第10話 2回目のツーリング計画
初めての中間試験、琴は結構余裕だった。受験脳がまだ維持できてる。中の上は堅いな。さ、帰って何しようと考えていたら、ゆりがやって来た。
「今度はあたしが来たよ」
「あら、ゆり様 ようこそファーストクラスへ!」
「なんだよそれ。それじゃ4組は落ちこぼれみたいだよ。中間は落ちこぼれたけど」
「え、そうなの?ゆりは余裕かと思った」
「あーもう思い出すの嫌だ。それでさ、今度の休みに走りに行こう」
「うんうん、それ待ってたよ」
「今度は方向変えて、北へ。木津川沿いにサイクリングロードあるんだ」
「ふうん、全然わかんない」
「ずっと行くと映画のロケとかで使ってる木の橋があるから、そこまで往復。それで大体五十キロ」
「よっしゃ、いいよ。待ち合わせはこの間の所?」
「うん、それからさ、予備チューブとかちゃんと持ってきてね。パンクの練習もします」
「はい先生。パンクの練習って、パンクの修理の練習だよね」
「判ってる事いちいち聞かない。あたしはビシビシだからね」
「あい、お手柔らかに願いますだよ」
「んじゃ、九時に待ってるわ」
ゆりは颯爽と出て行った。初めて会った時みたいだ。きっと彼女はすらりとした格好いい先生になるに違いない。
琴を暖かいものが包んだ。いい友達できたな。




