表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百合妄想  作者: モク
11/14

二重人格(私と私)

  私は、世間一般的に言われる二重人格というやつらしい。

  その理由は、毎朝起きると机の上には私が書く文字で、手紙が書かれているから、ただそれだけなのだけど、その手紙の内容が私以外知り得ない情報だったりする。

  だけどまぁ私が、夜寝たまま動いてたりもするかもだし? 二重人格というのを証明はできないけど、私はもう一人の人格かもしれない女の子の手紙を毎日楽しみにしている。


『おはようございます。もう一人の私。昨日の手紙に書いてあった。異常にスキンシップをとってくるクラスの男子が、いるという話ですが私は、もしあなたが嫌だなと感じているなら早めに、嫌ですというべきだと思います。このままなーなーな関係が続くとその男の人にも迷惑が、かかってしまいますからね。まぁ結局はあなた次第です。頑張ってください。』

  これが、夜の私の手紙。

  昨日私が書いた手紙の、返信。

  朝一番に手紙を読むのが、最近の習慣になっている。

  手紙を読み終わってすぐに、私は夜の私に向けて手紙を書き始めた。


『いつも相談にのってくれてありがとうございます。もう一人の私。正直嫌だったので、今日彼に言ってみますね。ありがとうございます! それで今日も相談なんですが、私好きな人ができてしまいました。常にそばにいてくれる女の子で、多分昔から近くにいた女の子、そんな子に私は恋をしてしまいました。私はどうしたらいいですかね?』

  絶対に叶うことは、ない恋。


  だって相手はもう一人の私なのだから。

  けど喋ったこともない、もちろんあったこともないそんな人に、恋をしてしまった。

  手紙だけが私ともう一人の私を繋げてくれているもの。

  もし私の気持ちが、もう一人の私にそのまま流れているなら、あんな濁した手紙をしても意味はないのは、わかっているけど、正直に「あなたが好きです」なんて言えない。

  もし言えたとしても絶対に叶わない。

  叶っちゃいけない気がする。

  そんなことを考えながら、私は今日も学校に向かった。



 

  夜の私は、夜の数時間下手したら数分しか出ていらない。

  だからこそ急いで、手紙を確認するもう一人の私との、唯一の連絡手段。

  私が好きなもう一人の私の考えてることが、わかる唯一の手段。

  だからこそ私は、毎夜楽しみ手紙を見ている。


『いつも相談にのってくれてありがとうございます。もう一人の私。正直嫌だったので、今日彼に言ってみますね。ありがとうございます! それで今日も相談なんですが、私好きな人ができてしまいました。常にそばにいてくれる女の子で、多分昔から近くにいた女の子、そんな子に私は恋をしてしまいました。私はどうしたらいいですかね?』

  私は、その手紙を見てなんだか自然と涙が、出てきてしまった。

  もう一人の私に、好きな人ができてしまった。

  その考えだけがぐるぐると頭の中を、回っている。

  絶対に叶わないと思っていたこの恋は、諦めるべき恋だと思っていたけど、心のどこかでは、どうにかなるとも思っていたのかもしれない。

  ただそんな気持ちもどこか虚しく、消えていった。

  絶対に叶わない恋が、本当に絶対叶わない恋になってしまった。

  だからこそ私は、いつも通りの返事を手紙に書いた。


『おはようございます。もう一人の私。昨日の手紙に書いてあった。好きな人ができたという話ですが、それはとてもいいことです。人は誰しもが、恋をして何に恋をしようがいい。恋は自由です。だからめげずにゆっくりとその子との距離を縮めていってください。応援しています。もし上手くいった日にはご報告お待ちしています。』

  もしもう一人の気持ちが、わかれば誰に恋をしたのかそれすらもわかるのかも、しれないけど残念ながら、私はもう一人の私の気持ちが全くわからない。

  だからこそ私は、もう一人の私に恋をしたのかもしれないけど。

  目に涙を浮かべながら、私は眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ