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百合妄想  作者: モク
9/14

ヒーローの恋(ヒーローと悪役)

  私は日夜街で、悪さをする奴らを倒すことを生業にしている。

  まぁ俗に言うヒーローという奴をやっている。

  そんな私は、一人の悪さををする奴に恋をしている。

  ヒーローなのに、悪役に恋をしている。

  ダメなのはわかってるけど、可愛いんだもんあの女の子。


  今日も夜に街をパトロールをしていると、その女の子は悪さをしていた。

  具体的に言うと住宅街の家々の玄関に、ゴミが入ったゴミ袋を置いていくという、別に命には関わらないけど絶対やってはいけないことをやっていた。

「あんた! 今日こそ悪さをやめなさい!」


  私は、悪役を呼び止める。

  もちろん夜なので、小さめの声でだけど。

  すると悪役は、ゆっくりと私の方向に振り返った。

「またあんた? あんたじゃ私には勝てないんだから、帰ってくれない?」


  完全に私を下に見て、嫌味ったらしくそんなことを言ってくる。

  ホントは勝てるんだよ? だって私強いから。

  だけど無理だよだって、悪役にこういう顔されるのが癖になちゃったし。

  こんな可愛い顔殴れないよ。


「ねぇーもうこんな地味な悪いことやめようよ〜」

  別に友達でもないのに、まるで友達に言うように提案をした。

  すると悪役は、苦笑いをしながら言ってくる。


「なんであんたにそんなこと言われないと、いけないの? そんなに辞めさせたいなら無理矢理にでも辞めさせてみなよ!」

  すると悪役は、勢いよく飛び出してくる。

  その勢いで私に拳をぶつけようと、殴ってくる。

  私はその拳を受け流す。


「やめて! もうやめようよ!」

  悪役はもう一発拳を、私にぶつけてくる。

  私は、その拳を片手で受け止める。


「なんで。いつもいつも守ってばっかなの? 攻撃してきなさいよ!」

  絶対に私にその拳が、届かないことにイライラしてきたのか悪役は、そんなことを言ってきた。

  攻撃? 無理無理! 攻撃って殴ったりとか蹴ったりとかでしょ? 無理だよ!

  だからこそ言う。本心を言う。恥ずかしいけど言う。照れるけど言う。どう思われるか怖いけど言う。勇気を出して言う。


「あんたを攻撃するなんて無理! だって私⋯⋯あなたが好きだから!」

  私の人生初めての告白を聞いた悪役は、照れていた。

  顔を赤くして今にもこの場を離れたいかのように、喋りだした。


「は? 何言ってるのあんた。私のことをあんたが好き? だから攻撃できない? は?」

  それだけ言うと悪役は、すごい勢いで逃げ出していく。

  告白の返事を言わずに逃げていく。

  私は、一言言った。


「返事はー?」

  しかし返事は返ってこなかった。




  私は今、住宅街の家々にゴミが入ったゴミ袋を置いて行っている。

  この地味な嫌がらせが楽しくて仕方がない。

  しかしそんな私の楽しみを、邪魔をしてくるヒーローもどきが毎日のようにやってくる。


  「あんた! 今日こそ悪さをやめなさい!」

  私は今日もやってきたヒーローもどきの方向に振り向き、言った。


「またあんた? あんたじゃ私には勝てないんだから、帰ってくれない?」

  こんなことを言っているが、私は知っているこのヒーローもどきが絶対に負けない強さを持っていることを、私なんかじゃ敵わないってことを知っている。

  するとこいつは、私に意見をしてくる。

  なのにこいつは私を殴らない。


  「ねぇーもうこんな地味な悪いことやめようよ〜」

  私達は仲のいい友達か? というように言ってくるだから私は、勝てないとわかっていてもこいつに向かっていく。


「なんであんたにそんなこと言われないと、いけないの? そんなに辞めさせたいなら無理矢理にでも辞めさせてみなよ!」

  そう言いながら私は殴りかかるが、こいつは簡単にその殴りを受け流してしまう。

  そしてこいつはまたも言ってくる。


「やめて! もうやめようよ!」

  私はもう一発こいつに殴りかかるが、それもこいつは片手で受け止めた。

  私の拳は、こいつには絶対に届かないそれはわかっている。わかっているからこそイライラしてくる。


「なんで。いつもいつも守ってばっかなの? 攻撃してきなさいよ!」

  私は言う。

  自ら殴ってくれよと。

  こいつが殴ってくれれば、私はこんな地味なことをやめる理由ができるのに、なんで殴ってくれないのか?

  するとこいつは、変なことを言い出した。意味がわからないことを。


「あんたを攻撃するなんて無理! だって私⋯⋯あなたが好きだから!」

  え? なに? どういうこと?

  そんな気持ちで私は、喋る。

「は? 何言ってるのあんた。私のことをあんたが好き? だから攻撃できない? は?」

  わけもわからず私は、その場から逃走する返事なんてできるわけもなく逃げていく。


「返事はー?」

  そんな声が、聴こえてきたが私は何も返事をせずに、逃げていく。

  恥ずかしい。恥ずかしい。

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