?」


「ああ嘘ですアルク兄さん、僕がアルク兄さんのこと嫌いなわけないじゃないですか。もちろんリュート兄さんのことも大好きですよ、だからいい加減ほどいてくださいよ」


「僕も大好きだよピット。だから僕たちの()をしっかりと受け止めてよ。……それとアルク、それじゃ僕たちの(怒り)が足らないよ。全力でぶつけてあげなさい」


「ちょ、それマジでシャレになんない。本当にごめーー痛い痛いマジで腕が折れてしまうって!」

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