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詩*祈りのようなもの*

まくわ瓜

作者: a i o

まくわ瓜のような

瑞々しさの中で

私たち生まれたような気がして


種の方へ向かって

澄んだ甘みを

帯びていたような気もして


喉が渇くたび

雨の気配を瞬時に

嗅ぎつけるような

心が乾くたび

涙の起源に静かに

耳をすますような

記憶を確かに

手のひら握りしめて


さりさりと齧れば

口もとから滴る

甘い汁を

惜しげもなく零していたのに


硬い皮を破り

豊潤と満たされた器を

脱ぎ捨てて

やってきた私たちは


綿に包まる種

近づくほど甘いそれを

捨てはしまい

捨てはしまいと

必死に守っては

実ることを忘れてしまって


古い古い種の記憶

みつみつしく

私たちは生まれたような気がするから


新鮮な驚きも

拙く慈しむ想いも

蔓のように手を伸ばし

誰かの手のひらに

そっと乗せて


喉が渇けば

雨の気配を

感じられるよう

心が乾けば

涙の起源を

思い出せるよう


そしてどうか隅々まで

あなたの優しさが透き通るよう












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