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21話 キヨしこのクリスマス

「そういや里美の家に行くのって初めてだな」

「そうだっけ?」


 クリスマス当日。


 まだ学校があった俺達は、放課後に最寄駅で落ち合い、里美の家でクリスマスを過ごすことになった。

 桐生達天文部とは完全に別行動となる。

 俺が気を効かせたのか桐生が気を効かせたのか、はたまたお互い気を効かせたのか、余計な詮索は特にせず、授業が終わり次第別れた。


「里美の手料理食えるの?」

「まっかせてよ。私の料理スキル高いんだから」

「そりゃ楽しみだ」


 他愛のない話をしていると、すぐに里美の家に到着した。

 俺の家からもさほど離れてはいない。

 自転車で10分ぐらいの距離だ。


「とうちゃーく」

「部屋とか綺麗にしなくて大丈夫か? 俺、外で待ってようか?」

「普段から綺麗ですよーだ。ママにも清正が来ること教えてあるから。寒いし早く入って入って」

「うーい」


 女の子の家に入るのも小学生以来か。

 その時は何だったか……ああ、安西あんざいの誕生日パーティーに参加した時か。

 懐かしい。


 それにしても女の子の家とか久しぶり過ぎてやっべ、少し緊張してきた。


「ただいま〜」

「お邪魔しま〜す」

「お?」


 玄関に入ると、目の前に巨人がおった。

 巨人っつーか身長がものっそい高い男なんだけど。

 185cm以上あんじゃねーの……。


「おう、里美か」

「お兄ちゃん……まだいたの?」


 ああ、里美の兄貴か。

 前々から話には聞いたことはあったけど、背がデカイからスゲー威圧感。

 こっえ。


「まだいたってなんだよ、失礼な。…………そっちの奴は?」

「……すんません、お邪魔します」

「まさか里美…………お前の……」

「か……彼氏だけど……何? お兄ちゃんに関係ないでしょ!」


 え、何? 歓迎されてない感じ?

 スゲー怖い。

 軽い気持ちで来たら精神持ってかれそうなんだけど。

 キリキリするぞ胃が。


「お前………………良かったなああああ! お前みたいな奴に彼氏ができるなんて、日頃の行いが良いんだろうな!」

「何よその言い方! 馬鹿にしないでよ!」

「いやー世の中には優しい奴がいたもんだ。まさか里美をなぁ……」

「お、お兄ちゃん!」


 おお……まさかの好感触。

 兄妹仲良いんだなー。

 ウチとは偉い違いじゃないか。

 思ったよりもお兄さんが良い人そうで良かったー。


「もうっ! 邪魔だから早く彼女さんのところ行きなよ」

「ん? この前別れたぜ」

「またぁ!? コロコロ変え過ぎなんじゃないの?」

「仕方ないだろ。女の方から寄ってくるんだから」

「うわぁ……最低」


 まさか里美のお兄さんはスケコマシか!?

 是非その手腕をお聞きしたいものだ。

 身長という一生勝てないアドバンテージがあるからかもしれないが。


「俺、里美の兄の陸川りくがわ俊介しゅんすけって言うんだ」

「あ、俺は加藤清正って言います」

「里美の奴に愛想尽かさないように頼むよ」

「大丈夫です。惚れてるのは俺ですから」

「おっ! 言うじゃんいいねぇ! じゃあ俺は邪魔になるからおいとましようかな。ナンパでもしてくるわ」

「そのまま帰ってこなくていいよ」

「ヒデェ奴」


 俊介はそのままケラケラ笑いながら出て行った。

 中々に人が良さそうな方だった。

 ありゃ確かにモテるわ。


「清正ごめんね? うるさい人がいて」

「いやぁ気さくで面白そうな人じゃん。仲も良さそうだし。俺なんて滅多に口も聞かないぜ」

「確か中学の時にも言ってたね。妹とケンカばっかりって」

「いやいやお恥ずかしい限りですよホント」


 俺にも中三の妹がいるが、反抗期+受験期という最強コンボによってピリピリしているため、3日に一度話すか話さないかという状況だ。

 ま、別に俺も困ってないからいいんだけど。


「じゃあ私の部屋行こっか。ママー、清正連れてきたよ」


 親にご挨拶という一大イベント。

 気合い入れて行くかぁ!

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